【完結】王太子に捨てられたヒロインのその後 ～真実の愛って言ったじゃない～【R18】

そのオッパイは俺のだ～スタンリー視点～

　ニーナにハムみたいに縛り上げられ、その翌朝使用人たちに見つかって顰蹙を買ったのは、一年と少し前のこと。

　その間に、王都では一悶着あった。

　王太子がローレンス王子に変わったのだ。クリフォード殿下は自らが種無しであることを世に公表し、王太子の座を降りた。

　そしてローレッタ様とスローライフするとかで、都を去ったのである。


　俺はというと……。

　ベッドの上のレディ二人を見守っている。

　乳母を雇わず、自分で授乳することにしたニーナ。俺はオッパイを飲み終えたメイベルをそっとニーナから引きはがし、肩に担いでゲップさせた。

　ニーナは授乳の途中で眠ってしまったようだ。娘のメイベルは夜泣きはそう多くはないが、オッパイ大好き食いしん坊なのだ。夜間も何度も起きる。

　そろそろ離乳食開始だろうか。ニーナは、寝不足なんだろうな……。

　メイベルは生後五か月になるのに、まだ自分でうまくゲップができず、ウエェロッと母乳を吐き出す。

　たいていエイベルがすっとんで来て拭いてくれるのだが、今エイベルは家庭教師と子供部屋でお勉強中。言葉は遅い方だったというエイベル。先に文字を形から覚えてしまい、本は自分で読めるようになっていた。

　立派な辺境伯になることだろう。

　しばらく縦抱っこして、筋トレがわりに屈伸を続けているうちに、メイベルはウトウトしだした。完全に眠るのを待って、ゆりかごにそっと移す。

　それから、しげしげと娘を眺める。見た目はニーナにそっくりだ。柔らかなクリームブロンドに若草色の明るい瞳。目元には俺と同じ位置に泣きボクロ。

　ただ、今のところほとんど笑わない。どうやら中身は俺に似たらしい。不愛想で、不器用な女の子になりそうだ。

　──眉間に皺を寄せて寝る赤子ってどうなんだ？

　メイベルの寝顔を見ているうちに、俺まで眠くなってきた。欠伸をし、ニーナの隣にごろりと寝そべるも、今度はニーナの寝顔に見入ってしまう。

　乳房が、出たままだな。冷えたら大変だ。

　前開きのブラウスを掻き合わせ、ボタンをしめてやろうとした。最初は。

　でも、うっすら青い血管の透けた真っ白な胸の膨らみ、そしてそのラズベリーのような先端に母乳が滲むのを見て、ムラッとなった。

　少しだけ……。

　尖端を舐めた。

　……甘い。ニーナそのものの匂いに、俺は陶然となる。

　夢中になって舌で舐めすくった。ニーナが色っぽい声をあげる。俺は頭に血が上り、いつの間にか強く吸っていた。

　たっぷり母乳を含んだ重たい乳房を掬い上げ、顔を埋める。

「しゅたんりーしゃま？」

　むにゃむにゃ言いながら、寝ぼけた声で問いかけられた。ああ、起こしてしまったな。

「どうしたの？　メイベルみたいよ？」

　若草色の瞳の垂れ目が、とろんと俺を見つめる。寝起きが一番エロいかもしれない。

「ちょっとだけ、俺の相手も……して……くれないだろうか、たまにでいいから」

　見つかったのが決まり悪くて、ボソボソと言う。だって俺の精は強くて、ニーナはすぐ妊娠しちゃったからな。

　ニーナはクスッと笑って、俺の頭を抱きしめた。

「仕方ないでちゅね」

　俺は嬉々として、

「愛している、永遠に愛している」

　と呪いのようにつぶやきながら、再び大きなオッパイにむしゃぶりつこうとした。

　ミルクが発射され俺の眼球を直撃したが、俺はそれでも最高に幸せだった。



　メイベルが六歳になった頃、祖父が他界した。大往生ではあるものの、わりと突然だった。これまた長生きのマクニールによれば、ショック死だったらしい。

　喪服で泣き崩れる妻や子供たちを慰めつつ、床に落ちていたメルルン人形を拾い上げる。祖父が死に際に手に持っていた、メイベルのお気に入りだ。

　服を全て脱がされ、紐で複雑怪奇に縛られたそれを見てから、グスグス言っているメイベルに目をやる。

　縄跳びの練習時に、兄エイベルが有り得ない入り組んだ絡み方をしたのも、実はこの子のせいじゃないか？　エイベルは「自分でやったんだよ、メイベルを叱らないで！」と必死に庇っていたが。

　いいよな、緊縛。




完


ご愛読ありがとうございました。


エイベル編、メイベル編もよろしくです！　二人が縛ったり縛られたりするよ！