桜髪の乙女は元兄上様、魔女で絶対な悪役令嬢へと堕落す。弟を奪うために

書くこと大好きな水銀党員

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極悪令嬢に堕ちる

傷面の令嬢4

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 路地裏でメグルはロアの顔を手当てし、エルヴィスの方を向く。

「姉貴、よくわかったすね」

「馬鹿が叫んだからよ。ここに居るってね。偶発的な突発的な戦いが始まってる。ロアちゃんを癒したら二人で獲物探しなさい」

「……」

 ロアが顔を背ける。心に何か思う事があるのはメグルにもエルヴィスにもわかっており。その事についてエルヴィスにメグルは言う。

「ロアは私を庇って怪我しました。このまま戦うのは」

「そうね、あなたが護ってあげなさい」

「……私は……裏切り者です。雇われた者です。何も言わないんですか?」

「そうなの? それなら確かにあなたの行為は断罪されるべき事よ。でも……メグルが責任持つ。それに……今はそんなことより戦いなさい。終わってからゆっくりと聞くわ」

「ロア……黙ってろよ」

「……」

「終わったら二人とも私の部屋へ来なさい」

「「はい」」 

「では……路地裏のネズミを探しましょ。私はあっちに行く」

 そう言い、エルヴィスは走り出す。残された二人も顔を見合わせて頷き。エルヴィスとは別の道で追いかけるのだった。





 路地裏の戦いが終わったあと。エルヴィス奪った『魔女の夜』の建物の最上階一つ下にある。エルヴィスの執務室にメグルと顔に赤く染みた布を当てているロアが直立で彼女の前に立っている。

「来たわね。路地でのお掃除お疲れ様。これから……逆襲を行うまで準備をします。指示はしました」

「……わかった。報告ありがとう。では、聞きましょうか。ロアちゃん」

 二人は背筋は伸び、冷や汗をかき続ける。生きた心地がせず、路地裏での出来事よりも恐ろしいと二人は考える。

「二人ともビクビクしない!! 別に釘で指を縫うなんて事はしないわ。妹分には」

「は、はい。姉貴」

「……はい」

「ぎゃあぁあああああああああ」

「うるさいわね。今、静かにするわ」

パチッ!!

 エルヴィスが指を鳴らす。すると廊下から聞こえて来た男の悲鳴音が聞こえなくなり、静かな執務室となる。二人は他の別室で行われているルビアの拷問を考えないようにした。エルヴィスが言った事が行われているのは皆が知る所である。

「でっ、二人は説明してくれるのよね……特にロアちゃん」

「はい……」

 片目だけをエルヴィスに向けて彼女は話し出す。

「私はエルヴィス姉さんの事を監視するように言われて来ました……右目に魔法陣を刻まれて全て向こうに情報を流してたんです」

「……右目を見ることは出来なくなったわ。でも、右目を刻むなんて魔法は聞くところによると非常に痛みも伴う。どうしてあなたはそんなことを?」

「……家に捨てられた訳ではないです。まだ……私は家に利用価値があると思われてました。だから……彼らは私に言い寄ったんです。『復讐をしたいか』と言い寄って来ました」

「あなたはそれに加担した」

「……いいえ。加担しなかったんです。メグルが……辞めると言ったのにと。だけど、彼らはそれを是としなかった。気付いたら私は縛られ、右目に呪いを受けました。そして……家に迷惑かかることで脅し。私は編入をして近付きました」

「なるほどね。怖かったでしょう。ベッドに縛られて無理やり刻まれるの」

「……はい」

 メグルが拳を締める。唇を噛み怒りを示し、エルヴィスに落ち着くように言われて背を向ける。その行為にロアは内心、ありがとうと彼女に感謝した。

「ロアちゃん。だけど、あなたはそれでずっと一人だったのね。編入後もなるべく関わらないようにした。なのにメグルは関わって来てたようだし……見ていたけど。なるほどね」

「エルヴィス姉貴!! 恩情をお願いします!! 何も悪いことしてないじゃないですか!!」

「メグル……いいのよ。結局あなたをはめたのだから」

「ロアは私に助けて欲しくて誘ったのです!! 私なら切り抜けれると言うのがわかっていたのです!!」

 メグルが振り向いてエルヴィスを睨む。その目筋にエルヴィスは扇子を出して顔を隠す。

「……メグルちゃん。そうなのね」

「はい!!」

 メグルとエルヴィスはそのまま沈黙し、目で伝えあう。ロアは違うと漏らしそうなるがメグルに手で遮られる。

「「……」」

 沈黙が続き、エルヴィスは扇子で隠した口元を緩めた。少し笑いながら背中を向ける。

「わかった。報告受けた通り。ロアちゃんが我々の仲間であると言うことで監禁し、目を弄った。その事を伝えれば始末されるため。メグルに相談したのね。護って貰えるように」

「はい、そうです」

「えっ……エルヴィス姉さん、メグル。私が言った事は……」

「ロア、夢を見ている」

「ええ、夢を見ているわ。それは間違いよ」

「……?」

 ロアは何故、そんな嘘をと思う。エルヴィスやメグルは空気を読み合い。そして……この事は不問にすることを言ったのだが日が浅いロアには伝わらなかった。

「……私を騙す妹分はいませんよね。メグル」

「ええ、私の姉妹で親友は嘘をつきません」

「ど、どういう事?」

「……メグル、あとで言っておきなさい。では、今夜は忙しい。準備を……そのかわいい面に傷をつけた野郎どもにケジメをつけにいくわ」

「はい、姉貴。ロア行くぞ」

「え、ええ」

 二人は廊下へと出る。その瞬間、叫び声が響き。身が引き締まる。ロアはメグルに向かって聞く。

「どういう事?」

「不問よ、不問。エルヴィス姉貴が白と言ったら白なんだ。例え黒だろうと白なんだ。許してくれたんだよ」

「……」

 ロアが背中の扉を見る。驚いた表情でエルヴィスを思う。

「何度も言うけど、姉貴はでっかい。ロア」

「え、ええ……そうね」

「そして……親友姉妹と宣言したから。そこん所……考えておくれ」

「……それはどういう意味?」

「私と同じくらいと私が認めたと言うことだ。だから……それ相応の態度を頼む」

「ねぇ、結構ルール厳しくない?」

「めっちゃ厳しい。だけど……それ相応の報酬がある。生きれると言うな」

 メグルはそう言いながらロアの手を掴み、聞く。

「剣の知識、技術は」

「細剣なら」

「よし、今のうちに準備しよう。流石名家の令嬢。私より立派な流派だろうさ」

「あなたの剣!? 独学!?」

「いいや。エルヴィス姉さん仕込みだ」

 悲鳴が響く廊下を歩きながら、メグルは商店街へと向かうのだった。魔女の夜に向けて。









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