(完結)見捨てられた令嬢は王子と出会う。[アルファ、scraiv専用]

書くこと大好きな水銀党員

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ヴィス家の毒母

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冬空を窓から眺め。部屋の寒さに身震いする日。トラストさんはこの寒空の下で駆け巡っているだろう。

 トラストさんは一人で戦うと決めたらしい。親が子の喧嘩に顔を出さないっと言ったが後ろ盾を手に入れた彼の動きは早かった。

 ワルダから聞くと色んな所で私の名前が噂されるようになる。

 私は引き込もっていたが一人でに噂が広まっているのだとか。あまりにも綺麗な令嬢とか、二人の名家の男を争わせる悪女や。皇帝の隠し子や………根の葉もない噂が立ち込める。憶測が憶測と混ざり真実を隠す。

 何故話題になるのかはわかっていた。娯楽と共に皇帝の直系の決闘。その中に私と言う玩具がいるのだ、赤の他人は楽しいだろう。そして、大事となりアフトクラトル家がやるっと決めたためにヌツェル家は………周りからの視線によって受けざるえないとも言えた。

 有名な家どあればあるほど。悪名良名は轟く。だからこそ、逃げられなくなったらしい。

 トラストさんはそこまで考えて親に謝ったのだろう。家のプライドが傷つくかもしれないから。そして………そんな中で。ある人が訪ねてきたのだ。


「お母様………」
「こんにちは」


 そう、実の母が遠路から来たのだ。ワルダが私たちを接待用の個室に案内し紅茶を淹れて退室する。

 無言。母とは祖父が死んだきり会っていなかった。父親の死に安堵する母を思い出して泣きそうになる。鼓動も激しく。吐き気もした。

 体が拒絶をする。嫌悪する。

「噂で聞いたわ。婚約したんですってね」
「は、はい………ありがとうございます。わざわざこちらに足を運んでいただき」
「勘違いしないで。別れなさいと言いに来たのよ」
「………はい?」

 私はギュッっと手を胸に持っていく。息苦しさがある。

「ち、父上はお許しになりましたが?」
「私は許さない。別れなさい………相手の家に迷惑よ。ヴィス家の一員になるが可哀想よ?」

 迷惑。母親から口に出る言葉は無慈悲だ。

「病気でしょ? 今にも苦しそうじゃない?」
「びょ、病気ですが………最近は薬に頼らず寝付けます」
「あらそう? でも、相手はあなたを知らないでしょう?」
「…………」

 母親が続ける。

「なにもできない。ヴィス家の汚点」
「…………」
「あなたは………褒められる女じゃないの分かる?」
「………うぅ」
「ホラ、すぐに泣きべそをかく。相手の家が可哀想………こんな塵みたいな子と婚約するなんて。相手にはリトラトス家とかヌツェル家がお似合いよ」

 私は泣く。この人はわざわざこんなことを言うために来たのかと。実の娘におめでとうの一言も言えないのかと。そして…………

 アフトクラトル家のお義父さんのように愛がないのかと絶望し悲しむ。

「アフトクラトル家でしたっけ? 言いに行きなさい婚約破棄を。あなたはダメな子なんですよ? なにもできない子なんですよ? わかる?」
「お母様!! そんな事を言うためにわざわざここまで足を運んだんですか‼」
「ええ? そうよ? なにか? おかしい?」
「お、おかあさま!?」
「私の面を汚す娘を叱りに来たのよ、優しいでしょ?」
「帰って!!」
「なっ!! 実の母に何て事を!!」

バッチーン!!

 頬に痛みが………それよりもあまりにも心が痛い。

「うぅ……うわぁああああん!!」
「うるさいわね!!」

 私は大きく叫んで泣く。気付かされる。

「大きくなって泣き虫ね!! あんたなんか産むんじゃなかったわ!!」
 私は…………母親に愛されてなんか無い事を。少し少しだけでも………希望していた。今日伺った時はもしかして!! と夢を見た。

 全て………………幻想だった。

「うるさい!! あなたね!! そんなだから婚約破棄されたのよ!! どうせ………泣いて男を捕まえたのでしょう‼ 同情を誘ってね!! 聞いたわよ!! リトラトス家のお嬢さんを苛めたのでしょう‼」

 私は母親の言葉に力が抜けて手を押さえて泣いてしまう。私の言葉もきっと何を言っても届かないのでしょう。

「うぅ、うぅ」
「うるさいって言ってるのよ!!」

 バチーン!!

 もう一発、勢いよく叩かれた。勢いよく扉が開く音がして抱き止められたのがわかった。

「何してるんだ!! アメリア大丈夫かい!!」

 私を抱く人の声が聞こえたが、誰かわからない。何も考えたくない。

「あら?………どちら様? 申し訳ないですが躾の邪魔です」
「躾………ですか………」
「ええそう………悪い子です」
「………何を悪い事したか教えてください」
「アフトクラトル家に迷惑をかけたこと。リトラトス家のお嬢さんから聞いたわよ。学園での悪行の日々」
「…………学園で悪さなどしておりませんよ」
「庇わないであげてこの子のためになりません」
「だから、躾は俺が行います。学園については調査をします。今回は自分が責任を負いますから落ち着いてください」
「…………あなたは誰かしら」
「婚約者トラスト・アフトクラトルです」
「そう、あなたが………私はリリア・ヴィス。彼女の母です」
「お義母さまでしたか。失礼しました」
「失礼したのはこちらです。婚約破棄し娘を引き取ります」
「………何を仰ってますか?」
「婚約破棄です。あなたはアフトクラトル家。わざわざこんなこの子ためにヴィス家の元へ来るのは可哀想です」
「………申し訳ないですが婚約破棄の件は無理です」
「どうして? 他にいい家はあるわ?」
「すでに交渉は終わり婚約破棄をするなら罰が下ります」
「あらそうなの? 体罰なら好きにさせるわ」
「…………婚約破棄はしません」
「私がするの。あなたは関係ないわ……さぁ!!立って!!」

 私の手を掴もうとする。その手に私は怯えながら払いのけられた。

「いたっ………なに?」
「………触らないでください」
「はぁ? あなたの物じゃないわよ。こんな女なんか護っても不幸になるわよ?………婚約破棄したでしょ? もうあなたはヴィス家とは無縁よ?」
「無縁ですね」
「じゃぁ、庇うのはよして」
「ですが。奥さんを虐められるのを黙っては見過ごせません」
「奥さん? だから………あなたはヴィス家にいらないの」
「………何を勘違いされてるんですか? ヴィス家に婿養子になるとは婚約交渉ではしないっと決まりましたよ?」
「………えっ?」
「お義母さま。お義父さまからは………何も伺って無いんですね」
「どういう事!? 婿養子じゃないですって!!」
「ええ、だから。彼女の名前はアメリア・アフトクラトルです。もう決まったこと」
「………まぁいいわ。婚約破棄よ……破棄」
「触るな……これは私の妻だ。婚約したのは自分です。例え実の母であろうともう覆りませんよ?」
「彼女は嫌がってるわよ」
「………彼女は疲れています。お帰りください」
「はぁ? 連れて帰ります」
「お帰りください」
「命令しないで」
「…………帰れと言ってるんだわからないか? ヴィス家当主に報告する」 
「あんなヘタレな旦那が何か出来るかしらね?」
「………」

 私は誰かに抱き抱えられて部屋を出る。部屋の外で伺っていたワルダに私は預けられた。

「ちょっと!! 待ちなさい!!」
「待つのはあなたです。斬られたく無ければ………」

シャン!!

「あなた!! 義母に剣を向けるつもり!?」
「狂い。暴れるので斬り落としたと言います。残念ですが女のヒステリックは気持ちが悪いです。何で彼女があそこまで…………なったのかわかりましたよ」
「…………畜生」

 私の母親が私を睨む。

「どうして………いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも!! あの子は男に護って貰えるのよ!! 父上も私には振り向きもしなかったのに何でそいつだけに振り向いたのよ!!」

 睨みながら口を動かして私を罵倒する。

「私とあなた!! 何が違うの!! 何が違うの!! なんであなたにはこんな彼が出来て私には一切いないのよ!! なんであなたは!!」

 母親が醜く醜く吐く。

「母親の私より!! 幸せなのよ!!」
「満足しましたか?………さぁ出ていけ。ここはアフトクラトル家だヴィス家の家じゃない。不法侵入で白騎士につきだす」
「くぅ……あなたも。私をそんな目で見るのね」

 母親は屋敷を出ていく。私に何も言わずに。

「ふぅ………運よく話が纏まり帰ってきて良かった。確かにあれは…………母親と呼べる人間じゃない。世の中にいるんだなあんな人。アメリア……大丈夫かい?」
「…………」

 誰か私に声をかける。護ってくれたらしい。ワルダが彼に私を預け直す。

「アメリア…………」

 誰かが私を強く抱き締め。頭を撫でてくれる。そして………強く口を塞がれる。

「ん…………んん?………トラストさん………トラストさん!?どうしてここに!!」
「………君が呼んだんだよきっと。助けてと」
「えっと………お母様は?」

 今さっきまで喧嘩していたのを覚えている。途中、プツッと糸が切れるような感覚があったが。

「帰えらした。もう二度と会うことはない」
「どうしてですか?」

 私は暖かい腕の中で彼に問いかける。優しく撫でてくれるトラストさんが囁いた。

「君はもう…………アフトクラトル家だからだ」

 優しく強く言い放った。


§


「アメリア………落ち着いたかい?」
「はい…………」

 寝室で俺はアメリアの体調を気遣う。あまりの唐突な母親の一方的な怨恨に、俺は背筋が冷えたあとに怒りが混み上がってきたのだった。

 追い返しはしたが……また来たら困る。今日はワルダが入っていこうとしたのを俺がちょうど居たから変わって貰ったが。次は無いと思う。

「トラストさん………いつも………助けて貰ってばっかりですね」
「当然の事をしたまでだ。それより…………君が昔の君に戻るんじゃないかヒヤヒヤしたよ」

 そう………やっと笑うようになったのに。

「…………少し。楽になりたいと思いました」
「やめてくれ。本当にやめてくれ」
「はい。トラストさんがいるから大丈夫です。償って行かないといけません………思い止まることが出来て良かったです」

 そう言ってぎこちなく彼女は笑う。その硬い笑みをほぐすように頬に触れ。彼女もその手の上に手を重ねる。

「お母様は………お父様からは大事に大事に育ってきてたんです。でも………甘やかし過ぎたと言ってました。だから………」
「母親は悪くないと?」
「…………言えないですよね。わかってるです。わかってたのに…………勝手に期待して………うぅ……」

 今日の彼女はすぐに泣いてしまう。昔のように。しかし………すぐにおさまる。

「そうだね。俺の母上はまぁ………優しい。だから俺もショックだったよ」
「トラストさんの母上は………」
「会った時はまぁ優しかったね」
「………はい」
「あれが本当の母親だよ」

 婚約したときに挨拶している。アメリアの母親に挨拶はしなかったのはお義父様の意見で会わせてはいけないっと言われたからだ。

 実際、わかった。会わせてはいけない。

「今日………早く帰ってこれたのは決闘が決まり。明日戦うからなんだ」
「す、すいません…………私情で」
「いいや。君は災難だったろうが俺は幸運だった。助けられたし、君の家族の問題を見た」

 会わせてはいけないことを学んだ。

「………明日は何処でですか?」
「明日は南方騎士決闘場に数人の見世物と数人の騎士の傍観の中で行う。代理が決まったそうだね」
「…………ケガしないでください」
「難しい注文だ。だけど………頑張って見るよ。君のために」

 俺は額にキスをして愛情を表現する。しかし………彼女は満足せず。口にもしてあげたのだった。
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