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エドワードの告白
「キャサリン様。エドワード様が大変なんです」
エスターが廊下を走って部屋にやってきた。
エスターの息は上がっていた。
「どうしたの? エスター」
「エドワード様が告白したんです。エドワード様はモナール帝国のスパイだったんです!!」
「えーーーーーーーー!?」
キャサリンは驚きを隠せなかった。
まさか、まさかモナール帝国のスパイだったなんて!!
「しかも、モナール帝国がレガローグ王国に侵攻するみたいです」
またしても驚愕した。
「もしや、せ……戦争」
「そうなります」
戦争の二文字が頭の中を巡る。
ついに、レガローグが!!
「戦争になると、どうなるの?」
「レガローグは亡びますわ」
すると……王室に仕えていた兵士たちは皆戦争に駆り出される事になる。
ああ……ハンス。
騎士団長のハンスは温厚な人柄であった。
間違いなく戦争に行く羽目になる。
しかし、モナールと全面戦争になれば、ハンスは生きては戻れないかもしれない。
「しかし、どうしてモナールはレガローグを」
「それは国民の意見にあります」
「国民の……意見!?」
「税金が余りにも高いとかで。そして、王族が贅沢をするために、湯水のように税金を使い尽くしているようです」
確かにレガローグは税金が高いで有名。
確かに王族は贅沢をしている。
キャサリンがアンドリューからもらった婚約指輪は希少な石だった。
それに、王妃は宝飾品に多額のお金をかけていた。
国王の王冠も希少な宝石があしらわれ、庶民には到底考えられないような税金が使われている。
「国民の声が隣国モナール帝国に届いたようです」
確かに国民の不満は募るだろう。
それを隣国のモナール帝国が聞きつけて、侵攻しようとしている……。
モナール帝国は弱者にやさしいで有名。
障がい者や高齢者には積極的に手を差し伸べている。
それに対し、レガローグは障がい者や高齢者には風当たりの強い国。
そう言えば、アンドリューが国王に即位したら、弱者は一切切り捨てると口にした事を思い出した。
このままでは本当に弱者は報われない。
そんなモナール帝国は数々の国を統合している。
それも、弱者救済のため……。
近辺諸国は確かに弱者には冷たい。
しかし、モナール帝国は弱者を護り続けている。
弱者のために尽力し、弱者のために立ち上がった。
それこそが皇帝のフリードリヒ7世だ。
第一皇子のヴァレンティンもまた弱者救済に積極的に活動している。
浮浪者のために炊き出しや、また、職業斡旋をしている。
障がい者雇用にも力を入れている。
本当に進んだ国だ、とキャサリン自身も思っている。
モナール帝国の皇族は少欲知足で生活をしている。
確かに、モナール帝国の人と交流すると質素そのものだ。
と、そこへエドワードがやってきた。
「キャサリン様。実は黙っていて申し訳なく思っています」
「事情は聞いたわ、エドワード」
「その通りでございます」
黙っていたことはどうでも良かった。
なぜなら、レガローグの王太子アンドリューから酷い仕打ちを受けたから。
アンドリューには何かしらの天罰が下って欲しいと思ったから。
「むしろ、婚約破棄になって良かったのです。キャサリン様」
「そうね。そうなるわね」
「実はレガローグ王室の人間には全員賞金首にかけられています」
「え!?」
キャサリンははたと思った。
「キャサリン様がこのままお亡くなりになるのか……と心が痛かったです」
「……」
「私はレガローグ王室の様子を伺うために、何とか騎士団員として忍び込む事ができました。試験に無事にパスできました」
「でも、髪の色からモナール帝国の人間だとわかるはず」
「しかし、まさかスパイが来ているなんて想像にも及ばないでしょう。事実、レガローグは平和ですからね」
「逆に平和ボケしているわね」
「そんなわけで私は王室に忍び込み、王室の情報を盗み出すよう、皇帝陛下から命令を受けました」
「そうだったの」
「申し遅れました。私はモナール帝国出身でレスター公爵の者です。そして、モナールの近衛兵の一人です」
「そうだったのね」
「キャサリン様。私はモナールへ帰らなければなりません。そして、これからモナールがレガローグを侵攻します。この近辺は間もなく戦場となるでしょう。どうか、モナールへお逃げ下さい。私が手配します」
そこに再びエスターがやってきた。
「えー!? エドワード様はモナールの公爵ご子息だったんですね」
「そうだよ。エスター」
「でも、驚きましたわ。エドワード様がモナールの近衛兵だったなんて」
「エスター。お前も逃げるんだ」
「逃げるは良いけれど、その後どうするのです? 行く宛がないです」
「大丈夫。心配には及ばない。私は全力でキャサリン様とご家族をお護りいたします。これまでも雇用契約を結んでいるのですから」
何とも頼もしい。
もし、エドワードがキャサリンの護衛につかなかったら、そのまま戦争に巻き込まれていたかもしれない。
いや、それ以前にアンドリューと結婚していたら、賞金首にかけられていたかもしれない。
キャサリンはぞっとした。
むしろ、アンドリューとイザベラが結婚したからこそ賞金首から逃れられた。
「エドワード。ありがとう。とても大切な話よ」
「公爵様と奥様、そして執事のトーマス様には私から話をしました。あとはお逃げ下さい。それだけです」
キャサリンはモナールへの逃亡を決めた。
エスターが廊下を走って部屋にやってきた。
エスターの息は上がっていた。
「どうしたの? エスター」
「エドワード様が告白したんです。エドワード様はモナール帝国のスパイだったんです!!」
「えーーーーーーーー!?」
キャサリンは驚きを隠せなかった。
まさか、まさかモナール帝国のスパイだったなんて!!
「しかも、モナール帝国がレガローグ王国に侵攻するみたいです」
またしても驚愕した。
「もしや、せ……戦争」
「そうなります」
戦争の二文字が頭の中を巡る。
ついに、レガローグが!!
「戦争になると、どうなるの?」
「レガローグは亡びますわ」
すると……王室に仕えていた兵士たちは皆戦争に駆り出される事になる。
ああ……ハンス。
騎士団長のハンスは温厚な人柄であった。
間違いなく戦争に行く羽目になる。
しかし、モナールと全面戦争になれば、ハンスは生きては戻れないかもしれない。
「しかし、どうしてモナールはレガローグを」
「それは国民の意見にあります」
「国民の……意見!?」
「税金が余りにも高いとかで。そして、王族が贅沢をするために、湯水のように税金を使い尽くしているようです」
確かにレガローグは税金が高いで有名。
確かに王族は贅沢をしている。
キャサリンがアンドリューからもらった婚約指輪は希少な石だった。
それに、王妃は宝飾品に多額のお金をかけていた。
国王の王冠も希少な宝石があしらわれ、庶民には到底考えられないような税金が使われている。
「国民の声が隣国モナール帝国に届いたようです」
確かに国民の不満は募るだろう。
それを隣国のモナール帝国が聞きつけて、侵攻しようとしている……。
モナール帝国は弱者にやさしいで有名。
障がい者や高齢者には積極的に手を差し伸べている。
それに対し、レガローグは障がい者や高齢者には風当たりの強い国。
そう言えば、アンドリューが国王に即位したら、弱者は一切切り捨てると口にした事を思い出した。
このままでは本当に弱者は報われない。
そんなモナール帝国は数々の国を統合している。
それも、弱者救済のため……。
近辺諸国は確かに弱者には冷たい。
しかし、モナール帝国は弱者を護り続けている。
弱者のために尽力し、弱者のために立ち上がった。
それこそが皇帝のフリードリヒ7世だ。
第一皇子のヴァレンティンもまた弱者救済に積極的に活動している。
浮浪者のために炊き出しや、また、職業斡旋をしている。
障がい者雇用にも力を入れている。
本当に進んだ国だ、とキャサリン自身も思っている。
モナール帝国の皇族は少欲知足で生活をしている。
確かに、モナール帝国の人と交流すると質素そのものだ。
と、そこへエドワードがやってきた。
「キャサリン様。実は黙っていて申し訳なく思っています」
「事情は聞いたわ、エドワード」
「その通りでございます」
黙っていたことはどうでも良かった。
なぜなら、レガローグの王太子アンドリューから酷い仕打ちを受けたから。
アンドリューには何かしらの天罰が下って欲しいと思ったから。
「むしろ、婚約破棄になって良かったのです。キャサリン様」
「そうね。そうなるわね」
「実はレガローグ王室の人間には全員賞金首にかけられています」
「え!?」
キャサリンははたと思った。
「キャサリン様がこのままお亡くなりになるのか……と心が痛かったです」
「……」
「私はレガローグ王室の様子を伺うために、何とか騎士団員として忍び込む事ができました。試験に無事にパスできました」
「でも、髪の色からモナール帝国の人間だとわかるはず」
「しかし、まさかスパイが来ているなんて想像にも及ばないでしょう。事実、レガローグは平和ですからね」
「逆に平和ボケしているわね」
「そんなわけで私は王室に忍び込み、王室の情報を盗み出すよう、皇帝陛下から命令を受けました」
「そうだったの」
「申し遅れました。私はモナール帝国出身でレスター公爵の者です。そして、モナールの近衛兵の一人です」
「そうだったのね」
「キャサリン様。私はモナールへ帰らなければなりません。そして、これからモナールがレガローグを侵攻します。この近辺は間もなく戦場となるでしょう。どうか、モナールへお逃げ下さい。私が手配します」
そこに再びエスターがやってきた。
「えー!? エドワード様はモナールの公爵ご子息だったんですね」
「そうだよ。エスター」
「でも、驚きましたわ。エドワード様がモナールの近衛兵だったなんて」
「エスター。お前も逃げるんだ」
「逃げるは良いけれど、その後どうするのです? 行く宛がないです」
「大丈夫。心配には及ばない。私は全力でキャサリン様とご家族をお護りいたします。これまでも雇用契約を結んでいるのですから」
何とも頼もしい。
もし、エドワードがキャサリンの護衛につかなかったら、そのまま戦争に巻き込まれていたかもしれない。
いや、それ以前にアンドリューと結婚していたら、賞金首にかけられていたかもしれない。
キャサリンはぞっとした。
むしろ、アンドリューとイザベラが結婚したからこそ賞金首から逃れられた。
「エドワード。ありがとう。とても大切な話よ」
「公爵様と奥様、そして執事のトーマス様には私から話をしました。あとはお逃げ下さい。それだけです」
キャサリンはモナールへの逃亡を決めた。
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