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36.魔王復活②
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それから毎日俺とリカルドは公爵邸の訓練場でライオン丸に鍛えられた。
『リカルド!魔法の発動が遅いぞ!』
「はい!師匠!」
『そんなへなちょこ魔法で魔王が倒せると思っているのか!?』
「思っていません!師匠!」
ライオン丸のことを師匠と呼びながらそんなやり取りをするリカルドをちらりと横目で見る。彼はこれでどうだといわんばかりに大量の炎の玉をライオン丸目掛けて投げつけている。
あっさり弾かれる炎の玉たち。
「「あ」」
やば……。
その玉は俺の真横スレスレを飛んでいった。見事に壁に穴を空けた炎の玉を呆然と見やる俺に激が飛ぶ。
『こらぁアレン!何ぼーっと突っ立ってるんだ!』
「…………すみません」
『どいつもこいつもたるんでいるな!あの時の魔王の恐ろしさを知らぬからだろうが……嘆かわしいことだ』
「そんなに凄いんですか?」
『ああ。そんなに凄い』
リカルドの問に簡潔に答えるライオン丸。
『だからこそ私自らお前たちを鍛えているんだろう!とにかくまず気合を入れろ!』
「「どうやって?」」
『打倒魔王!!!』
「は?」
『何がは?だ!気合と言えば大声だろう!?打倒魔王!!!』
思わず聞き返したら怒られてしまった。
「打倒魔王!!!」
ライオン丸の迫力に圧されたのか、それとも根が熱血タイプなのかリカルドが叫ぶ。
『いいぞリカルド、その調子だ!打倒魔王!!!!』
「打倒魔王!!!」
『打倒魔王!!!』
「打倒魔王!!!」
呆然とする俺を置き去りに二人は何やら活き活きとしていた。その日以降毎日訓練と打倒魔王と叫ぶ日々は続いた。
『打倒魔王!!!』
「打倒魔王!!!」
『打倒魔王!!!』
「打倒魔王!!!」
リカルドは最初のやる気のなさはどこへやら、やる気満々でなんとも頼もしい限りだった。彼はそのモチベーションを維持しながら更に訓練と魔王打倒を叫び続けた。
そう、毎日毎日…………………………
「で、いつ魔王は復活するんだ?」
学院の教室でリカルドが真剣な力強い眼差しで俺を見据えてくるが……
「さあ」
俺だってわからない。むしろ
「俺だって知りたいくらいだ」
半年程経つが魔王はリカルドや俺の前どころか誰の前にも姿を現していないようだった。どこかで魔王が出たという噂も強力な魔物が出現したという噂も聞いたことがない。
二人でドスンと優雅に寝そべるライオン丸に視線を向ける。
『なんだその目は?言っておくが奴が現れないのは私のせいではないぞ?』
それはそうだ。ライオン丸は悪くない。
だが、
「これだけ気合を入れて待っているのに、なんかやる気がなくなるっていうか」
リカルドが気の抜けた様子で言う。あの打倒魔王!!!の熱はどこへやら最近ではライオン丸もリカルドもただ黙々と訓練を行うのみだった。
「こんなに頑張ってやってるのになぁ」
俺も思わずポロリと言葉が出ていた。一生懸命毎日毎日地獄のような訓練をしているのに魔王の噂はおろか強い魔物の一つも出ないので正直モチベーションダウンである。
とはいうものの今日も帰ったら特訓の時間が待っている。
~~~~~~~~~~
はずだったのたが……
「これは一体」
公爵邸に帰宅したアレンが見たのは倒れる使用人たちの姿。慌てて駆け寄って呼吸を確認するとスースーと規則正しい呼吸音が聞こえてくる。
どうやら寝ているだけのよう。
誰かに襲撃を受けているようだ。
家族は無事か?
「アレン様!」
自分の名前を呼ぶ声に顔を上げると、侍従のキースと数人の使用人たちが小走りで近寄ってくる。
「無事だったか!何が起きているかわかるか?」
その質問に首をひねるばかりの使用人たち。急に何人かの使用人が倒れ、その後続々と人数が増えていったよう。
だが、眠りにつかなかった使用人もいるし、そもそも襲撃者の姿を見たものがいない。こんな状態だと言うのに殺伐とした雰囲気がないのはどういうことか。
ますます頭の中が混乱してくるアレン。
とりあえず家族を探そう。
走り出したアレンは父親の執務室を目指す。
バタン!
「ぎゃっ!」
「父上!」
扉を慌ただしく開けるとそこには父、母、ライラ、スタンが勢揃いしていた。とりあえず無事でよかった。ほっと息を撫で下ろす。
が、皆目をまん丸くしている。
なんだ、その驚きの表情は?よく見ると彼らはアレンを見ていない。
というか、先程扉を開けた時にぎゃっと言う声と何かぶつけた音がしたような……。恐る恐る扉の方を見るとそこには5、6歳くらいの黒髪に黒い瞳の男の子がいた。
非常に美形なのだが、後頭部をぶつけてしまったようで後頭部を押さえ蹲っている。
アレンと視線が合うとすっごい睨みつけてくる。でも涙を浮かべてうるうるしている様は少し可愛い。あ、余計に睨みつけられた。
「き、貴様……何様だ!?魔王たる我になんたるぶれぎゃっ!」
えー…………魔王と名乗る少年がのけぞり気味に立ち上がったかと思うと再び後頭部を押さえて蹲った。
「アレン!大丈夫か!?」
『ついに時は来たようだな!特訓の成果を見せるときだ!』
開け放たれていた扉を更に押し開け公爵邸の執務室に飛び込んできたのはリカルドとライオン丸だった。
今度はアレンも皆と同じく目をまん丸と見開いてしまった。
『リカルド!魔法の発動が遅いぞ!』
「はい!師匠!」
『そんなへなちょこ魔法で魔王が倒せると思っているのか!?』
「思っていません!師匠!」
ライオン丸のことを師匠と呼びながらそんなやり取りをするリカルドをちらりと横目で見る。彼はこれでどうだといわんばかりに大量の炎の玉をライオン丸目掛けて投げつけている。
あっさり弾かれる炎の玉たち。
「「あ」」
やば……。
その玉は俺の真横スレスレを飛んでいった。見事に壁に穴を空けた炎の玉を呆然と見やる俺に激が飛ぶ。
『こらぁアレン!何ぼーっと突っ立ってるんだ!』
「…………すみません」
『どいつもこいつもたるんでいるな!あの時の魔王の恐ろしさを知らぬからだろうが……嘆かわしいことだ』
「そんなに凄いんですか?」
『ああ。そんなに凄い』
リカルドの問に簡潔に答えるライオン丸。
『だからこそ私自らお前たちを鍛えているんだろう!とにかくまず気合を入れろ!』
「「どうやって?」」
『打倒魔王!!!』
「は?」
『何がは?だ!気合と言えば大声だろう!?打倒魔王!!!』
思わず聞き返したら怒られてしまった。
「打倒魔王!!!」
ライオン丸の迫力に圧されたのか、それとも根が熱血タイプなのかリカルドが叫ぶ。
『いいぞリカルド、その調子だ!打倒魔王!!!!』
「打倒魔王!!!」
『打倒魔王!!!』
「打倒魔王!!!」
呆然とする俺を置き去りに二人は何やら活き活きとしていた。その日以降毎日訓練と打倒魔王と叫ぶ日々は続いた。
『打倒魔王!!!』
「打倒魔王!!!」
『打倒魔王!!!』
「打倒魔王!!!」
リカルドは最初のやる気のなさはどこへやら、やる気満々でなんとも頼もしい限りだった。彼はそのモチベーションを維持しながら更に訓練と魔王打倒を叫び続けた。
そう、毎日毎日…………………………
「で、いつ魔王は復活するんだ?」
学院の教室でリカルドが真剣な力強い眼差しで俺を見据えてくるが……
「さあ」
俺だってわからない。むしろ
「俺だって知りたいくらいだ」
半年程経つが魔王はリカルドや俺の前どころか誰の前にも姿を現していないようだった。どこかで魔王が出たという噂も強力な魔物が出現したという噂も聞いたことがない。
二人でドスンと優雅に寝そべるライオン丸に視線を向ける。
『なんだその目は?言っておくが奴が現れないのは私のせいではないぞ?』
それはそうだ。ライオン丸は悪くない。
だが、
「これだけ気合を入れて待っているのに、なんかやる気がなくなるっていうか」
リカルドが気の抜けた様子で言う。あの打倒魔王!!!の熱はどこへやら最近ではライオン丸もリカルドもただ黙々と訓練を行うのみだった。
「こんなに頑張ってやってるのになぁ」
俺も思わずポロリと言葉が出ていた。一生懸命毎日毎日地獄のような訓練をしているのに魔王の噂はおろか強い魔物の一つも出ないので正直モチベーションダウンである。
とはいうものの今日も帰ったら特訓の時間が待っている。
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はずだったのたが……
「これは一体」
公爵邸に帰宅したアレンが見たのは倒れる使用人たちの姿。慌てて駆け寄って呼吸を確認するとスースーと規則正しい呼吸音が聞こえてくる。
どうやら寝ているだけのよう。
誰かに襲撃を受けているようだ。
家族は無事か?
「アレン様!」
自分の名前を呼ぶ声に顔を上げると、侍従のキースと数人の使用人たちが小走りで近寄ってくる。
「無事だったか!何が起きているかわかるか?」
その質問に首をひねるばかりの使用人たち。急に何人かの使用人が倒れ、その後続々と人数が増えていったよう。
だが、眠りにつかなかった使用人もいるし、そもそも襲撃者の姿を見たものがいない。こんな状態だと言うのに殺伐とした雰囲気がないのはどういうことか。
ますます頭の中が混乱してくるアレン。
とりあえず家族を探そう。
走り出したアレンは父親の執務室を目指す。
バタン!
「ぎゃっ!」
「父上!」
扉を慌ただしく開けるとそこには父、母、ライラ、スタンが勢揃いしていた。とりあえず無事でよかった。ほっと息を撫で下ろす。
が、皆目をまん丸くしている。
なんだ、その驚きの表情は?よく見ると彼らはアレンを見ていない。
というか、先程扉を開けた時にぎゃっと言う声と何かぶつけた音がしたような……。恐る恐る扉の方を見るとそこには5、6歳くらいの黒髪に黒い瞳の男の子がいた。
非常に美形なのだが、後頭部をぶつけてしまったようで後頭部を押さえ蹲っている。
アレンと視線が合うとすっごい睨みつけてくる。でも涙を浮かべてうるうるしている様は少し可愛い。あ、余計に睨みつけられた。
「き、貴様……何様だ!?魔王たる我になんたるぶれぎゃっ!」
えー…………魔王と名乗る少年がのけぞり気味に立ち上がったかと思うと再び後頭部を押さえて蹲った。
「アレン!大丈夫か!?」
『ついに時は来たようだな!特訓の成果を見せるときだ!』
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今度はアレンも皆と同じく目をまん丸と見開いてしまった。
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