勇者の曾孫の迷走録

たくみ

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2.転生したようです

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 で意識を取り戻したのがつい先程のこと。

 いや、これは意識を取り戻したとは言わないか。生まれ変わったと言うのだろうか。

 目が覚めると俺は産まれたてほやほやの赤子になっていた。

 今俺は

 身体を綺麗にされ、
 真っ白いヒラヒラのついたベビー服を着せられ、
 とても寝心地の良いベビーベッドに寝転がりながら、


 目の前のやたらと胸焼けがする光景を眺めていた。


 新生児はほとんど目が見えないと聞くが……自分もそうでありたかった。不思議だな~なぜかはっきりと見える。いや、そもそも赤子がこんなに色々と物事がわかる事自体おかしいか。


「可愛いわね~」

「ああ、君にそっくりだ」

「あら、あなたにそっくりよ」

「いや、こんなに愛らしいのだ。君似だよ」

「まあ…………私はこんなにも愛らしいかしら」

「ああ、とても…………」

「あなた…………」

 見つめ合う二人の男女。

 男性は焦げ茶色の短髪と同じ色の切れ長の瞳。バランスよく配置されたパーツが存在する小顔。10人が10人認めるイケメンだ。高身長にがっしりとした体つき。いやなんか同じ男なんだが服を捲ってみたいような男でも憧れる身体つきだ。

 そのイケメンさんがデレデレと微妙に鼻の下を伸ばしながら見つめる先にいるのは一人の女性だ。

 ウェーブがかった淡いピンク色の長い髪。クリクリとした髪の毛と同じ色の瞳にはバッサバッサと長いまつ毛が生えている。化粧濃……ではない!すっぴんでこのボリューム。美人というより可愛いお顔つきだ。身体つきは……まあ男としてはガン見したいけれどしてはいけない悩ましボディ。まつ毛といいボディといい、恵が見たら羨ましがりそうだ。


 彼らは俺の新しい父と母のようだ。


「ご主人様、奥様その辺になさいませ。何回その暑苦しいやり取りをなさるのですか。お坊ちゃまが驚いておられます」

 そう声をかけてきたのは執事らしき服を着た紳士だ。

「夫婦仲が良好なのは良いことではないか、セバスチャン」

 セバスチャン……いやもう名前からして執事で間違いないだろう。

「夫婦仲がよろしいのは構いませんが、お坊ちゃまの前で下心のあるスケベ視線を奥様に投げかけるのはお控えになるべきかと存じます」

 スケベ視線……とショックを受けるイケメン親父。

「まあまあセバスチャン。それよりもセバスチャンあなたの目から見てこの子はどちらに似ていると思う?」

「そうですね。お坊ちゃまは髪の毛の色が……」

 来い焦げ茶来い焦げ茶来い焦げ茶来い焦げ茶来い焦げ茶来い焦げ茶……

 男子たるもの髪色がピンクは駄目だ、似合わないなどと言うつもりはない。だが昭和生まれの自分としてはピンクより焦げ茶の髪色が良い。可愛い母親似よりも自分の理想を具現化した格好良い父親似であって欲しい!
 
「……焦げ茶で先程ちらっと見えた瞳の色も焦げ茶のようですね。だからでしょうか……顔立ちもご主人様に似ておられるように私には見えます」

 ( いよっしゃあ! )

 ガッツポーズ!もしたかったところだがなにぶんまだ赤子。頭はしっかりしているが身体は年齢相応の動きしかできないよう。だから心の中で拍手喝采を自分に送る。

「あら、じゃあ将来は女の子が放っておかないわね」

 とても嬉しそうな顔をする母に何やらむず痒い気持ちが湧き上がる。

「ねえ、レンロード。この子の名前は何にしましょう?」

 ( おっ?お父様かっこいい名前を願いますよ )

「アレンはどうだろう?アレン・デラクシア」

 ( デラクシアというのは家名か?どこかの貴族なのだろうか?今部屋の中にはセバスチャン以外にも医師、産婆、あとは数人の看護師?助産師?がいる。出産に関わった人数も多いがそれ以外にも皆お揃いの使用人服を着た女性の数もなかなか多い。たぶん侍女というものだろう。これだけの人数を雇えるなんて金持ち以外あり得ない。金持ちの坊ちゃまか…………少々顔が緩んでしまう…… )

「まあ素敵だわ。でもどうしてその名前にしたの?」

「いや、なんかアレンって顔をしているからだ。君は何か希望する名はあるかい?アナスタシア」

 ( アレンって顔ってどんな顔だ…… )

 とりあえず父親の名前はレンロード、母親の名前はアナスタシアというようだ。

「とても素敵な響きだと思うわレンロード。アレン……いずれこのデラクシア公爵家を継ぐ大事な大事な我が子。無事に産まれてきてくれてありがとう。これからよろしくね」

 とても優しい声に前世の母を思い出した。身体の弱い人で自分が小5のときに亡くなった。明るく優しく大好きだった母、怒ると怖かったが……それでも自分を思う気持ちが伝わってくるような愛情深い人だった。

 父親の方はイケメンにして愛妻家というのはわかるが、子に対してどう思っているかはよくわからない。妻を大事にし執事にも侍女にもこうなんか微笑ましいような生温い視線を向けられているのを見るに悪い人間ではないようだ。

 ちなみに前世の父は大学卒業後亡くなってしまった。自分も経験があるが男手一人で子育て、更に妻の入院費など色々と大変だっただろうにそんなことを感じさせない人だった。



 今世も前世も良い親に恵まれるとは…………

 とても幸せだ。

 しみじみと思った。




 だが、

 ところで…………ここはどこなのだろうか?

 
 
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