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138.参りましょう
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「ねえルビーさんは彼をどうしたいの?」
「え?」
唇を噛み締めながら下を向いて涙を堪えるルビーにアリスの問いが降りかかる。
「丸焼き?」
すっとルビーに向かって真っ直ぐ伸ばされたアリスの右手に炎がぼっと宿る。
「溺れさせちゃう?」
右手と同じく伸ばされた左腕に水が出現する。まるでヘビが腕に絡まっているようだ。
「感電させちゃう?」
ドーンと外から雷が落ちる音がした。外は晴れているのに不思議なこともあるものだ。
「シンプルに心臓をブスッといっちゃう?それとも手足でも切り落としちゃう?それか大事な部分でもちょん切っちゃう?」
ルビーの目の前に浮かぶ剣が現れる。キラリと光りとても切れ味が良さそうだ。
ルビーの頬にたらりと汗が流れていく。
「……それは」
「それは?」
「それは……あなたがやれることであって私がどれを選ぼうとできるものではないでしょう?牢屋に入れるわけでもない。騎士相手に、いえ元騎士相手に危害を加えられるわけがない」
「…………………………」
「それに私は捕まるのは嫌だって言ってるじゃない!自慢?自慢なの?自分には彼を好きにできる権力があること?それとも騎士相手であろうと簡単にやっつけられる力があること?いいわね力がある人間は!世の中を好きに生きることができて!!!」
「ふふっ」
ふふっ?今笑った?
どこまで人を見下せば気が済むの?
「あんた「もともとあなたには力などなかったでしょう?」」
怒鳴ろうとしたがアリスに遮られた。
「え?」
「確かにあなたは宰相の孫娘、王子の婚約者という肩書があり、あなたには金魚のフンがたくさんいたわ」
金魚のフンて……貴族令嬢のことをそのように言うのは少々よろしくない。侍女たちがたらりと汗を掻く中続けるアリス。
「でも実際あなたは力を持っていた?」
「あった……………ような無かったような」
改めて考えてみるとそこまで力はなかったような気が。
「宰相はあなたを甘やかすような方ではないし、お父上はお金持ちの伯爵だけれど政治には不向き。取り巻きたちは口では色々あなたを持ち上げていたみたいだけれど、実際に何かあなたの為に行動した人がいて?いなかったでしょう?あなた自身に発言力があったわけでもなし」
何か宰相が言いたげにしたが、アリスはちらりと見て制する。
「そもそも調子こいていたのは私にだけだしね。では、なぜあなたは私に色々な無礼をしても許されたのかしら?」
「それは……あなたが私のことを見逃してくれていたから……」
「本当にそれだけ?」
「他にある?」
アリスとルビーはお互いの顔をジロジロと見る。
「………………憐れな」
「な、何がよ……」
なんなのよ、急に。
「我が夫はあなたの為に強大なる敵……大国の筆頭貴族出身で天才的な魔法の使い手である妻……即ち私に楯突いたというのに!」
ああ悲劇!とばかりに額に手をかざし、倒れそうな演技をするアリス。
彼女の言葉にルビーはなんとも気まずげな表情を浮かべる。
やば…………普通に忘れていたわ。
「とまあおふざけはこのぐらいにして、夫は多少脳足りんなところもあるけれど王子。あなたが私に大きく出れたのも彼の存在は大きかったはず。彼が私よりもあなたの味方をすると確信していたでしょ?」
「………………」
まあ、利用していたわね。
「自分に力なんてなくたって力があるものを頼ればいいってあなたはよく知ってるじゃない」
力があるもの……チラリとブランクを見る。視線に気づいた彼は瞳を輝かせた。
違う。アリスが言っているのは彼じゃない。即座に視線を逸らすとブランクの目尻が哀しげに下がった。
別にこのまま自分も甥も助かった、トキは捕まった、おしまい、にもできる。
だがなんとも理解しがたい変な趣味の男に下に見られたままでは終われない。何か痛い目に合わせてやらないと気が収まらない。
ルビーはアリスに強い視線を向けた。
「アリス!あいつに……あのクソ野郎に目にもの見せてやりたいのよ!力を貸してちょうだい!」
がばっと腰を曲げ懇願する姿は品位の欠片もないがとても潔く感じられた。あの傲慢だったルビーのこんな姿を見てしまい、なんとも力になってあげたいような心持ちになる
…………アリス以外は。
その場にいる者たちの目が驚きに見開かれた。
まじか。
アリスの顔はとてつもなく
つまらなそうだった。
椅子に身を沈め足を組み、口をツンと突き出して不貞腐れている。
えっ、なんで??????皆不思議顔だ。
「そんなのじゃ嫌よ」
何が??????
「可愛くない」
可愛くない!?????
「それは一体どういう…………………………はっ!」
ルビーがアリスの思惑に気づき、顔を引き攣らせる。
視線をウロウロと彷徨わせると、乾いた唇を舐めて濡らす。ゆっくりとアリスに近寄り跪き、自身の手を媚びるように彼女の膝に置き潤んだ目でアリスを見上げる。
アリスの口角が緩く上がった。
この悪趣味な女が!
だが…………
え~~~~~~い!どうにでもなれ!
「アリス様~~~~もう本当に怖かった~~~!赤ちゃんに手を掛けようとするなんて最低なやつだと思いませんかあ!?もう私、許せません!でも……私には彼にやり返す力はなくて……。アリス様、お助けいただけませんか?」
ぽかーんと口を開け、皆がこちらを見ているのがわかる。恥ずかしい!恥ずかしすぎる。以前自分がブランクに泣きつく時にしていたことだが恥ずかしい!自分がこんなに痛いことをしていたとは…………マジで過去を消し去りたい。
顔を真っ赤にするルビーに憐憫の視線が突き刺さり、彼女にこんな表情をさせた元凶にしらーと視線が移っていく。
「見事だわ!やはりあなたのおねだりはそうでなくては!」
懐かしいわーと一人だけとっても楽しそうにはしゃぐアリス。
「もちろん!あなたと私の仲ではないの!喜んで協力するわ!」
「あ……ありがとうございます」
あ……悪魔だ。悪魔が目の前にいる。
「それではお姫様、お手をどうぞ」
スッとアリスがルビーに向かって腕を伸ばし手を差し出す。
「え、今から?何か計画とか」
「復讐はささっと速やかに。クズ野郎のことを考える時間なんてもったいないわ」
「何よそれ、初めて聞いたわよ」
そう言いながらゆっくりとアリスの手に自らの手を重ねるルビー。ルビーの手の温もりを確認したアリスは艶やかに微笑むと言った。
「いざ勘違い変態男退治へ」
「え?」
唇を噛み締めながら下を向いて涙を堪えるルビーにアリスの問いが降りかかる。
「丸焼き?」
すっとルビーに向かって真っ直ぐ伸ばされたアリスの右手に炎がぼっと宿る。
「溺れさせちゃう?」
右手と同じく伸ばされた左腕に水が出現する。まるでヘビが腕に絡まっているようだ。
「感電させちゃう?」
ドーンと外から雷が落ちる音がした。外は晴れているのに不思議なこともあるものだ。
「シンプルに心臓をブスッといっちゃう?それとも手足でも切り落としちゃう?それか大事な部分でもちょん切っちゃう?」
ルビーの目の前に浮かぶ剣が現れる。キラリと光りとても切れ味が良さそうだ。
ルビーの頬にたらりと汗が流れていく。
「……それは」
「それは?」
「それは……あなたがやれることであって私がどれを選ぼうとできるものではないでしょう?牢屋に入れるわけでもない。騎士相手に、いえ元騎士相手に危害を加えられるわけがない」
「…………………………」
「それに私は捕まるのは嫌だって言ってるじゃない!自慢?自慢なの?自分には彼を好きにできる権力があること?それとも騎士相手であろうと簡単にやっつけられる力があること?いいわね力がある人間は!世の中を好きに生きることができて!!!」
「ふふっ」
ふふっ?今笑った?
どこまで人を見下せば気が済むの?
「あんた「もともとあなたには力などなかったでしょう?」」
怒鳴ろうとしたがアリスに遮られた。
「え?」
「確かにあなたは宰相の孫娘、王子の婚約者という肩書があり、あなたには金魚のフンがたくさんいたわ」
金魚のフンて……貴族令嬢のことをそのように言うのは少々よろしくない。侍女たちがたらりと汗を掻く中続けるアリス。
「でも実際あなたは力を持っていた?」
「あった……………ような無かったような」
改めて考えてみるとそこまで力はなかったような気が。
「宰相はあなたを甘やかすような方ではないし、お父上はお金持ちの伯爵だけれど政治には不向き。取り巻きたちは口では色々あなたを持ち上げていたみたいだけれど、実際に何かあなたの為に行動した人がいて?いなかったでしょう?あなた自身に発言力があったわけでもなし」
何か宰相が言いたげにしたが、アリスはちらりと見て制する。
「そもそも調子こいていたのは私にだけだしね。では、なぜあなたは私に色々な無礼をしても許されたのかしら?」
「それは……あなたが私のことを見逃してくれていたから……」
「本当にそれだけ?」
「他にある?」
アリスとルビーはお互いの顔をジロジロと見る。
「………………憐れな」
「な、何がよ……」
なんなのよ、急に。
「我が夫はあなたの為に強大なる敵……大国の筆頭貴族出身で天才的な魔法の使い手である妻……即ち私に楯突いたというのに!」
ああ悲劇!とばかりに額に手をかざし、倒れそうな演技をするアリス。
彼女の言葉にルビーはなんとも気まずげな表情を浮かべる。
やば…………普通に忘れていたわ。
「とまあおふざけはこのぐらいにして、夫は多少脳足りんなところもあるけれど王子。あなたが私に大きく出れたのも彼の存在は大きかったはず。彼が私よりもあなたの味方をすると確信していたでしょ?」
「………………」
まあ、利用していたわね。
「自分に力なんてなくたって力があるものを頼ればいいってあなたはよく知ってるじゃない」
力があるもの……チラリとブランクを見る。視線に気づいた彼は瞳を輝かせた。
違う。アリスが言っているのは彼じゃない。即座に視線を逸らすとブランクの目尻が哀しげに下がった。
別にこのまま自分も甥も助かった、トキは捕まった、おしまい、にもできる。
だがなんとも理解しがたい変な趣味の男に下に見られたままでは終われない。何か痛い目に合わせてやらないと気が収まらない。
ルビーはアリスに強い視線を向けた。
「アリス!あいつに……あのクソ野郎に目にもの見せてやりたいのよ!力を貸してちょうだい!」
がばっと腰を曲げ懇願する姿は品位の欠片もないがとても潔く感じられた。あの傲慢だったルビーのこんな姿を見てしまい、なんとも力になってあげたいような心持ちになる
…………アリス以外は。
その場にいる者たちの目が驚きに見開かれた。
まじか。
アリスの顔はとてつもなく
つまらなそうだった。
椅子に身を沈め足を組み、口をツンと突き出して不貞腐れている。
えっ、なんで??????皆不思議顔だ。
「そんなのじゃ嫌よ」
何が??????
「可愛くない」
可愛くない!?????
「それは一体どういう…………………………はっ!」
ルビーがアリスの思惑に気づき、顔を引き攣らせる。
視線をウロウロと彷徨わせると、乾いた唇を舐めて濡らす。ゆっくりとアリスに近寄り跪き、自身の手を媚びるように彼女の膝に置き潤んだ目でアリスを見上げる。
アリスの口角が緩く上がった。
この悪趣味な女が!
だが…………
え~~~~~~い!どうにでもなれ!
「アリス様~~~~もう本当に怖かった~~~!赤ちゃんに手を掛けようとするなんて最低なやつだと思いませんかあ!?もう私、許せません!でも……私には彼にやり返す力はなくて……。アリス様、お助けいただけませんか?」
ぽかーんと口を開け、皆がこちらを見ているのがわかる。恥ずかしい!恥ずかしすぎる。以前自分がブランクに泣きつく時にしていたことだが恥ずかしい!自分がこんなに痛いことをしていたとは…………マジで過去を消し去りたい。
顔を真っ赤にするルビーに憐憫の視線が突き刺さり、彼女にこんな表情をさせた元凶にしらーと視線が移っていく。
「見事だわ!やはりあなたのおねだりはそうでなくては!」
懐かしいわーと一人だけとっても楽しそうにはしゃぐアリス。
「もちろん!あなたと私の仲ではないの!喜んで協力するわ!」
「あ……ありがとうございます」
あ……悪魔だ。悪魔が目の前にいる。
「それではお姫様、お手をどうぞ」
スッとアリスがルビーに向かって腕を伸ばし手を差し出す。
「え、今から?何か計画とか」
「復讐はささっと速やかに。クズ野郎のことを考える時間なんてもったいないわ」
「何よそれ、初めて聞いたわよ」
そう言いながらゆっくりとアリスの手に自らの手を重ねるルビー。ルビーの手の温もりを確認したアリスは艶やかに微笑むと言った。
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