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裸の魔王様
しおりを挟むある世界で女神が負け、魔王が治める国がありました。魔王は色々あった婬魔の女性であり、人の形をし。肌は白珠のように白く、髪は金色の輝きを持ち。表情は凛とし、そして体も婬魔として男好みの綺麗な体型を持っていました。
そんな魔王のある日でのことです。魔国で謁見の間での会議が終わり。族長たちと魔王は談笑していました。族長とは大まかな9つに区分された種族の長たちであり。彼らは平和な時は時間が余るのです。
そして、その余った時間の時に女性の魔王にある物を献上しますといい。持ってこさせたのがありました。エルフ族の機織りがそれを持って魔王の前にお持ちします。
「ん……?」
そう、布をおかれているお盆のような台を機織りは魔王に見せました。しかし、魔王は何も見えない衣装に首を傾げます。
「これはなんでしょうか?」
「陽を信じる正直者にしか見えない衣装です」
そう、機織りは嘘をつきました。そして、族長たちもそれが嘘と知っており共犯です。族長たちは色んな思惑を持っています。冗談でどうなるかと言う好奇心。美しい魔王の体を一目見たいと言う欲。同じ女性でありながら垂れる事のない胸とお腹、肌の綺麗さを見たいと言う興味。一度は経産婦としての彼女の体を見れるのは魔王の配偶者だけの特別な物でした。ただ、彼らも馬鹿ではありません。魔王は正直答える方できっと冗談だろうと笑い話で済むぐらいに考えてました。
多くの思惑が満ちる部屋に魔王の優しい声が響きます。
「そうですか」
嘘に魔王は納得しました。しかし、魔王もそれが嘘であることを知っていました。何故なら魔王は裸の王様の童話を知っていたのです。
「綺麗な衣装ですね……本当に綺麗な」
だけど、魔王は嘘を重ねました。周りの者は心で何かが見えるのではと疑い出します。しかし、周りの者は見えないので褒めようがありません。
だけど魔王は見えないと言えばそれで良かったが、王と言うのは愚かであると言う事を知っていたため道化を演じようと決めました。決めたらあとは魔王は真っ直ぐ芯を持っている人。恥ずかしい気持ちはなくなり、元々女優としても人に魅せていたのです。演じるのは大得意でした。
「ちょっと、着替えてみます」
そう言い見えない服をその場で着替えだす魔王に族長たちは驚き固唾を飲んで見守ります。するするとドレスを脱ぎ靴を外し、下着姿で背中を見せます。止めるべきかどうかの判断に迷いが族長に生まれ周りと顔を見合わせます。
シュル、スルスル。
「「「!?」」」
止めようか周りを見て悩んでいた族長たちは衣擦れ音に驚き魔王を見ます。魔王は恥ずかしそうな様子もなく、見えない何かを一枚一枚裏表を確認しながらゆっくりとした手つきで着ていきます。装飾品もあるのか首飾りもつけ、族長たちは息を飲みます。
そう、服は本当に存在するような手つきではないでしょうか。そして……あるエルフの族長が声を漏らします。
「お、おお……」
周りはその族長がいきなりの感嘆な吐息に何があったかを聞くとその族長は手を合わせます。
「見えた。女王陛下……お美しゅうございます」
「結構、ゆとりがありますね」
「そうでしょうか? 腰はよく締まっており……非常に失礼かと存じますが魔王と言うイメージとはかけ離れたお姿です」
「失礼と言うよりも嬉しい賛辞です」
魔王はエルフ族長にニコっと笑う。するとダークエルフ族長が視線を下げだします。
「私には破廉恥なお姿と思います。スカートが短く感じますね」
「そうですか?」
「ええ、ただ……視線を奪われる事は確かです」
ダークエルフ族長に続いて、多くの族長がハッとした表情で服について色んな意見を言います。服を持ってきた機織りは困惑し様子を見ていると、どうでしょうか下着姿と思っていた魔王が服を着ているではないでしょうか。
まるで最初から着ていたかのようにミニスカートで若いコーディネートで機織りは衝撃を受けます。
「ん、では皆さん。そろそろ冗談はやめます。中々な名演、服を着ていたような仕草でしたでしょう?」
魔王が照れながらもそう言うと今度は族長たちが首を傾げました。
「服を着てらっしゃるのですが……皆はどう見えますか?」
「私はこんな服が欲しいです」
「嫁に着せ、愛でたいと俺は思う……似合うだろう」
9人が9人とも違う意見を述べます。そう、着ていると信じているのです。今度は魔王が困りました。着ていないと言うのに彼らはそれを信じなくなったのです。夢魔として人の理想の異性像、服を着ず下半身は裸で現れることに近い現象が起きてしまいました。
服を着ようにも使用人が服を着終わったと考え下げてしまい。どうしようかと困り果てている所に魔王の伴侶の勇者が現れました。
「おーい……ご飯食べに………なにがあった?」
「えっと……」
勇者は見慣れた下着姿の魔王の姿に困惑します。しかし、多くの出来事を魔王と歩んだ彼は静かに近づき自分のマントを被せて包み。姫様抱っこをそのまま皆に挨拶を済ませ部屋を出ます。その行動に魔王は疑問を持ちます。
「あの、服……見えたりしないのですか?」
「何の事かはご飯の時にゆっくり聞く。それよりもその姿じゃお店にもいけない。このまま部屋に戻るから支度しな」
「はい……」
そう、勇者は信じてないので服が見えませんでした。信じる正直者にしか見えない衣装が何故か見えないのです。魔王は言葉を思い出して気が付きました。
「顔が赤いがやっぱり恥ずかしかったんだろ……みんなの前でのあれが」
「いえ、そうじゃないです。今のこの状況が嬉しくて」
夢魔として人の理想の異性像、服を着ず下半身は裸で現れることは続いています。しかし、それは……勇者にとって彼女自身がそう信じる者だったのでした。
「姫様がご満足なら。おれも嬉しいよ」
「あなた……ずるい」
裸の魔王様はただただ、何故その行為を行ったことを忘れ勇者の横顔が見れない今を恥ずかしがるのでした。
そして部屋に残されたエルフ族長が思いつきます。
「そうだ!! 魔力を流せば透ける衣装を生み出そう!! 信じて見えるなら見えなくなる服も出来るはず!! 革命だ!! 服の歴史が変わる!!」
魔国で流行る。勝負服の開発秘話[裸の魔王様]の出来事でした。
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