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第240話 もう遅い
しおりを挟むボクとメスガキ幼女との関係を問い質すために開かれた家族会議という名の事情聴取ですが、ボクの嘘偽りない回答に安心したお嫁さん達は納得した顔で終わりました。お仕置きされちゃうのかとビクビクしましたが、何とかなって良かったです。
そして何と、ミウちゃんが裏ダンジョンの攻略許可を出してくれたのでした! ミウちゃんは裏ダンジョンで自主練を繰り返してレベル上げをしまくった猛者ですからね、ボクの低レベルな秘密の穴とは訳が違いますよ。
家族会議が終わったところ、ミウちゃんは用事があるといってお部屋に行ってしまったのでボクはお昼寝をする事にしました。徹夜でアメリカンピュッピュをしてからの美奈子さんラブラブチュッチュですからね、さすがのボクもお疲れなのです。家族会議で精神的にも疲れました……。
お昼寝というには遅すぎる時間に仮眠を取ったボクは、クゥクゥと鳴るお腹の音で目を覚ました。きっと愛棒がもっと栄養を寄越せと張り切っているのでしょう。ふふ、まだラスボスを倒してもいないのに裏ダンジョンを攻略ですよ? ワクワクドキドキが止まらないのです。……ラスボスって誰だろうね?
愛棒のために栄養を摂取するべく、ミウちゃんのお部屋をコンコンとノックしてディナーのお誘いです。
「ミウちゃん、ご飯食べに行きましょうー!」
ドアが開いてミウちゃんが顔だけ出して来ました。むむっ、何やら顔が赤いですよ?
「あ、ごめんねユウタ。夕飯は要らないから好きなもの食べて来てー」
「えっ、そうですか? あのあの、もしかして具合が悪かったり……?」
家族会議が終わった時は特に具合が悪そうには見えなかったけど、女の子はデリケートですからね。
「ち、違うよ? も、もう、ユウタは気にしないで良いからご飯食べて来て」
怪しいですねぇ……。こうなったら姫ちゃん先輩の必殺技、泣き落とし作戦です! 姫ちゃん先輩と違ってボクの演技は一級品ですからね、きっとミウちゃんはオロオロして説明してくれるでしょう。
「で、でもでも、ミウちゃんが心配ですぅ~」
「うっ……、まぁ別に隠してもしょうがないからいっか。今ね……夜の準備してるの」
「よ、夜の準備……?」
姫ちゃん先輩と違ってボクの必殺技は効果的だったようで、ミウちゃんが顔を赤くして恥ずかしそうに言った。夜の準備ってアレですか? 裏ダンジョン!!
「ユウタのおっきなおちんちんが入るように、今から入念にお掃除して慣らしてるんだ。だから……ね、楽しみにしててユウタ」
「う、うんっ!!」
そうか、ミウちゃんは自主練の最中だったのか。夕飯を食べないのもそれが理由だろう。ご飯を食べたら裏ダンジョンに生息する悪いスライムが活発になっちゃいますからね。さすミウ!!
という事で、ボクは一人寂しくレストランに向かったのでした。
◇
夜景の見えるレストランはセレブなお客で大賑わいだった。女装もしていないボクが来たら大混乱になるかと思ったけど、セレブな人達は軽く挨拶してくるだけでガツガツした女性は一人も居なかったのである。やはりセレブな女性は余裕があるのだろう。
受付のお姉さんに案内された席には、金色の髪が美しいドレス姿の女性がワイングラスを傾けて夜景を楽しんでいた。
「こんばんはです、ソフィアさん」
「あら、あんた一人?」
「そうですよ、ご一緒してもいいですか?」
もう座っちゃったけど、ソフィアさんは機嫌が良いのか珍しく笑顔で頷いてくれた。ソフィアさんもずっと働きづめでお疲れだと思うのに、何かやり遂げた雰囲気がします。
ソフィアさんの前には前菜と思われるオシャンティーなお皿があった。コース料理なのかな? っていうかメニューすら無いのでボクはどうしたら良いのかサッパリでした。
するとスタッフのお姉さんが来てお肉とお魚のどっちが良いか聞かれたので迷わずお肉のコースをお願いしました。お酒を飲んだら寝ちゃうかもしれないのでジュースにしておきましたよ。お酒を飲むと高確率で寝ちゃうのは何ででしょうね?
ソフィアさんと同じ前菜が運ばれて来たので軽く乾杯してモキュモキュとサラダっぽいやつを頂きます。アスパラが美味しいです。
「もう動画の方は良いんですか?」
ソフィアさんと二人きりな状況でどんな話をしたら良いのか分からず、まずはお仕事の件から聞いちゃいました。『京子さんとの関係はどうですか?』とか、『妊娠していましたか?』なんて聞ける訳がないのです。ちょっと気になるけど……。
「あんたのクソな台本を大幅に改良して何とか出来たわよ? ふふん、あたしに感謝しなさいよね!」
「大幅に改変……!?」
ソフィアさんが誇らしげに胸を張り、小さな膨らみをボクに向けて来た。これは感謝の印に揉めってことですか? フローラさんの爆乳も良かったけど、ドレスをツンと盛り上げるこの控えめなお胸も良いですねぇ。胸のサイズに貴賤は無いのです。
いや、それよりも今は改変されてしまった件です。ボクが考えた最強のエチエチ動画、つまり姫様役の千代ちゃんとメイド役の美奈子さんが、組んず解れつの夜の運動会を繰り広げるワクワクドキドキなエンターテインメントなのですよ。それを改変ですか? ソフィアさんは改良と言っているけど、ボクにとっては改変です!
ボクが大好きだったちょっとエッチなラブコメ漫画がアニメ化された時、凄くワクワクして視聴したら何故かオリジナルキャラクターが主人公とイチャイチャして複雑な気持ちになったのを思い出した。なんでも監督と声優さんには黒い噂があったらしく、ベッドの上で夜の交渉を行った結果、見事に声優さんがオリジナルキャラクターを勝ち取ったと言われていたのだ。枕営業ってやつですね!
今回は枕営業じゃないけど同じような感じですね……。きっと百合が大好きなソフィアさんが自分好みの展開にしちゃったのだろう。ボクの考えたイチャラブじゃなくて百合プリズンのようなハードコアなエロスに!! ボクはキッと鋭い視線をツンツンなおっぱいに向けたのでした。ツンツンしたいです。
「ちょっとどこ見てんのよ? はぁ……まあいいわ、私は今とても気分が良いの! 知りたい? 知りたいでしょう!? ふふん、いいわ教えてあげる。まだ内々の話だけど映画のオファーが来たのよ」
「おお、映画のオファーですか! どんなやつですか?」
ご機嫌なソフィアさんが聞いてもいないのに教えてくれました。映画のオファーとか凄いですねぇ。ボクもテレビドラマとかのオファー無いですかね? お料理のレビューが得意なので、色々なお店に行って一人でご飯食べてウマーってするやつがいいです。有名なテレビドラマがありましたよね。ゴローさんが孤独にご飯食べてるだけなのに凄く面白いドラマ!! ふふ、タイトルは『孤独のグルメ』に決まりですね。
「ふふふ。まだ内緒だから絶対に漏らしちゃダメよ? 『ショーシャンクの百合に』ってタイトルなの、知ってる? 原作小説が凄い人気のやつよ」
「も、もちろん知ってますにょ?」
嘘です。全然知りません。ショーシャンクって何ですか? 百合は分かります。女の子同士のエチエチですよね!
「へぇ~、知ってるんだ。じゃあどんな内容か言ってみなさい」
「え゛っ、えっとぉ、その……ショーシャンクさんが百合するやつですよね? エチエチなやつ!!」
「プフッ……全然違うわよ。やっぱり知らないんじゃない」
くっ、ハズレました。っていうか最近は小説とか全然読んでないのでサッパリですよ。
この世界に迷い込んですぐの時は時間がタップリあったからメイドカフェでアイスティーを飲みながら小説とか読んでいたのだ。それが今は働き過ぎなくらいですよ。まあ働いているのは愛棒だけどね!
夜景をバックにお上品にグラスを傾けるソフィアさん、クスクスと笑いながら面白そうに話し出した。
「話変わるけど、あんたのCMかなり人気なの知ってる?」
「マジカルバイアグーラカレーですね、視聴者さんからも評判良かったですよー!」
まるでボクじゃないみたいという感想を頂きましたが、そんな凄い演技だったのだろうか。まあイケメンなボクがショタを演じたら、普段のボクと違い過ぎて驚くのも無理はないですね。
「うんうん。実はあのCMが流れてからあたしの評判も上がって来てね、それで今回の映画オファーに繋がったの。だからこれもあんたのお陰、ありがとね」
「ソフィアさん……」
ソフィアさんが遂にデレました。ツンデレさんですね!
ソフィアさんは『ごち百合』の女優さんの演技がダメダメだったから監督としての評価を落としてしまったのだ。でも今回のボクの演技でV字回復した訳ですね。初めて会った時はボロクソに言われて酷い監督さんだと思ったけど、今はソフィアさんの良さがよく分かる。ソフィアさんは良い作品を作ろうという情熱が人一倍強いのだ。……でもボクの台本を改変したのは許せません。今晩の結果次第ではボロクソに貶してあげましょう!
良い感じにソフィアさんとの絆を深めたボクは、厚切りステーキをモキュモキュと頬張りながらキュピーンと思いだした。あれ……?
「あのあの、千代ちゃんはどうしたんですか? 今朝からずっと見てないんですけど……?」
早朝に撮影部屋から出て来た美奈子さんは見たけど、午後に撮影部屋に行った時は誰も居なかった。千代ちゃんにメッセージを送っても返事がないのである。
「千代ちゃん……彼女はもうダメかもしれないわね」
「えっ……? ど、どういう事ですか!?」
ソフィアさんが悲しそうな顔で呟いた。
もうダメってどういう事だろう。動画を見ていないから分からないけど、撮影部屋のドアから漏れ出た声を聴いた限り壮絶なナニカがあったのだろう。美奈子さんのドレスもビチョビチョだったし……。
ボクはフォークとナイフを置きソフィアさんに強い視線を送った。
「あんた美奈子さんっていうメイドさんの事、どれくらい知ってんの?」
「美奈子さんですか?」
美奈子さんはボクにメロメロな元軍人のメイドさんですよね。奥を愛棒で責めるとアヘアヘになって気絶しちゃう綺麗で可愛いお姉さんですよ。
「ちょっと怖い時もありますけど、基本的に優しいお姉さんだと思います!」
「あんたにはそうなのかもね。でもあの人……大きな声じゃ言えないけど軍人上がりよ」
ソフィアさんが周囲を伺い誰も居ない事を確認し、静かな声で囁いた。あんまり人のプライベートを吹聴するのは良くないですからね。ボクも小声で応えました。
「ボク知ってましたよ。ミウちゃんから聞きましたので間違いないです。……でもそれが何か?」
「……」
軍人って言ったって自衛隊みたいなものでしょ? 自衛隊について詳しくないけど、体が資本のカッコイイお姉さん達ですよね。あれ、そう言えばこの世界の日本は軍隊があるんですか? 自衛隊じゃなくて? ふむ、勉強不足でしたね……。
でもボクの口から元軍人という答えを聞いたソフィアさんは『アチャ~』っていう感じで天を仰いだ。やっちまったなぁってやつですね!
「あんたの台本だと『女性同士が絡み合ってイチャイチャする純愛系で興奮するやつ』だったでしょ? それだけじゃ男子中学生が興奮出来ないと思って少し内容を変えたのよ」
「ほほう?」
千代ちゃん扮する姫様と美奈子さん扮するメイドさんの甘いイチャラブ百合動画がボクの台本でした。百合が嫌いな男性なんていないし、男が出てきても嬉しくないと思ったからこうしました!
それだけじゃダメってどういう事だろう。
「男っていうのは女性がイク姿を見ると興奮するんでしょ?」
「そうですね、基本的にそうだと思います」
中には女性をピシピシ叩いたりして喜ぶ人もいるらしいけど、そういうのはごく一部の人間だろう。女性のエッチな声とかイク姿は最高に美しいと思います!!
「だから内容を変えたのよ。姫様とメイドの純愛じゃなくて、メイドによる姫様の終わりの無い絶頂地獄にね……」
「ぜ、絶頂地獄……ゴクリ」
雪乃ママと撮影部屋で聞いた千代ちゃんの絶頂する声を思い出した。アレは絶頂地獄の始まりだったのか!!
「最初に千代ちゃんと美奈子さんで打ち合わせしたんだけど、千代ちゃんってエッチに慣れてないらしいじゃない。しかも処女。そんな子をイカせる責め方なんて限られてるでしょ? だからね、美奈子さんにお願いしたの。クリトリスだけ責めて徹底的にイカせて欲しいって」
「く、クリトリス責め!?」
確かに処女な千代ちゃんを責めるにはダンジョンギミックを責めるのが効果的だろう。だけどダンジョンギミックは女性の弱点でもあるのだ。そんなところを徹底的にイジメられたら千代ちゃんは……ゴクリ。
「私も美奈子さんっていうメイドさんを理解していなかったからね。知ってたらあんなお願いしなかった。詳しくは動画を見て頂戴、千代ちゃんが凄いから」
「ご、ゴクリ……」
百合プリズンも壮絶な責めだったけど、その監督であるソフィアさんが後悔するような責めですか……。ヤバイわよ!
「徹底的にイカされた千代ちゃんはしばらく再起不能ね。美奈子さんが部下に面倒をお願いしてたからしばらくすれば復帰出来ると思うけど、数日は安静かもね」
「千代ちゃん……」
ソフィアさんの口から再起不能なんて、どれだけ壮絶な責めだったのだろうか。ボクは動画が気になって来たけど、そんな凄いテクニックを持つ美奈子さんが気になった。そう言えば軍人がどうとか言ってましたね。
「千代ちゃんの事は分かりました。でも美奈子さんが軍人だった事とどういう関係があるんですか?」
ボクの質問を聞いたソフィアさんはまた周囲を伺い、さっきよりも更に小さな声で囁いた。
「……百合プリズンを作った時に色々と調べたんだけどね、日本の暗部に犯罪者や敵国のスパイに対応する特殊部隊があるらしいのよ」
「ふむふむ……」
これはフィクションですか? ソフィアさんの中二病が再発したのかと顔色を伺ってみたけど真剣な表情だった。そうか、アニメであるような暗部というカッコイイ組織が日本にあるのか!!
「暗部の中でもエリート中のエリートで構成された拷問・尋問を専門とした部隊があるらしいのよ。その名もアマゾネス。口の堅い女性を徹底的にイカせて快楽漬けにして口を割らせる恐ろしいテクニックを身につけた人達なんですって。あの責めを見たらアマゾネスの一員なんじゃないかって思っちゃったのよ」
「アマゾネス!!!」
何ですかその中二病なネーミングは!! 美奈子さんがアマゾネスの一員だったんですか!? ヤバイ、今度聞いてみよう!!!
「まあネットで噂されてる情報だから違うんでしょうけどね、それくらい凄かったって事よ。そういう訳だから、千代ちゃんは延泊すると思うから他の人に連絡はあんたがやっておきなさいね」
「了解しましたー!」
そうだ、確か千代ちゃんは恵美さんの計らいで出張扱いなんだっけ。後で連絡しておこう!
◇
ソフィアさんと楽しい夕食が終わり、自室で歯磨きしたりリステーリーンでオエオエしながらうがいをしたり、息スッキリなサプリを飲んで気合を入れました。そうです、これからミウちゃんのお部屋へ行くのです!!
愛棒もソフィアさんの話を聞いてやる気を出したのか、かなり回復して来ました。
いざ裏ダンジョン攻略やー! と息巻いて部屋を出たところ、ピロリンとスマホがメッセージを受信しました。むむっ、ミウちゃんかな?
『ユウタ様、動画の二作目はいつ撮影開始っすか!? ウチ、次は報酬無しでやりますのでお願いしますっす!! あ、あと是非とも美奈子様、いえ、トウカに責めて貰えるように交渉お願いしますっすよー!!』
どうやら千代ちゃんは百合の道に進んでしまったようです。それに千代ちゃん、トウカって誰ですか?
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