【完結】復讐に燃える帝国の悪役令嬢とそれに育てられた3人の王子と姫におまけ姫たちの恋愛物語<キャラ文芸筆休め自分用>

書くこと大好きな水銀党員

文字の大きさ
32 / 54

王子と姫

しおりを挟む

 ラファエルは先ず。レイチェルのドレスを服屋に預け。平民の冬服のワンピースに着替えさせる。ドレスは城に運び込むことお願いし平民服をレイチェルは……初めて着た瞬間。恥ずかしくなる。


「似合ってますね。胸もそこそこ大きいですね」


「ラファエル王子。下品です……」


「きれいに纏まってると……人間味が変で歪過ぎるでしょう? それに呼び捨てで構いません。綺麗なお嬢様」


「………むぅ」


 レイチェルはドキドキが止まらなかった。初めての護衛なしは学園でしか経験がなく。店員もへぇ~王国の姫なんですね~サインください程度しか騒がなかった。サインはもちろんした結果。お金はいらないと言われて驚く。王国ではがめつい商人ばかりなためだ。お金を寄越せと欲望が見えてしまう。


「えっと……ありがとうございます。服」


「いいえ。王国の姫様に着ていただけるだけで嬉しいです。頑張ってくださいね。女王様あれだから……」


「は……はい」


 ミェースチの事だろうとレイチェル姫は思うそして……笑顔でレイチェルを撫でるラファエルの手を摘まむ。


「触りすぎです」


「中々……いい体だと値踏みしただけです。すいません」


「本当に下品ですね!!」


「嫌われてもいいのですから。好きにしますよ」


「……くぅ」


 レイチェルはラファエルのその裏表のない所に緊張する。さっきは格好いい大人騎士。抜け出すときは物語の王子。今は……少年のような無邪気な人。


 コロコロと変わる部分でいいように翻弄される。触れるたびに人が変わるぐらいに飄々としていた。


「むぅ……むぅ……むぅ!!」


「何か言いたいことありますか?」


「あの女の息子らしいわ!! 変人!!」


「ああ、でしょうね。ははははは」


 ラファエルは笑いながらレイチェルの手を取り店を出るのだった。







「何食べますか?」


「えっと……」


 ラファエルはレイチェルを連れて大衆の食堂に来た。大きいお店であり、冒険者と非番の騎士が美味しそうに酒を飲んでいたり、独楽で遊んでいたりする。昼間なのに…… 大人なのに……


「昼間に飲んでる……大人が遊んでる」


「夜勤開けですね。飲むのは今、娯楽が少ないですから……あと1週間後お祭りですがね」


「1週間後?」


「独楽の冬の大会があるんです。もちろん私も参加します。賞金が膨大で騎士団の資金にするために参加です。参加費高いですがね。参加費は個人持ちです。金貨10枚ですから……高いでしょう」


「あっ……」


 レイチェルは独楽をやっていたためスゴく気になった。しかし……明日死んでしまうため。参加したいと思ったのに……諦めてしまう。


「何か気になることが?」


「いいえ……」


「それよりも決まりましたか?」


「まって!! まってください……その……どんな料理かわからないです。わかるのもあるんですけど……」


「あー絵がないですね。待っていてください。店員さん」


「はい……お決まり? ラファエル様?」


「いいえ。魔法使いたい。許可をいただける?」


「はい。待ってくださいね。どうぞ……使用許諾」


「レイチェル……どうぞ。見えるかい?」


「えっと……えっ?」


 レイチェルは目の前に料理が並び驚く。しかし触れるとそれは掴めず驚く。メニュー表と照らし合わせてこれは何とラファエルに聞き、一つ一つ答えていく。


「スゴい……魔法……」


「料理を知らない冒険者もいらっしゃりますからね。しかし、魔法は禁止されているので許可をしないと練ることも出来ないです。でっ……どれが食べたいですか?」


「むぅ……余計に決められません」


「全部頼んじゃいますか?」


「でも……多い」


「残してもいいですよ。店主に相談していきます」


 ラファエルが立ち上がり店の長に色々と相談する。店主がラファエルの背中をたたき。二人が笑いながら頷く。それをレイチェルは見ながら……何故か寂しさを覚えるとともにあんなに人と楽しく会話が出来るのかと驚いたのだ。何を話してるのか気になる。


「お待たせしました。一個一個……少なく少なく出てきます。シチューはコップで出てくるでしょうね」


「あ、ありがとうございます。あ、あの!! 他に何を語りあってたんですか?」


「新しい彼女かと言われたり。独楽で前回戦ったんですがそれのリベンジだと言うんですよ。自分も1個壊れてしまって次の時に不戦勝なってしまったんですけどね……相手が兄上だったので余計に悔しかったですね」


「そうなんですね。平民と仲がいいんですね」


「あれ騎士ですよ元」


「はい?」


 すっとんきょんな声を出してしまうレイチェル。


「騎士を辞め。新しい事に挑戦したんです。まぁ騎士内で料理をして好評だったので閃いたらしいです」


「そうなんですの?」


「そうなんです。騎士なら割り引きありますし……だからあそこで飲んでるんですよ」


 レイチェルは……王国と比較をしなくなる。王国もこんな場所があるのだろうかわからないからだった。そう.…レイチェルは気が付いた。箱庭に飼われていたこと。


「レイチェル姫……」


「はい」


「後で玩具屋行きましょう」


「わかってしまいました? あ……う……子供ぽいですか?」


「大丈夫です。私の父の方が子供ぽいです」


 ラファエルは笑顔でそう答えた。








「いっぱい……食べちゃいました。怒られる物ばかりで……初めての物もあったのですが。揚げ豆腐が美味しかったです。ちょっとお腹が重いです~」


「それはよかった。では……こちらです」


 ラファエルの手を迷いなく掴むレイチェル姫は笑みを溢しながらこの瞬間を楽しむ。自由な自由な……まるで知らない世界を旅している気がしてビックリし続ける。最初の暗い雰囲気が全くなく……まるで死に間際に神がくれた夢の中とレイチェルは思う。


 そんな中で、ガラス張りの店を指差ししていたラファエルが固まる。


「父の方が子供っぽいと言いましたね。忘れてください……子供でした」


「はい?」


「今、見えだろう事を忘れてください」


「は、はい」


 メイチェルがガラスから店の中を見ると多くのお菓子と一緒に独楽が並んでいた。それを一生懸命に大人たちが眺めている。中には手に取り悩んだり。奥で遊んでいる人もいた。大人が多い。とにかく大人が多い。店員は女性の方だった。


 カランカラン……


「いらっしゃい。あら……王子」


「王子? ラファエルじゃないか」


 一生懸命に独楽の部品を一個一個吟味していた人が振り返る。ミェースチと同じ赤い髪に赤い髭の皇帝が護衛らしい人と一緒に来ていたのだ。ラファエルは思う……なぜここにと。


「……父上。ここでなにを。いや……今日は会議でしょう。サボりですか?」


「いや違うぞ。休憩中だ。お前こそ女を連れて……」


「この人は……あれです。それより母上にチクっても?」


「ま、まて……落ち着いてくれ、これも外交で……」


「そうです。会議は終わり……私たちが来週のために考える時間を設けたのです」


「ヴァレンタイン伯爵。そういうことですか……」


 伯爵と言われた方眼鏡の紳士が独楽を眺めて父上をフォローする。辺境を治める重役で昔は王だった人だが……今では帝国の属国民だ。しかし……悪感情はない。どころか友好ですらある。


「中々、面白いですからね。すいませんこれをいただけないかな? 行くぞロイド」


「へいへい、ワシはこれを」


「じゃぁ俺はこれ」「ワシこれ」


 買い占め禁止されているため決められた数を買う大人たちが独楽の部品を買い。専用の独楽ボックスに納めて店を出ていく。ラファエルは……驚き後ろに隠れるレイチェルの手を強く握る。


「ラファエル……その子は? 王国の姫様か?」


「……ええ。襲わないでください」


「安心しろ。もう枯れておる。それよりも……フム」


「……えっと。レイチェル・グローライトです」


「可愛いな。ヨシヨシ………苦労してるだろうな。色々。頑張りな」


「は……はい?」


 敵国の王に頭を撫でられ驚くレイチェル。ラファエルはその手を払い除ける。


「嫌がってる」


「そうか……お爺ちゃんやもんな。ラファエルしっかり護ってやれよ」


「はい」


「あと、来週優勝はワシな」


「ロイド。寝言を言うな。私である」


「……前哨戦でその自信折ってやるよ」


「ふふ……鏡を見せてやろう」


 仲がいいのか悪いのかわからない煽り合いを行い。皆が遊びに行ってしまう。そんな平和な日常とラファエルとロイドの絡みにレイチェルは……自分の父親を思い出し……少し悲しい気分になるのだった。


 男なら愛してくれたのだろうかと……思い切なくなる。頭の撫でてくれた暖かさや器の大きさを感じる。人が変われると皇帝は示した。


「レイチェル?」


「……ごめんなんでもないです」


「そうか……独楽は2つまでしか買えないから気を付けてね」


「えっ? どうして?」


「大人買いが起こってしまう。金がアホほど入れるバカもいる。ここでしか買えない地方民のが特に顕著だな」


「うん。わかった」


 レイチェルは気分を変えて時間をかけて独楽を選ぶのだった。


「……持久力型にしよう。いや……攻撃型が……」


「レイチェル……君結構やってたね……驚きだよその裏を見て吟味するのが」


「もちろんです!!」


 レイチェルはミェースチが作った事と時間を忘れるぐらいに独楽選びに悩むのだった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます

咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。 ​そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。 ​しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。 ​アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。 ​一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。 ​これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~

浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。 本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。 ※2024.8.5 番外編を2話追加しました!

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...