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アレクシア・サマンサ・オライリーは大井亜里沙である事を友人のヴィクトリアに打ち明けることにした。
ヴィクトリアなら理解してくれる。
なぜなら、無二の親友だから。
オイフィーア学園は王侯貴族は勿論のこと、平民も通学している。
しかし、平民が通う学園でもミレイナー王国の成績優秀者が集う、名門中の名門なのだ。
この学園にはアレクシアから婚約者を奪った恋敵、ジェシカ・テイラーと『恋の鼓動』のヒロインシルヴィア・オニールがいる。
ジェシカとシルヴィアは仲が良くない。
ゲームの中でも二人は仲があまり良くない。
というか、仲が良くないとはいえ、ただ単に仲良しグループが違うだけ。
それでも、シルヴィアとジェシカが話しているところは見たことが無い。
これはチャンス!!
原作では悪役だけど、この世界では悪役ではない事にすれば良い、とアレクシアは思った。
アレクシアを悪役に仕立てているのはシルヴィアではなく、ジェシカなのだ。
悪役にならなければ、シルヴィアが誰を選ぼうと悲惨な最後にならない。
そう。
恋敵はジェシカだけ。
とはいうものの、アレクシアはエマニュエルに未練は無い。
エマニュエルとは所詮それまでの関係だったと割り切っている。
割り切ってはいるが、エマニュエルとジェシカに天罰は下って欲しいとは願っている。
原作のシナリオは松田樹里亜という人だったっけ?
松田樹里亜には様々な作品があるけれど、とりわけ突出して人気があったのが『恋の鼓動』だった。
エマニュエルに婚約破棄されている。
しかも、アレクシアはピアノが弾けない。
高飛車でも自己愛性人格障害気質でもない。
性格は大井亜里沙のままで、決して傲らず、謙虚な性格だ。
そんなアレクシアだからこそ、婚約破棄された。
原作と異なるのだから、あとは物語を意のままに操れるかもしれない。
アレクシアはそう確信した。
教室には冬晴れの日差しが差し込んでいる。
後ろの席に、桃色の髪を2つに分け、三編みをしている少女がいる。赤い瞳に濃い眉毛。薄い唇かはチラリと見える八重歯。
彼女こそ、『恋の鼓動』のヒロイン、シルヴィアだ。
シルヴィアは今、彼女の友達と話している。
シルヴィアは5人もの女性に取り囲まれている。
明るくて聡明なシルヴィアは友達も多い。
窓側に目を向ければ、宿敵ジェシカがいる。
――ジェシカこそ本来のアレクシアに近い。
ジェシカはカリスマ的存在でやはり友達が多い。
教室の片隅でヴィクトリアが読書をしている。
ヴィクトリアは読書が大好き。共に読書家同士で意気投合した。
広い額を出し、茶髪をお団子にしている茶色の瞳の女性こそ友人のヴィクトリアだ。
ヴィクトリアはミレイナー王国21伯爵家のスペンサー伯爵令嬢。スペンサー家の当主であり、ヴィクトリアの父は医者で王室に仕えている。
勿論、あの憎きエマニュエルもスペンサー伯爵がかかりつけの主治医だった。
「ヴィクトリア、あのね……」
「うん? どうしたの? アレクシア」
ヴィクトリアがソプラノの声で答えた。
「実は……ね」
「うん?」
「打ち明けたい事があるの」
「うんうん。打ち明けたい事ね。何か私に隠し事していたの?」
「ごめん。実は……そうなんだ」
「何でもいいわ。聞くわよ」
「私……転生者なんだ」
「転生者!?」
ヴィクトリアは目をまるくした。
「私、他の世界からこの世界に来たんだ」
「え!?」
「にわかには受け入れがたいと思うけど、それが普通だから」
「転生者? 他の世界?」
何と答えたら良いのか……。
「実はこの世界。私がまだ転生する前にプレーしていた乙女ゲーの世界なんだよね」
「よくわからないけど」
「あ……そうそう。他の星から来たと思って」
「もしかしてアレクシアって宇宙人なの!?」
「そう思ってくれれば良いわ」
「へぇー。そうなんだ」
「そうなの。私は地球って星からやってきた転生者、本名が大井亜里沙って言うの」
「そうなんだ」
ヴィクトリアはやっと納得してくれたみたいだ。
「他の星から生まれてきたのね」
「そう。で、この世界がたまた楽しんでいた乙女ゲーの世界でね」
「うんうん」
「本当はアレクシア・サマンサ・オライリーは……言いづらいんだけど、悪役ってことになっていたの」
「そうなんだ。全然悪役に見えないけどね」
「本当は自己愛性人格障害気質で高飛車でカリスマ的存在で」
「えー!? 全然違うー」
「そうなんだ。それでピアノが弾けるんだ」
「そうなの?」
「でね、エマニュエル王太子殿下と結婚することになるんだけど……実際は婚約破棄しちゃったしね」
「そうよね。王太子殿下と婚約していたものね」
と言って続けた。
「むしろ、その悪役ってジェシカの事じゃない?」
確かにその通り。
ピアノが弾けて、自己愛性人格障害気質、高飛車、カリスマ的存在という性格。王太子殿下との婚約。
「で、私は最後に牢獄に入れられたり、睡眠薬大量に飲んで死んだり、国外追放になったりするの」
「それはないわ。むしろその役、ジェシカが買って出たと思うわ。きっとジェシカにそのような罰が待っているかもしれないわ」
本当にそうなれば良いのに、とアレクシアは思った。
ヴィクトリアなら理解してくれる。
なぜなら、無二の親友だから。
オイフィーア学園は王侯貴族は勿論のこと、平民も通学している。
しかし、平民が通う学園でもミレイナー王国の成績優秀者が集う、名門中の名門なのだ。
この学園にはアレクシアから婚約者を奪った恋敵、ジェシカ・テイラーと『恋の鼓動』のヒロインシルヴィア・オニールがいる。
ジェシカとシルヴィアは仲が良くない。
ゲームの中でも二人は仲があまり良くない。
というか、仲が良くないとはいえ、ただ単に仲良しグループが違うだけ。
それでも、シルヴィアとジェシカが話しているところは見たことが無い。
これはチャンス!!
原作では悪役だけど、この世界では悪役ではない事にすれば良い、とアレクシアは思った。
アレクシアを悪役に仕立てているのはシルヴィアではなく、ジェシカなのだ。
悪役にならなければ、シルヴィアが誰を選ぼうと悲惨な最後にならない。
そう。
恋敵はジェシカだけ。
とはいうものの、アレクシアはエマニュエルに未練は無い。
エマニュエルとは所詮それまでの関係だったと割り切っている。
割り切ってはいるが、エマニュエルとジェシカに天罰は下って欲しいとは願っている。
原作のシナリオは松田樹里亜という人だったっけ?
松田樹里亜には様々な作品があるけれど、とりわけ突出して人気があったのが『恋の鼓動』だった。
エマニュエルに婚約破棄されている。
しかも、アレクシアはピアノが弾けない。
高飛車でも自己愛性人格障害気質でもない。
性格は大井亜里沙のままで、決して傲らず、謙虚な性格だ。
そんなアレクシアだからこそ、婚約破棄された。
原作と異なるのだから、あとは物語を意のままに操れるかもしれない。
アレクシアはそう確信した。
教室には冬晴れの日差しが差し込んでいる。
後ろの席に、桃色の髪を2つに分け、三編みをしている少女がいる。赤い瞳に濃い眉毛。薄い唇かはチラリと見える八重歯。
彼女こそ、『恋の鼓動』のヒロイン、シルヴィアだ。
シルヴィアは今、彼女の友達と話している。
シルヴィアは5人もの女性に取り囲まれている。
明るくて聡明なシルヴィアは友達も多い。
窓側に目を向ければ、宿敵ジェシカがいる。
――ジェシカこそ本来のアレクシアに近い。
ジェシカはカリスマ的存在でやはり友達が多い。
教室の片隅でヴィクトリアが読書をしている。
ヴィクトリアは読書が大好き。共に読書家同士で意気投合した。
広い額を出し、茶髪をお団子にしている茶色の瞳の女性こそ友人のヴィクトリアだ。
ヴィクトリアはミレイナー王国21伯爵家のスペンサー伯爵令嬢。スペンサー家の当主であり、ヴィクトリアの父は医者で王室に仕えている。
勿論、あの憎きエマニュエルもスペンサー伯爵がかかりつけの主治医だった。
「ヴィクトリア、あのね……」
「うん? どうしたの? アレクシア」
ヴィクトリアがソプラノの声で答えた。
「実は……ね」
「うん?」
「打ち明けたい事があるの」
「うんうん。打ち明けたい事ね。何か私に隠し事していたの?」
「ごめん。実は……そうなんだ」
「何でもいいわ。聞くわよ」
「私……転生者なんだ」
「転生者!?」
ヴィクトリアは目をまるくした。
「私、他の世界からこの世界に来たんだ」
「え!?」
「にわかには受け入れがたいと思うけど、それが普通だから」
「転生者? 他の世界?」
何と答えたら良いのか……。
「実はこの世界。私がまだ転生する前にプレーしていた乙女ゲーの世界なんだよね」
「よくわからないけど」
「あ……そうそう。他の星から来たと思って」
「もしかしてアレクシアって宇宙人なの!?」
「そう思ってくれれば良いわ」
「へぇー。そうなんだ」
「そうなの。私は地球って星からやってきた転生者、本名が大井亜里沙って言うの」
「そうなんだ」
ヴィクトリアはやっと納得してくれたみたいだ。
「他の星から生まれてきたのね」
「そう。で、この世界がたまた楽しんでいた乙女ゲーの世界でね」
「うんうん」
「本当はアレクシア・サマンサ・オライリーは……言いづらいんだけど、悪役ってことになっていたの」
「そうなんだ。全然悪役に見えないけどね」
「本当は自己愛性人格障害気質で高飛車でカリスマ的存在で」
「えー!? 全然違うー」
「そうなんだ。それでピアノが弾けるんだ」
「そうなの?」
「でね、エマニュエル王太子殿下と結婚することになるんだけど……実際は婚約破棄しちゃったしね」
「そうよね。王太子殿下と婚約していたものね」
と言って続けた。
「むしろ、その悪役ってジェシカの事じゃない?」
確かにその通り。
ピアノが弾けて、自己愛性人格障害気質、高飛車、カリスマ的存在という性格。王太子殿下との婚約。
「で、私は最後に牢獄に入れられたり、睡眠薬大量に飲んで死んだり、国外追放になったりするの」
「それはないわ。むしろその役、ジェシカが買って出たと思うわ。きっとジェシカにそのような罰が待っているかもしれないわ」
本当にそうなれば良いのに、とアレクシアは思った。
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