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ウィルマの紹介で聖女として診療所に勤務する事になったアーデルヘイト。早速診療所へと行く事になった。
そこへ水滴を思わせるような銀色の髪に赤い目をしたボブヘアの女性がやってきた。
「お話はウィルマさんから聞いています。これから説明をしますね。私はサラ。宜しく」
サラはアルトの声で言った。そして、また別の銀髪の女性がやってきた。
「初めまして。私はクレシダ。ここは診療所。病気の人や怪我人が来る場所。治療は私達聖女が担っていますわ」
とメゾソプラノの声でクレシダは言った。
「どうも、初めまして。私はアーデルヘイトです」
アーデルヘイトは自己紹介をするなり深々とおじぎをした。
自分が侯爵令嬢という事は黙っておこう、と決めた。恐らくウィルマも黙っているでしょう。
「ではここの部屋で治療を行って下さいね」
と木製の椅子を与えられた。
「はい!」
アーデルヘイトは元気よく挨拶をした。
すると。椅子に座るも束の間、杖をつき、背中の曲がった老女が部屋に入ってきた。杖の音がカツカツ鳴る。
「お嬢ちゃん。右足の膝が痛いんだよ」
と老女は嗄れ声で言った。
その右足のお陰で老女は津江をついていたのか、と何となく察した。
「わかりました。ではいきますね」
そう言ってアーデルヘイトは老女の右足の膝に手をかざした。
こうして手かざしをする事で病気や怪我を治してきた。聖女としての経験は無駄にならない。
手から波動が出る。その波動が治癒させるのだ。
祈りを込める。手が暖かくなる。波動が出た、とわかった。
この老女の腰が良くなりますように!
アーデルヘイトは祈りをこめた。
波動が出続ける。
手が暑い。いや、熱い。手から火が出そうな位熱い。
老女は
「痛みが……痛みが……」
と言い出した。
アーデルヘイトはかざしていた手を引っ込めた。
老女は立ち上がった。そして、突如飛び跳ねた。まるでウサギのように。
「痛みが雲散霧消した!」
老女は何度も跳ねるが全く痛みを感じる素振りを見せない。
「あんた、膝が良くなったよ。ありがとよ」
老女は喜んだ。アーデルヘイトもまた自分の魔力で人を癒せたことに思わず笑みをこぼした。
こうして王太子に婚約破棄をされ、平民として暮らし、人から喜ばれる仕事ができてアーデルヘイト自身嬉しくて仕方が無い。
今までは貴族令嬢として生活し、平民との関わりは皆無に等しかった。しかし今こうして平民と接する事で平民の生活を知ることができたのだ。
聖女として今までは王室で雇用されていた。しかし、今は平民の集まる診療所で仕事をしている。不思議な感覚だった。
次に来たのは腰の曲がった老人だった。
「腰が痛くてね」
そう言って腰を差し出した。
アーデルヘイトは再び手に集中した。
手が熱くなる。燃えるように熱くなる。
波動が出ている。
アーデルヘイトの癒すチカラは並大抵では無く、万病に効くチカラを持っていた。
その事もあり、王太子専属の聖女になっていた。
王太子専属の聖女は3人いた。その内の一人を気に入ってしまい、婚約破棄をされたのだ。
その一人とはアーデルヘイトの後輩だった。
まだ新米の時は忠実的で、謙虚な人だった。それがアーデルヘイトが王太子と婚約している事を知りながら、堂々と王太子に迫っていったのだ。
と、突然、手の熱が引くのを感じた。
この老人は病気を癒やす事よりも何か他の事を考えているようだ。
「知っているかい?」
突如男性は後ろを向き、話しかけてきた。
他の事を考えると、波動は止まってしまうのだ。
「何のことですか?」
アーデルヘイトはかざしていた手を下ろした。
「嬢ちゃんはオイフィア王国の徴税の仕方に納得いくかい?」
考えてみた事もなかった。
1貴族としてそれなりに納税はしてきたが、徴税の仕方に納得がいかないとはどういう事だろうか?
「私はまだ働きたてですし、それに私は既に両親を失ってしまったので」
あながち嘘ではない。王太子から婚約破棄され、それを恥とした父公爵から絶縁を迫られたのだから。
「そうか。しかし、我々平民はオイフィア王国から虐げられてきた。この徴税の仕方については近隣諸国からも疑問視されている」
と言って男性は舌で唇を時計回りに舐めるとまた続けた。
「革命を考えているようだ。ウェールズ伯爵がやはり徴税の仕方に納得いかず、挙兵するとの事」
「かっ……革命ですか?」
アーデルヘイトにはにわかには信じられなかった。
「ウェールズ伯爵とは大人しい人物と言われている。そんな人物がなぜまた革命をと私も思ったのだが」
確かに現ウェールズ伯爵の当主は大人しいで有名だ。やはり、なぜ彼に限って革命など起こすのだろうか?
「本当の話なんですか?」
「無論本当の話だ」即答だった。
革命という言葉にもまた驚いた。しかも、国のやり方に納得がいかない。
「革命……それはいつ起きるのですか?」
老人は首を横に振った。
「それはわからない。だが近い内だろう」
近い内。そうなると王族はどうなってしまうのだろう? 王太子はどうなるの?
老人の言葉が非常に悩ましかった。
そこへ水滴を思わせるような銀色の髪に赤い目をしたボブヘアの女性がやってきた。
「お話はウィルマさんから聞いています。これから説明をしますね。私はサラ。宜しく」
サラはアルトの声で言った。そして、また別の銀髪の女性がやってきた。
「初めまして。私はクレシダ。ここは診療所。病気の人や怪我人が来る場所。治療は私達聖女が担っていますわ」
とメゾソプラノの声でクレシダは言った。
「どうも、初めまして。私はアーデルヘイトです」
アーデルヘイトは自己紹介をするなり深々とおじぎをした。
自分が侯爵令嬢という事は黙っておこう、と決めた。恐らくウィルマも黙っているでしょう。
「ではここの部屋で治療を行って下さいね」
と木製の椅子を与えられた。
「はい!」
アーデルヘイトは元気よく挨拶をした。
すると。椅子に座るも束の間、杖をつき、背中の曲がった老女が部屋に入ってきた。杖の音がカツカツ鳴る。
「お嬢ちゃん。右足の膝が痛いんだよ」
と老女は嗄れ声で言った。
その右足のお陰で老女は津江をついていたのか、と何となく察した。
「わかりました。ではいきますね」
そう言ってアーデルヘイトは老女の右足の膝に手をかざした。
こうして手かざしをする事で病気や怪我を治してきた。聖女としての経験は無駄にならない。
手から波動が出る。その波動が治癒させるのだ。
祈りを込める。手が暖かくなる。波動が出た、とわかった。
この老女の腰が良くなりますように!
アーデルヘイトは祈りをこめた。
波動が出続ける。
手が暑い。いや、熱い。手から火が出そうな位熱い。
老女は
「痛みが……痛みが……」
と言い出した。
アーデルヘイトはかざしていた手を引っ込めた。
老女は立ち上がった。そして、突如飛び跳ねた。まるでウサギのように。
「痛みが雲散霧消した!」
老女は何度も跳ねるが全く痛みを感じる素振りを見せない。
「あんた、膝が良くなったよ。ありがとよ」
老女は喜んだ。アーデルヘイトもまた自分の魔力で人を癒せたことに思わず笑みをこぼした。
こうして王太子に婚約破棄をされ、平民として暮らし、人から喜ばれる仕事ができてアーデルヘイト自身嬉しくて仕方が無い。
今までは貴族令嬢として生活し、平民との関わりは皆無に等しかった。しかし今こうして平民と接する事で平民の生活を知ることができたのだ。
聖女として今までは王室で雇用されていた。しかし、今は平民の集まる診療所で仕事をしている。不思議な感覚だった。
次に来たのは腰の曲がった老人だった。
「腰が痛くてね」
そう言って腰を差し出した。
アーデルヘイトは再び手に集中した。
手が熱くなる。燃えるように熱くなる。
波動が出ている。
アーデルヘイトの癒すチカラは並大抵では無く、万病に効くチカラを持っていた。
その事もあり、王太子専属の聖女になっていた。
王太子専属の聖女は3人いた。その内の一人を気に入ってしまい、婚約破棄をされたのだ。
その一人とはアーデルヘイトの後輩だった。
まだ新米の時は忠実的で、謙虚な人だった。それがアーデルヘイトが王太子と婚約している事を知りながら、堂々と王太子に迫っていったのだ。
と、突然、手の熱が引くのを感じた。
この老人は病気を癒やす事よりも何か他の事を考えているようだ。
「知っているかい?」
突如男性は後ろを向き、話しかけてきた。
他の事を考えると、波動は止まってしまうのだ。
「何のことですか?」
アーデルヘイトはかざしていた手を下ろした。
「嬢ちゃんはオイフィア王国の徴税の仕方に納得いくかい?」
考えてみた事もなかった。
1貴族としてそれなりに納税はしてきたが、徴税の仕方に納得がいかないとはどういう事だろうか?
「私はまだ働きたてですし、それに私は既に両親を失ってしまったので」
あながち嘘ではない。王太子から婚約破棄され、それを恥とした父公爵から絶縁を迫られたのだから。
「そうか。しかし、我々平民はオイフィア王国から虐げられてきた。この徴税の仕方については近隣諸国からも疑問視されている」
と言って男性は舌で唇を時計回りに舐めるとまた続けた。
「革命を考えているようだ。ウェールズ伯爵がやはり徴税の仕方に納得いかず、挙兵するとの事」
「かっ……革命ですか?」
アーデルヘイトにはにわかには信じられなかった。
「ウェールズ伯爵とは大人しい人物と言われている。そんな人物がなぜまた革命をと私も思ったのだが」
確かに現ウェールズ伯爵の当主は大人しいで有名だ。やはり、なぜ彼に限って革命など起こすのだろうか?
「本当の話なんですか?」
「無論本当の話だ」即答だった。
革命という言葉にもまた驚いた。しかも、国のやり方に納得がいかない。
「革命……それはいつ起きるのですか?」
老人は首を横に振った。
「それはわからない。だが近い内だろう」
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