いと高きところに

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弐 笑う男

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1.


 その年の暮れが迫るある夜、アパートで一眠りをした敦は起き出すとその足で飲みに出た。前の晩は世田谷の方に遠征して遊んでいた。

 久しぶりに吉川と行動を共に出来て楽しかったせいもあり、機嫌は上々だった。一緒に赴いた岸本は馴染みの女と連絡を取って行方をくらましたが、敦は無理に女を抱く気分ではなかった。少々不完全燃焼気味だった前夜のメインイベントは、思い返してみるとそれなりに刺激的だった。恋人の元に去っていった吉川の様子が少々心配だったが、まあ、問題はなかろう。

 ここ数日一緒に行動して、吉川について気付いた事を考えると可笑しくなる。彼は昔に比べてかなり穏やかになっていた。しかし、その分、腹黒さと凄みが増している。
 吉川は敦の昔馴染みで中学の頃に知り合った友人である。見かけは女以上に綺麗な男だが、何をやらせても嫌味なほどにこなし、性格は凶悪なまでに悪い。敦は中学時代を懐かしく思い出す。吉川という人間は短気は損気とわかっていても、苛立ちを抑えきれずによく暴発したものだった。鷹揚な時と怒りでピリピリした時。その境界線は見極めが難しく、あっさりと変化する。この彼独特の空気は相対する者に緊張を強いるので、性格的に余程太い人間でないと耐えられないものだった。
 いくら昔に比べて穏やかになっているとはいえ、あの危険人物の鼻面を取って引き回せる女が居たとは驚きだ。是非、そのうちにお近づきになりたいところだ。


 駅の近くの歓楽街の中に知り合いの息が掛かった飲み屋がある。敦がよく利用する飲み屋はこの店と住んでいる地域にあるもう1店となる。この界隈で飲む場合はバイクはをこの店の裏手の車庫の中に入れて停める。勝手知ったる他人の家である。帰りはタクシーか知り合いの車輌に相乗りするつもりだった。店長に一言告げておくと充分だし、話し忘れていても敦のバイクは知られている。今更悪戯するような人間はいないだろう。

「あれ? 敦さん?」
 店に入ると、早速知っている人間から声が掛かる。この付近ではどの店に入っても頻繁に知り合いに会う。
「年末のこんな時期に1人寂しくですか?」
「余計なお世話。好きでやってんだよ」
 目を向けたら大崎の所に居る若い男だった。自分はちゃっかりと女同伴だ。
「何、信二? 彼女?」
 飲んでいるグラスを持ち上げて、信二がいるボックス席に移動した。一緒にいる女性に笑いかけて、彼女の隣に腰を落とす。
「可愛い子だね」
「ちょ、人の女、品定めすんのはやめてくださいよ」
 彼女の顎に手を掛けて自分を向かせてニヤニヤすると、女を挟んだ向こうに座っている信二は慌てたように口を出してきた。
「名前は?」
「石田玲子です」
 彼女は頬を染めて返事をした。
「玲子ちゃんね。良い名前。お前には勿体無いよ、信二」
 目を細めて眺めると、彼女はそわそわしたように下を向いた。
「俺は広田敦ね。信二の知り合い。宜しくね」
「宜しくお願いします」

「敦!」
 少し離れた場所から別の人間が敦を呼んだ。
「今夜、遠征してるって聞いてたぞ。違った?」
「昨夜までだよ。今朝、帰ってきた」
「何の遠征?」
「昔馴染みが楽しい事してたから、その応援と見物」
 その男は大声で笑い、昔馴染みって誰よと尋ねてきた。敦は知り合ったばかりの信二の彼女に視線を戻す。
「ごめんね。俺、向こうに行くわ。またね」
 信二にも目配せし、会釈する女性には思い出した様に身を乗り出して頬に唇を這わせる。
「敦さん!?」
 裏返った声で文句を言う信二のリアクションを笑うと、その場を離れた。

「うわ、今夜は機嫌いいな。敦さん」
「信ちゃん、あの人、組の人?」
「違う。普通の人だよ」
「え? ホント?」
「でも、怖い人だからあんま馴れ馴れしくすんな。機嫌わりー時はむっちゃコエーヨ」
 信二は離れていった敦が別の人間の隣に腰掛けて話し始めるのを確認すると隣の女に低く耳打ちした。
「尻軽が嫌いな癖に人を試すような態度取るから用心しろよ。自分に気があると思ってフラフラ付いてって、ヒデー目にあった女も結構居るって」
「ええ?」
「っていう噂。噂で判断すんのはよくないけど、念の為に教えとく。さっき、粉かけられてたっぽいから。浮気スンナよ、玲子」
「やだ、まさか私がそんな事するわけないじゃん」
「そう?」
 信二は疑い深そうな目付きで彼女を睨め付けた。
「満更でもない雰囲気に見えたからさ」

2.


「(やべーのがいる)」
「(その筋の人っぽいから、気をつけろ)」

 目配せと低い声音で情報を分け合った。彼らの視線の先にはしばらく前に来店した短く刈り込まれた髪の毛の男が居た。1人だが知り合いは多いらしく、人に呼ばれて席を移りながら話し込んでいる。目付きが悪く、短気そうな所作をする男だ。
 革のジャケットを脱ぐと下はTシャツ1枚だけだったので、ギョッとした。天気の良い日が続いているとはいえ、曲がりなりにも今は冬だ。薄着すぎるだろうと、見ている者の顔を引き攣らせる。一見、細身なのに何かの折に盛り上がる筋肉が二の腕に目立つ。殴られたら痛そうだ。

 彼らは先ほど喫茶店でナンパした女の子達と和気あいあいと会話を楽しんでいた。3人の男子と3人の女子。男子は皆大学生だった。通常のコンパと何ら変わるものは無いが皆1人の女の子が気になり、その娘狙いだった。一番年若そうな子で、名前はマユとしか聞いてない。物慣れない様子なので、他の女の子に聞いてみるとネカフェで知り合ったばかりとの事。
 大人っぽく振舞っているが、高校生ではないかと睨んでいる。今は冬期休暇だろうから、羽目を外して繁華街に繰り出す子も多い時期だ。一緒にいる女の子達をまず誘い、からめ手で何とか彼女を飲みに連れ出す事に成功した。

 不思議な女の子だった。一見、派手な化粧で遊んでいる様に見えるが、言葉遣いやふとした振る舞い等が折目正しくて品が良い。クリスマスが終わったこの時期にネカフェで時間を潰している事自体は少々胡散臭いが、そんなところもミステリアスでいい。3人は揃ってお互いをライバルとして意識した。

「じゃ、由紀ちゃんと静ちゃんは同じ学部なんだ?」
「そうなの」
「どこの学校? 教えてよー」
「ん。秘密ー」
「マユちゃんも?」
「えっ?」
「大学生?」
「いえ……」
 嘘をつき慣れていない。間違いなく高校生だろう。しかし、それと知っていてこの様な飲み屋に連れ込んだと知られるのは憚られる。知らなかったという事にしておくのが一番楽でいい。
 もう2人の女の子も何らかの事実を伏せている様だが、こちらはたぶん誤魔化しているのは年齢ではないだろう。学校名を言いたがらないのは、別の理由だと考えられる。

 うまく乗せられて連れて来られたが、どうやら全員「マユ」狙いである事は他の女子も悟り始めた様だ。時々、しらけた様な表情を浮かべる。何とか、終わらせて帰りたがっているのが傍目にも目立ち始めた。皆が狙っている「マユ」もご多分に漏れず、帰り支度を始めている。
「もうドリンク無いじゃない? お替りどう?」
「いえ、これ以上飲むのはちょっと。そろそろ帰りたいので」
「由紀ちゃんは?」
「私も」
「何だよ、付き合いワリーナ」
 女の子達は申し訳なさそうな表情を浮かべた。この店に入って1時間弱。長くはないが、お付き合いした時間は決して短すぎる時間ではない。しかし、目的を果たす前に目当ての娘に逃げられる可能性に不機嫌になる男、引き止めにかかる男など、連携に乱れが生じる。

「今夜は楽しかったです。これ私の分です」
「え? なに? 出さなくていいよ。女の子は」
「それは……おかしいです。自分で飲んだ分ぐらい」
 静子という女の子が自分のお財布を取り出した頃から少々不穏な雰囲気になってきた。彼女はお金を払ってでもそろそろ開放されたがっている事は明白だった。
「あ、自分の分ですね」
 この様な場での流儀について、予備知識が無い「マユ」も慌てて財布を取り出す。その様子を眺めていた男の1人が困った様に静子に口を開いた。
「空気読んでよ。お前のせいで場の雰囲気台無し」
 イラ付いて荒くなった口調に言われた当人が竦みあがった。
「おい、止せよ」
「ブスはお呼びでないっつーの」
 他の男性達が止める中、制止がきかなくなったその男の口から新たな暴言が吐き出された途端にその場が凍りついた。言った本人も驚いた様に口を噤んだが、更に驚いた事に彼はいきなり氷混じりの液体を顔面に被った。

 バシャッと派手な音と共に目標の男とその付近の床に飲み物がぶちまけられた。

 突然のシャワーに固まったその男は手近なカウンターから取り上げたグラスの中身を彼に降り注いだ加害者である「マユ」を呆然と眺めていた。近くのカウンターの止まり木の上で、自分の飲みかけのドリンクをいきなり他人にぶちかまされた敦も驚いていた。

「よく知りもしない人様を面の皮一枚で判断される貴方の方こそお呼びではないと思いますが」
 皆が固まっている中、唯一動いてグラスをカウンターの上に戻した「マユ」は声を震わせてその男を誹謗した。怒りで勢いがある口調なのに、礼儀正しい言葉のチョイスが奇妙にミスマッチしていて可笑しかった。
「ちょっと待って、マユちゃん。信じられない。これ何? 普通いきなりこんな事する?」
「それは俺のジントニックだよ。お坊ちゃん」
 知らない男が突然ムカついた声で会話に参入してきた。
「え? え? お水だと思っていました。すみません」
 彼女は彼が言った言葉に慌てて反応し、文句を言いかけた男は沈黙した。「マユ」は財布を取り出して口早に謝罪する。
「すみません、弁償させてください」
「いいよ、半分ぐらいしか残ってなかったし」


「ちっ! もういいよ。俺達でここは支払う。気分わりーな」
「おい」
 他の仲間に小声でたしなめられていた飲み物を浴びた男は声高に喚くと、支払いを済ませて足音荒く立ち去ってしまった。他の2人も仕方なさそうな表情で女の子達に軽く別れを告げて出て行った。

3.


「もしかして私はおかしな事をしてしまったのでしょうか?」
 彼女は心配そうな声で他の2人に問いかけた。
「あの方の言葉を聞いていたら、思わずカッとなってしまいまして……」
 肩を落として項垂れている。他の娘達はどの様に対処すべきか思いあぐねている様子だった。
「まあ、問答無用で俺のドリンク持っていったのには驚いたけどね」
 何故か横から敦が面白そうに声をかけている。このグループの会話は近くに座っていたのでよく聞こえていた。特に聞き耳を立てていた訳ではないが、最後の言い合いのところはあまりにも可笑しくて失笑していたのだ。あの3人の男達の下手糞なアプローチには大いに笑わされた。なんともはや、青い。まさに下心丸出しの青春だ。

「先ほどは本当に失礼致しました」
 その娘はおざなりに謝罪した相手に対して、もう一度深く頭を下げた。
「言い訳をするつもりはございませんが、本当にお水だとばかり思い込んでおりました。それにもしそうだとしても、人様の物を断りもせずに掴むなど言語道断です……、大変失礼しました」
 敦はニヤニヤしながら彼女の謝罪を聞いていた。そのえらく四角四面な言葉遣いに驚きながらも、率直な物言いは聞いていて気持ちが良い。

 他の2人の娘は明らかに逃げ腰だ。敦は物騒な雰囲気の男なので、対峙する者を不安な気分に陥れる。

「さっきも言ったけど、残りは半分ぐらいだったから俺は大丈夫。それより、あのぶっ掛けられた彼氏が可哀そうだったかもね。それと謝るのなら、掃除する人にも言ってやって」
 バーテンダーがモップを片手にカウンターから出てきて、簡単に拭き掃除をしていた。真由は赤くなって彼に謝罪すると、「大丈夫」と笑って返された。
「でも、あの方の暴言には我慢できませんでした。そちらについては私は悪いとは思いません」
 頑固そうな表情で言い返してくる真由を敦は面白そうに見ている。
「まー、コメントは差し控えさせて頂きます。ところで、お前ってさ、何歳?」
 興味を惹かれた様に敦が尋ねる。その問いかけに使われた「お前」という呼びかけが彼女の勘に障った。
「お前ではなく、マユ」
「ん?」
「せめて名前で呼んだら如何でしょうか? 私は貴方の女房でも恋人でもございません」
 敦の表情が面白そうに歪む。
「そりゃ悪かった。知らなかったからね。じゃ、言い直すわ」
 うやうやしく片膝を付いて、下から舐め上げるような目つきで真由の顔を眺める。
「マユお嬢様、御歳いくつになられますか?」
 ふざけた声音に彼女はムカついた。告げられた質問と態度、そして目付きが全くマッチしていない。「マユ」は表情を変えずに男の目を見返すと口を開いた。
「その様なご質問にはお答えしかねます。親しくも無い女性に対して年齢の質問はタブーですわよ」
 跪いている男の横を通り抜けながら、捨て台詞の様にして言葉を掛ける。
「その位、覚えていらっしゃい」

「マユ! まずいんじゃない?」
「ちょ、待って」
 一緒に居た少女達が慌てたようにその後ろについて店を出て行く。

 立ち上がった敦は振り返ってその一団が立ち去ったドアが閉まるのを眺めていた。
「いいんですか?」
 心配そうに信二が歩み寄ってきた。
「あんな小娘に好き放題言わせちゃって」
「いいって」
 敦はニヤ付きながら席に座った。先ほどまで飲んでいたグラスにまだ少しドリンクが残っている。それを飲みながら一緒に口に入れた氷を噛む。
「敦さん、こっちと取り替えてください」
 バーテンダーが新しいグラスと取り替えたので、「ありがと」と好意を受けた。その時、直前まで一緒に飲んでいた男が近寄って来た。彼は用を足す為に席を外していたのだ。
「珍しいな。即座に殴り倒すか、どっかに連れ込むかとヒヤヒヤしたよ」
「ええっ? オメー、俺の事、何だと思ってんのよ。失敬だなー」
 敦は肩を竦めてその男を睨んだ。
「マユちゃん、強がっちゃってかわいーじゃない?」


 元々敦は気性が荒いので有名だ。以前なら間違いなく相手の女にビンタの一つでも飛ばしていただろう。しかし、先ほどの「マユ」に対しては不思議と破壊衝動は起きなかった。
 妙に真面目そうな子だったなと思い出す。その前に一緒に居た男性達とのやり取りを見ていたせいかもしれない。ああいった潔さは結構好きだ。


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