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第14章 聖戦
第459話 たんたん……ゲフンゲフン……(グロ注意)
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ヘイスティングスの処刑が続いている中でケビンは纏っていた魔力を収めると、保護した女の子たちに近づいて声をかけた。
「大丈夫? もうあいつらには手を出させないから安心していいよ」
ケビンの声かけに対して、精神状態が割かしまともな服を着ている女の子が疑問を投げかける。
「あのドラゴンは……?」
「君たちと同じであいつらに恨みがあってね。復讐をしているんだよ」
「そうですか……」
「詳しい事情とか話せるかな? 君たちを村へ送りたいんだけど」
「私は偉い人に献上すると言われて手を出されませんでした。だけど他の女の子たちは散々嬲られてしまい、中にはおかしくなって奴隷商に売られてしまった子たちもいます」
「奴隷商か……あいつらは救いようがないな……」
「それと中には家族を殺された人もいます。女の子たちを連れ去る時に家族へ手切れ金で金貨を渡していたのですが、中にはそれでも手離したくないと抵抗した家族もいて……殺されてそのあと魔物の餌にしたと……」
「詳しいね」
「あいつらが自慢げに語って脅すように喋っていたので。『お前らも従わなければ餌にする』って……」
「そうか……君の村はどこ? 家まで送るよ」
「私の家は……もう……」
「壊されたりしたの?」
「……魔物の餌に……みんな殺したって……」
静かに泣き出した女の子を見たケビンはふつふつと怒りが再燃し始めるが、他の女の子たちのことも気になったので声をかけてみる。
「君たちは大丈夫かな?」
「ぐずっ……もう怖いのはヤダ……」
「痛くされるのはもう嫌……」
「お腹空いてない? 温かいスープとか飲める?」
ケビンはあまり刺激しないように優しく声をかけると、スープを取り出しては女の子たちに配って飲むように促していく。女の子たちは恐る恐るそれを受け取りながらもケビンの様子を窺い、ケビンが「食べてもいいよ」と声をかけたら少しづつだが口に運んでいく。
その間にケビンはアリシテア王国内からヘイスティングスたちが売りに出した女の子を検索すると、何件かヒットしたので金貨と引き換えにこの場へ転移させた。
そして転移させられた女の子たちは顔に覇気がなく呼びかけても反応が薄かったので、ケビンは女の子たちから隷属の首輪を外すと処刑を見学していたクララとアブリルを呼んで、女の子たちの世話を頼むのだった。
「任せよ、この者たちは主殿の花嫁になるのだしの」
「そうなのですか? では主様のためにも、この子たちは私めが責任を持ってお世話をさせていただきます」
「おい、クララ。余計なことを言うからアブリルが勘違いをしただろ」
「違うのか? 今までの主殿は酷い目にあったおなごたちを助けたあとは、もれなく嫁にしておるではないか」
「ぐっ……そ、それはだな……色々と理由があって……」
「よいよい、今更言い訳をしたところで事実は変わりはせん」
「ち、違う! 嫁にしていない子だってちゃんといるんだぞ」
「はて……そのような者はおったかのう……」
「獣人族の奴隷は故郷へ帰しただろ! 最後に奴隷からも解放したし!」
「おお、そういえばそういう活動をしておったの。ふむ、それは面目ない。しかし、そういえばあの時に奴隷を買って嫁にしておらんかったか? リーチェやらヴァレリアやら……フィオナ、ジゼル、ヘレンの3人に至っては酷い目にあっておったよの?」
「くっ……薮蛇だったか……」
「くくくっ、主殿はカワイイの。ソフィ殿が揶揄う気持ちもわかるというものよ」
「長はズルいです。主様とじゃれあうなら私めも混ぜてください」
処刑の現場とは思えないほど和気あいあいと会話するケビンたちは、傍から見れば場違いなほど浮いていた。
そしてそのような時に、満足のいったドラゴンがケビンへと報告する。
「(我が王よ、ありがとうございます。だいぶ気持ちが晴れました)」
「(そうか。復讐をしたところで失ったものは取り返せないけど、復讐は何も生まないって戯れ言を言うつもりもないしな。満足したのならその復讐は価値のあるものだ)」
「(我が王に最大の感謝を)」
「(これからどうする? 帰るか?)」
「(はい。パレスに戻ってことの経緯を報告しておきます)」
「(わかった。あとで行くからみんなにもよろしく伝えておいてくれ)」
ケビンはそう伝えるとドラゴンをパレスへと転移させて、ひと足先に帰らせるのであった。
そしてケビンは最後の仕上げをするために、ヘイスティングスの元へ近づくと声をかける。
「よう、気分はどうだ? 腐れ騎士団長殿」
「ま……魔王……」
何度も死ぬほどの経験をしたためか、最初の頃のような威勢の良さは陰りを見せて、ヘイスティングスのその表情は疲れ果てていた。
「まぁ、あれだけのことをされて狂ってないところは褒めてやる。お前の部下たちはそうでもないようだが」
ケビンの向ける視線の先には、歯をガチガチとさせながら震えている団員たちの姿があった。
「死にたくねぇ、死にたくねぇ……」
「もう嫌だ……死なせてくれ……」
「ざまぁないな。自分たちのしてきたことが、そのまま返ってきただけだというのに」
「魔王っ! ヘイスティングスたちを今すぐ解放しなさい!」
ケビンとヘイスティングスの会話に横から割り込んできたのは、見えない壁を叩いているガブリエルだった。
「仰せのままに、総団長殿」
ガブリエルへ素直にそう答えたケビンは黒い魔力を纏うと、ヘイスティングスの部下の1人を魔力で吊し上げた。
「やっていることが違います! 私が言ったのは解放です!」
「だからこの世から解放してやってんだ! 少しは黙って見てろ、あやつり人形が!」
「んなっ!?」
ケビンの物言いに対してガブリエルが唖然とする中で、ケビンは吊し上げた男を結界外へ出すと力を行使する。そうするとブルブルと震えているだけだった男に変化が訪れた。
「あ……あっ……うわあぁぁぁぁっ!」
吊し上げられた男の体はみるみるうちに干からびていき、四肢の末端から朽ちていくとボロボロと崩れ落ちては、風とともに粉塵がサーッと流されていく。
「――ッ!」
あまりにも壮絶な光景を目の当たりにするセレスティア皇国軍は、誰しもが息を飲む。遠くに位置する者は何が起きているのかわからなくとも、本陣にいる神殿騎士団を前にして、何不自由なく殺しているという事実を理解しており、ドラゴンの暴虐の時と同様にガタガタと震えることしかできなかった。
遠くにいた者でそうなのだ。状況が把握できる比較的近くにいる者や目の前にいるガブリエルたちは、想像を絶する処刑方法に何もできずに立ち尽くすばかりであった。
やがて防具すらも朽ち果てて風に攫われていく中で、吊し上げられた男は同じようにサラサラと風とともにこの場から存在が消えていく。それを見ていた当事者である白の騎士団は、恐怖のあまり気絶してしまった者までいた。
「い……嫌だぁぁぁぁっ! た、助けてくれぇぇぇぇっ!」
この場から逃げさろうとなりふり構わず走り出した錯乱する団員は、見えない壁にぶつかると必死の形相でその壁を殴り壊そうとするが、ケビンの作り出した結界がその程度で壊れるはずもなく、後ろから伸びてきたケビンの魔力によって絡め取られてしまう。
「ひぃっ! だ、団長、総団長! た、助けてっ! 死にたくない、死にたくない!」
団員の助けを呼ぶ声で我に返ったガブリエルがケビンへ怒鳴りつけるが、ケビンは無視してその男に対しても処刑を開始する。
「今、なにかピンときたぞ。お前の処刑方法はこれだ」
ケビンが何かを感じて違う処刑方法を思いつくと、男のなにがしが徐々に膨らんでいき、それに気づいていない男が先に死んだ仲間のように、自身の体が干からびていないことに困惑する。
「へっ……?」
そして次第に膨らみが信楽焼の子狸のように大きくなっていくと、男も何をされているのか気づいてしまうが、ケビンは昔を思い出して替え歌を即興で作り出してしまうのだった。
「クズクズ男のなにがしは~つ~みが重くて破裂する~」
そこまでしか覚えていなかったケビンが歌い終わると、男は狂乱するが処刑は止まらず甲高い音とともになにがしが破裂するのだった。
「ぎゃああああ――!」
「巻き戻して2番いってみよー!」
ケビンは処刑中だと言うのに明るい声で声を挙げるが、現場の男たちは自身のなにがしを押さえては苦悶の表情を浮かべている。それは図らずも周りにいた関係のない騎士や一般兵の男たちも同様で、なにがしがキュッと縮こまるとそこを押さえて同様の表情となるのである。
そして自動回復によりなにがしが元に戻った処刑中の男は、再び地獄の讃美歌となるケビンの歌を耳にするのだった。
「クズクズ男のなにがしは~炙られ落とされ口の中~」
ケビンの歌が始まると、今度は魔法によって火で炙られた後に切り落とされ、それが男の口の中へと転移させられる。そして切り落とされた部分は、またもや自動回復により元に戻るエンドレスとなる。
「焼き加減はどうかな? 上手に焼けたと思うけど、しっかり味わって飲み込めよ?」
口の中になにがしを入れられた男はすぐさま吐き出したかったが、ケビンの魔力によって口を塞がれており、モゴモゴと何かを訴えかけているがそれが言葉になることはない。
「女の子の気持ちがわかったか? お前も無理やり突っ込んだんだろ?」
ケビンがそう問いかけるが、男は噛む気も飲み込む気もないのか口を一切動かさなくなると、それを見たケビンが許すわけもなく魔法によって強制させるために行動へ移した。
「《ヒプノシス》」
ケビンの闇属性魔法によって男が催眠状態へ落ちると、ケビンは男の意志とは関係なく、口に入れられたものを咀嚼して飲み込むように暗示をかける。そして、暗示を残されたまま魔法を解除された男は、自分の意志とは関係なくケビンが出した指示を遂行していき、口の中のなにがしを咀嚼したら飲み込んでしまった。
「お、おえぇぇぇぇ――」
必死に飲み込んだものを吐き出そうとする男だったが、胃の中の物は出てこずに吐き気のする気持ち悪さだけが体の中を占めていく。そして、同じことを他の全員にもして、その光景をケビンが眺めているとふと妙案が浮かんでしまった。
「あ、いいことを思いついた」
そして、ケビンが何かを喋る度にビクッと反応する白の騎士団の者たちは、完全に戦意を喪失しておりガクガクと震えながら失禁しているのだった。
「お前たちのしたことをお前たちも味わうといい」
それを白の騎士団の者たちに告げたケビンは、全員を催眠状態へ落とすと団員同士で乱交するように色々と暗示をかけていく。
「正気を失ったらつまらないから精神保護を追加で結界に付与して、臭くなりそうだし、消臭も付けとくか」
色々と準備の終わったケビンが《ヒプノシス》を解除すると、暗示のかかったままの団員たちがお互いに困惑しながら視線を交わす。
「喜べお前ら、ポークビッツをオークサイズにしてやるから、存分に楽しめ。それでは、よーいドン!」
ケビンの掛け声がかかると、団員たちは自分の意思とは無関係で他の団員たちへと襲いかかる。
「おっ、ヘイスティングス。お前、団員たちに好かれてるみたいだな」
ケビンの見つめる先では、多数の団員たちに押し倒されているヘイスティングスの姿があった。
「やめろ、お前ら! 俺は団長だぞ!」
「体が勝手に動いているんです!」
「俺だって団長となんかしたくねぇ!」
「や、やめろ! そこに入れるんじゃねぇ!」
「体が勝手に……は、入った!?」
「さ、裂けるぅぅぅぅ!」
「女より締まってる!? 団長のケツ穴気持ちいい! おっ、おっ、くっ、出る!」
「やめろ、出すなっ! くそっ、早漏が俺のケツに出しやがって……早く抜きやがれ、ケツが裂けて痛てぇ!」
「おいてめぇ、なに口に突っ込もうとしてんだ!」
「団長、避けてくれ! 俺だって突っ込みたくねぇ!」
「ふごっ、ごふっ、お"お"……」
「あっ、あっ、団長の口の中、あったけぇ……おっ、出る! この際だ、飲んでくれ団長!」
「お"お"っ、んぐ、んぐ……ちゅぼっ……お、お"え"ぇぇぇぇ――」
他の場所では。
「いだぁぁぁぁっ!」
「腰が止まらねぇ! ん……意外と気持ちいい!」
「抜け、バカヤロー!」
「すまねぇ、体が勝手に動くんだ。うっ、出る!」
「ごあっ、ふごっ、お"ぇ"っ……」
「やめろ、舐めるな出ちまう! てめぇ、女よりうめえじゃねぇか!? うっ……だ、出すぞ! もうどうでもいい、全部飲み干せ!」
「んんー! んく、んく……ジュポッ……お"え"ぇぇぇぇ――」
「うわぁ……お前ら、やれれば男相手でもいいのかよ……それなら、何回もできるように自動回復を付け直して……と、あとは男色に目覚め始めてるやつがいるから、射精促進以外の快感を消して不快さだけを残しとくか」
更なる追い打ちをかけたケビンによって、現場は阿鼻叫喚の地獄絵図となる。そのような時にずっと見学していたクララが、作業を終えたケビンへと声をかける。
「主殿よ、これは見栄えが悪いの」
「仕方ないだろ。処刑なんだから」
「私めはすぐに殺すかと思っておりました」
「いつもそれをしていて、もっと甚振ればよかったってあとで思うんだよ」
「それにしても先程の歌は頭に残るものよのう……クズクズ男のなにがしは~……か? しばらく忘れそうにない」
「つ~みが重くて破裂する~……ですね。確かに頭に残る歌です」
3人がなんてことのないように会話をしている中で、周りにいるセレスティア皇国軍は平気な顔をしてえげつないことをしているケビンや、それを顔色ひとつ変えずに淡々と会話をしているクララたちへ戦々恐々としてしまい、顔を青ざめている者や腰を抜かしてガクガクと震えている者と様々であった。
そしてケビンは女の子たちの所へ行くと、これからの処刑についてどうするのかを問いかけていく。
「あとはあいつらを殺したら終わりだけど、殺す? それとも生かす?」
ケビンのその問いかけに1人の女の子が気になることを問いかけた。
「生かしたらどうなるの?」
「死ぬまで酷い目に合ってもらう」
その答えを聞いた女の子は生かす方を選ぶと、周りにいた女の子たちも同様の選択をしていく。
「わかった。それじゃあ、あいつらは死ぬその時まで苦しみ抜いてもらおう」
そしてケビンが団員たちの所へ向かうと、その団員たちは見るに堪えない散々な状況を作り出しているが、その団員たちへケビンが声をかけた。
「女の子たちからの要望でお前らを生かすことにした」
ケビンの言葉を聞いた団員たちは安堵したいのだが、自分の意思とは無関係で腰を振ったり、穴を掘られている状況が続いているので喜ぶに喜べない。
だが、それを同じく聞いていた神殿騎士団や割かし近くにいる一般兵の面々は、ようやく阿鼻叫喚の処刑が終わるのだと思い、安堵している。
そしてケビンが団員たちにかかっている暗示を解くと、交わり続けていた団員たちは暗示が解けた途端に勢いよく離れるのだった。
「どうだ? 無理やりやられた気分は?」
ケビンからそう問われるものの団員たちは白濁液まみれとなっており、気持ち悪さが拭えないで答えることができなかった。
そのような団員たちのことなど知ったことではないケビンは、団員たちの体を女性へと変換すると、それを見ていた周りの者たちはおろか団員たちですら唖然としてしまう。
そしてケビンは白濁液まみれの団員たちに触りたくないので、《煉獄》によって身につけている鎧を燃やし尽くすと、処刑用の首輪を転移によって取り付けたらその効果を淡々と説明していき、いつものようにゴブリンやオークの巣へ送り込んでいった。
そして次々と喚き散らす団員たちを転移させては、わざとそうしているかのようにモニターを表示させて知らしめるのである。
「お、お願いです! お願いします、もうやめてください!」
ガブリエルが無力感から涙を流しながらケビンへ頭を下げると、無視を続けていたケビンはガブリエルへと語りかけた。
「おい、魔王相手に頭を下げるとは、それでも栄えある神殿騎士団の総団長か? 最初の威勢はどうした? 魔王である俺を討伐するんだろ?」
ケビンはガブリエルへそう告げると、白の騎士団の最後の1人であるヘイスティングスを、見せつけるかのようにして魔力で絡めとる。
「や、やめろっ! 女たちを攫ったのは謝る。そ、そうだ、賠償金も払う! だからやめろ!」
「処刑前までの流暢な言葉遣いはどうしたんだ? 化けの皮が剥がれてるぞ?」
ヘイスティングスをじわじわとなぶるようにケビンが時間をかけて揺らしていると、更にケビンを止める声が神殿騎士団側から挙がった。
「もうやめて! ケビン君!」
「大丈夫? もうあいつらには手を出させないから安心していいよ」
ケビンの声かけに対して、精神状態が割かしまともな服を着ている女の子が疑問を投げかける。
「あのドラゴンは……?」
「君たちと同じであいつらに恨みがあってね。復讐をしているんだよ」
「そうですか……」
「詳しい事情とか話せるかな? 君たちを村へ送りたいんだけど」
「私は偉い人に献上すると言われて手を出されませんでした。だけど他の女の子たちは散々嬲られてしまい、中にはおかしくなって奴隷商に売られてしまった子たちもいます」
「奴隷商か……あいつらは救いようがないな……」
「それと中には家族を殺された人もいます。女の子たちを連れ去る時に家族へ手切れ金で金貨を渡していたのですが、中にはそれでも手離したくないと抵抗した家族もいて……殺されてそのあと魔物の餌にしたと……」
「詳しいね」
「あいつらが自慢げに語って脅すように喋っていたので。『お前らも従わなければ餌にする』って……」
「そうか……君の村はどこ? 家まで送るよ」
「私の家は……もう……」
「壊されたりしたの?」
「……魔物の餌に……みんな殺したって……」
静かに泣き出した女の子を見たケビンはふつふつと怒りが再燃し始めるが、他の女の子たちのことも気になったので声をかけてみる。
「君たちは大丈夫かな?」
「ぐずっ……もう怖いのはヤダ……」
「痛くされるのはもう嫌……」
「お腹空いてない? 温かいスープとか飲める?」
ケビンはあまり刺激しないように優しく声をかけると、スープを取り出しては女の子たちに配って飲むように促していく。女の子たちは恐る恐るそれを受け取りながらもケビンの様子を窺い、ケビンが「食べてもいいよ」と声をかけたら少しづつだが口に運んでいく。
その間にケビンはアリシテア王国内からヘイスティングスたちが売りに出した女の子を検索すると、何件かヒットしたので金貨と引き換えにこの場へ転移させた。
そして転移させられた女の子たちは顔に覇気がなく呼びかけても反応が薄かったので、ケビンは女の子たちから隷属の首輪を外すと処刑を見学していたクララとアブリルを呼んで、女の子たちの世話を頼むのだった。
「任せよ、この者たちは主殿の花嫁になるのだしの」
「そうなのですか? では主様のためにも、この子たちは私めが責任を持ってお世話をさせていただきます」
「おい、クララ。余計なことを言うからアブリルが勘違いをしただろ」
「違うのか? 今までの主殿は酷い目にあったおなごたちを助けたあとは、もれなく嫁にしておるではないか」
「ぐっ……そ、それはだな……色々と理由があって……」
「よいよい、今更言い訳をしたところで事実は変わりはせん」
「ち、違う! 嫁にしていない子だってちゃんといるんだぞ」
「はて……そのような者はおったかのう……」
「獣人族の奴隷は故郷へ帰しただろ! 最後に奴隷からも解放したし!」
「おお、そういえばそういう活動をしておったの。ふむ、それは面目ない。しかし、そういえばあの時に奴隷を買って嫁にしておらんかったか? リーチェやらヴァレリアやら……フィオナ、ジゼル、ヘレンの3人に至っては酷い目にあっておったよの?」
「くっ……薮蛇だったか……」
「くくくっ、主殿はカワイイの。ソフィ殿が揶揄う気持ちもわかるというものよ」
「長はズルいです。主様とじゃれあうなら私めも混ぜてください」
処刑の現場とは思えないほど和気あいあいと会話するケビンたちは、傍から見れば場違いなほど浮いていた。
そしてそのような時に、満足のいったドラゴンがケビンへと報告する。
「(我が王よ、ありがとうございます。だいぶ気持ちが晴れました)」
「(そうか。復讐をしたところで失ったものは取り返せないけど、復讐は何も生まないって戯れ言を言うつもりもないしな。満足したのならその復讐は価値のあるものだ)」
「(我が王に最大の感謝を)」
「(これからどうする? 帰るか?)」
「(はい。パレスに戻ってことの経緯を報告しておきます)」
「(わかった。あとで行くからみんなにもよろしく伝えておいてくれ)」
ケビンはそう伝えるとドラゴンをパレスへと転移させて、ひと足先に帰らせるのであった。
そしてケビンは最後の仕上げをするために、ヘイスティングスの元へ近づくと声をかける。
「よう、気分はどうだ? 腐れ騎士団長殿」
「ま……魔王……」
何度も死ぬほどの経験をしたためか、最初の頃のような威勢の良さは陰りを見せて、ヘイスティングスのその表情は疲れ果てていた。
「まぁ、あれだけのことをされて狂ってないところは褒めてやる。お前の部下たちはそうでもないようだが」
ケビンの向ける視線の先には、歯をガチガチとさせながら震えている団員たちの姿があった。
「死にたくねぇ、死にたくねぇ……」
「もう嫌だ……死なせてくれ……」
「ざまぁないな。自分たちのしてきたことが、そのまま返ってきただけだというのに」
「魔王っ! ヘイスティングスたちを今すぐ解放しなさい!」
ケビンとヘイスティングスの会話に横から割り込んできたのは、見えない壁を叩いているガブリエルだった。
「仰せのままに、総団長殿」
ガブリエルへ素直にそう答えたケビンは黒い魔力を纏うと、ヘイスティングスの部下の1人を魔力で吊し上げた。
「やっていることが違います! 私が言ったのは解放です!」
「だからこの世から解放してやってんだ! 少しは黙って見てろ、あやつり人形が!」
「んなっ!?」
ケビンの物言いに対してガブリエルが唖然とする中で、ケビンは吊し上げた男を結界外へ出すと力を行使する。そうするとブルブルと震えているだけだった男に変化が訪れた。
「あ……あっ……うわあぁぁぁぁっ!」
吊し上げられた男の体はみるみるうちに干からびていき、四肢の末端から朽ちていくとボロボロと崩れ落ちては、風とともに粉塵がサーッと流されていく。
「――ッ!」
あまりにも壮絶な光景を目の当たりにするセレスティア皇国軍は、誰しもが息を飲む。遠くに位置する者は何が起きているのかわからなくとも、本陣にいる神殿騎士団を前にして、何不自由なく殺しているという事実を理解しており、ドラゴンの暴虐の時と同様にガタガタと震えることしかできなかった。
遠くにいた者でそうなのだ。状況が把握できる比較的近くにいる者や目の前にいるガブリエルたちは、想像を絶する処刑方法に何もできずに立ち尽くすばかりであった。
やがて防具すらも朽ち果てて風に攫われていく中で、吊し上げられた男は同じようにサラサラと風とともにこの場から存在が消えていく。それを見ていた当事者である白の騎士団は、恐怖のあまり気絶してしまった者までいた。
「い……嫌だぁぁぁぁっ! た、助けてくれぇぇぇぇっ!」
この場から逃げさろうとなりふり構わず走り出した錯乱する団員は、見えない壁にぶつかると必死の形相でその壁を殴り壊そうとするが、ケビンの作り出した結界がその程度で壊れるはずもなく、後ろから伸びてきたケビンの魔力によって絡め取られてしまう。
「ひぃっ! だ、団長、総団長! た、助けてっ! 死にたくない、死にたくない!」
団員の助けを呼ぶ声で我に返ったガブリエルがケビンへ怒鳴りつけるが、ケビンは無視してその男に対しても処刑を開始する。
「今、なにかピンときたぞ。お前の処刑方法はこれだ」
ケビンが何かを感じて違う処刑方法を思いつくと、男のなにがしが徐々に膨らんでいき、それに気づいていない男が先に死んだ仲間のように、自身の体が干からびていないことに困惑する。
「へっ……?」
そして次第に膨らみが信楽焼の子狸のように大きくなっていくと、男も何をされているのか気づいてしまうが、ケビンは昔を思い出して替え歌を即興で作り出してしまうのだった。
「クズクズ男のなにがしは~つ~みが重くて破裂する~」
そこまでしか覚えていなかったケビンが歌い終わると、男は狂乱するが処刑は止まらず甲高い音とともになにがしが破裂するのだった。
「ぎゃああああ――!」
「巻き戻して2番いってみよー!」
ケビンは処刑中だと言うのに明るい声で声を挙げるが、現場の男たちは自身のなにがしを押さえては苦悶の表情を浮かべている。それは図らずも周りにいた関係のない騎士や一般兵の男たちも同様で、なにがしがキュッと縮こまるとそこを押さえて同様の表情となるのである。
そして自動回復によりなにがしが元に戻った処刑中の男は、再び地獄の讃美歌となるケビンの歌を耳にするのだった。
「クズクズ男のなにがしは~炙られ落とされ口の中~」
ケビンの歌が始まると、今度は魔法によって火で炙られた後に切り落とされ、それが男の口の中へと転移させられる。そして切り落とされた部分は、またもや自動回復により元に戻るエンドレスとなる。
「焼き加減はどうかな? 上手に焼けたと思うけど、しっかり味わって飲み込めよ?」
口の中になにがしを入れられた男はすぐさま吐き出したかったが、ケビンの魔力によって口を塞がれており、モゴモゴと何かを訴えかけているがそれが言葉になることはない。
「女の子の気持ちがわかったか? お前も無理やり突っ込んだんだろ?」
ケビンがそう問いかけるが、男は噛む気も飲み込む気もないのか口を一切動かさなくなると、それを見たケビンが許すわけもなく魔法によって強制させるために行動へ移した。
「《ヒプノシス》」
ケビンの闇属性魔法によって男が催眠状態へ落ちると、ケビンは男の意志とは関係なく、口に入れられたものを咀嚼して飲み込むように暗示をかける。そして、暗示を残されたまま魔法を解除された男は、自分の意志とは関係なくケビンが出した指示を遂行していき、口の中のなにがしを咀嚼したら飲み込んでしまった。
「お、おえぇぇぇぇ――」
必死に飲み込んだものを吐き出そうとする男だったが、胃の中の物は出てこずに吐き気のする気持ち悪さだけが体の中を占めていく。そして、同じことを他の全員にもして、その光景をケビンが眺めているとふと妙案が浮かんでしまった。
「あ、いいことを思いついた」
そして、ケビンが何かを喋る度にビクッと反応する白の騎士団の者たちは、完全に戦意を喪失しておりガクガクと震えながら失禁しているのだった。
「お前たちのしたことをお前たちも味わうといい」
それを白の騎士団の者たちに告げたケビンは、全員を催眠状態へ落とすと団員同士で乱交するように色々と暗示をかけていく。
「正気を失ったらつまらないから精神保護を追加で結界に付与して、臭くなりそうだし、消臭も付けとくか」
色々と準備の終わったケビンが《ヒプノシス》を解除すると、暗示のかかったままの団員たちがお互いに困惑しながら視線を交わす。
「喜べお前ら、ポークビッツをオークサイズにしてやるから、存分に楽しめ。それでは、よーいドン!」
ケビンの掛け声がかかると、団員たちは自分の意思とは無関係で他の団員たちへと襲いかかる。
「おっ、ヘイスティングス。お前、団員たちに好かれてるみたいだな」
ケビンの見つめる先では、多数の団員たちに押し倒されているヘイスティングスの姿があった。
「やめろ、お前ら! 俺は団長だぞ!」
「体が勝手に動いているんです!」
「俺だって団長となんかしたくねぇ!」
「や、やめろ! そこに入れるんじゃねぇ!」
「体が勝手に……は、入った!?」
「さ、裂けるぅぅぅぅ!」
「女より締まってる!? 団長のケツ穴気持ちいい! おっ、おっ、くっ、出る!」
「やめろ、出すなっ! くそっ、早漏が俺のケツに出しやがって……早く抜きやがれ、ケツが裂けて痛てぇ!」
「おいてめぇ、なに口に突っ込もうとしてんだ!」
「団長、避けてくれ! 俺だって突っ込みたくねぇ!」
「ふごっ、ごふっ、お"お"……」
「あっ、あっ、団長の口の中、あったけぇ……おっ、出る! この際だ、飲んでくれ団長!」
「お"お"っ、んぐ、んぐ……ちゅぼっ……お、お"え"ぇぇぇぇ――」
他の場所では。
「いだぁぁぁぁっ!」
「腰が止まらねぇ! ん……意外と気持ちいい!」
「抜け、バカヤロー!」
「すまねぇ、体が勝手に動くんだ。うっ、出る!」
「ごあっ、ふごっ、お"ぇ"っ……」
「やめろ、舐めるな出ちまう! てめぇ、女よりうめえじゃねぇか!? うっ……だ、出すぞ! もうどうでもいい、全部飲み干せ!」
「んんー! んく、んく……ジュポッ……お"え"ぇぇぇぇ――」
「うわぁ……お前ら、やれれば男相手でもいいのかよ……それなら、何回もできるように自動回復を付け直して……と、あとは男色に目覚め始めてるやつがいるから、射精促進以外の快感を消して不快さだけを残しとくか」
更なる追い打ちをかけたケビンによって、現場は阿鼻叫喚の地獄絵図となる。そのような時にずっと見学していたクララが、作業を終えたケビンへと声をかける。
「主殿よ、これは見栄えが悪いの」
「仕方ないだろ。処刑なんだから」
「私めはすぐに殺すかと思っておりました」
「いつもそれをしていて、もっと甚振ればよかったってあとで思うんだよ」
「それにしても先程の歌は頭に残るものよのう……クズクズ男のなにがしは~……か? しばらく忘れそうにない」
「つ~みが重くて破裂する~……ですね。確かに頭に残る歌です」
3人がなんてことのないように会話をしている中で、周りにいるセレスティア皇国軍は平気な顔をしてえげつないことをしているケビンや、それを顔色ひとつ変えずに淡々と会話をしているクララたちへ戦々恐々としてしまい、顔を青ざめている者や腰を抜かしてガクガクと震えている者と様々であった。
そしてケビンは女の子たちの所へ行くと、これからの処刑についてどうするのかを問いかけていく。
「あとはあいつらを殺したら終わりだけど、殺す? それとも生かす?」
ケビンのその問いかけに1人の女の子が気になることを問いかけた。
「生かしたらどうなるの?」
「死ぬまで酷い目に合ってもらう」
その答えを聞いた女の子は生かす方を選ぶと、周りにいた女の子たちも同様の選択をしていく。
「わかった。それじゃあ、あいつらは死ぬその時まで苦しみ抜いてもらおう」
そしてケビンが団員たちの所へ向かうと、その団員たちは見るに堪えない散々な状況を作り出しているが、その団員たちへケビンが声をかけた。
「女の子たちからの要望でお前らを生かすことにした」
ケビンの言葉を聞いた団員たちは安堵したいのだが、自分の意思とは無関係で腰を振ったり、穴を掘られている状況が続いているので喜ぶに喜べない。
だが、それを同じく聞いていた神殿騎士団や割かし近くにいる一般兵の面々は、ようやく阿鼻叫喚の処刑が終わるのだと思い、安堵している。
そしてケビンが団員たちにかかっている暗示を解くと、交わり続けていた団員たちは暗示が解けた途端に勢いよく離れるのだった。
「どうだ? 無理やりやられた気分は?」
ケビンからそう問われるものの団員たちは白濁液まみれとなっており、気持ち悪さが拭えないで答えることができなかった。
そのような団員たちのことなど知ったことではないケビンは、団員たちの体を女性へと変換すると、それを見ていた周りの者たちはおろか団員たちですら唖然としてしまう。
そしてケビンは白濁液まみれの団員たちに触りたくないので、《煉獄》によって身につけている鎧を燃やし尽くすと、処刑用の首輪を転移によって取り付けたらその効果を淡々と説明していき、いつものようにゴブリンやオークの巣へ送り込んでいった。
そして次々と喚き散らす団員たちを転移させては、わざとそうしているかのようにモニターを表示させて知らしめるのである。
「お、お願いです! お願いします、もうやめてください!」
ガブリエルが無力感から涙を流しながらケビンへ頭を下げると、無視を続けていたケビンはガブリエルへと語りかけた。
「おい、魔王相手に頭を下げるとは、それでも栄えある神殿騎士団の総団長か? 最初の威勢はどうした? 魔王である俺を討伐するんだろ?」
ケビンはガブリエルへそう告げると、白の騎士団の最後の1人であるヘイスティングスを、見せつけるかのようにして魔力で絡めとる。
「や、やめろっ! 女たちを攫ったのは謝る。そ、そうだ、賠償金も払う! だからやめろ!」
「処刑前までの流暢な言葉遣いはどうしたんだ? 化けの皮が剥がれてるぞ?」
ヘイスティングスをじわじわとなぶるようにケビンが時間をかけて揺らしていると、更にケビンを止める声が神殿騎士団側から挙がった。
「もうやめて! ケビン君!」
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