楽しくフリーターしてたら、突然声優プロダクションの社長になる事になったんだが

小金丸大和

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第二章 社長生活の開始

デート

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「社長」

秘書の瀬戸涼子が話しかけて来た。

「今日は一日、お疲れ様でした」
「目的が達成出来たとは言えませんけどね」
「それでも、一生懸命やって下さった事が嬉しくて。初出社のお祝いに・・・ご飯でも如何ですか?」

美人秘書からのお誘いだ。
断る理由は無い。

「行きましょう。何処に行きますか?」
「実はもうお店を予約してあるんです。『新進気鋭』という、会員制の焼肉屋さんで」
彼女は、ちょっと躊躇う風を見せて言った。
「・・・お父様に、よく連れて行っていただいたお店なんです」

会員制の焼き肉屋さん。
きっと美味しいのだろう。

「今日は、私がご馳走しますから」

オレは、金がない。
まだ何の仕事もしていないのに、会社の金を使う訳にはいかなかった。

「ありがとう。折角なので、お言葉に甘えます」

19時にデスクの矢島さんが帰り、オレは瀬戸涼子と二人きりになった。

「じゃあ、行きますか」

事務所の戸締りをし、電気を消して、オレたちは会員制の焼き肉屋『新進気鋭』に向かった。

その店は、まごう事なき高級店だった。
オレたちは隠れ家のような個室に通され、店員さんが一枚一枚焼いてくれる焼肉を楽しんだ。

「こんな美味い肉、生まれて初めて食べましたよ!」

コンビニ弁当ばかり食べていたオレのバカ舌でも、『新進気鋭』の料理が美味い事は理解出来た。

酒が入ったので、気分も良くなった。
副社長の所と、チーフマネージャーの露木の二人が、オレが社長になる事に反対している件は、また明日考えよう。
今は、美女とのデートを楽しもう。
そう心に決めた。

「社長は」
「輝星、でいいですよ」
「では、社外ではそう呼ばせていただきます」
「そうして下さい」
「輝星・・・さんは、お父様との思い出は無いんですか?」
「う~ん・・・正直、無いですね。物心ついた頃には、親父はいませんでしたから」
「それからはお母様とお二人で・・・」
「そのおふくろも、早くに亡くしてしまいました」

酔いがまわったのか、急に目頭が熱くなった。

「何の親孝行も出来なかったなあ・・・こんな高級焼肉も、一度も食べさせてあげる事が出来なかった」

オレはおふくろが大好きだった。
ぽろぽろと、涙がこぼれた。

「あれ・・・なんだ、これ」

おしぼりで、顔を拭いた。

「輝星さんって、本当に優しいんですね」
「何でそう思うんです?」
「家族の為に泣けるのは、優しい証拠ですよ」

食事を終えたオレたちは、夜空が見えるテラスに移動した。
そこで、デザートとコーヒーが出る。
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