16 / 110
第一章 ヒロイン視点 悪役令嬢の断罪
16.ロザリーの言い分 2
しおりを挟むロザリーの頭を、大きな分厚い手でぽん、ぽん、と、軽く撫でながらおじさんは話した。
「実際、この子には才がある。考案するメニューや営業形態はとても斬新だ。
だが、いくら才があっても、任せるには早すぎたな。近くに良いものがあるなら、そこから学ばねばならん。
嫌がらせをして潰そうとするなど、人の道にもとる。謝りなさい」
ぐぐっと、ロザリーの肩に力がこもる。
何か、言いにくいことらしい。
なに。ごめんじゃないの?
黒いどろどろは、また私の中から出てこようと頑張り始めた。
やっぱり、こいつは、はんせいなんかしないぞ。
やっつけないと、いつまでもおんなじだぞ。
さあ、きずつけろ。にくめ。うらめ。これまでの分だ。いやな気分にさせるんだ。
「……でも!私の居酒屋は、もっと大きくなって、このお店も吸収合併して、この子もやとって」
……やとって?
黒いぐるぐるが動揺した。私を、雇う?あなたが?
「今、説明したろう。材料が贅沢過ぎるんだ。
居酒屋が大きくならないのは、この店のせいではない。他国から取り寄せる香辛料がいくらすると思っている。
計算がまだできないから、仕方ないのかもしれないが」
……まだちょっと考えがまとまらない。
とりあえず、いざかやはメニューに問題があるんだ。うちのせいじゃない。
そうだ。嘘のうわさを流して、さかうらみして、うちをつぶそうなんて、わるいやつだ。
そうだ。あやまれ。あやまるんだ。
ロザリーは、目に涙を溜めながら俯いてる。
よし、もう少し。
さあ、負けを認めろ。罪を認めるんだ。そしたら、黒いものがあなたをやっつけてやるんだから。
そんないいところで、ニムルスがしゃべり出した。
「うーんと、なあ、ここの料理を食ってからにしないか?自分の家のメシ以外、あんまり食べたことないんだろ?」
くう、今あいつ謝ろうとしてたのに。
ロザリーは、なんかニムルスを見ている。
少し口角が上がった気がした。
何、自分がかばってもらってるとでも思ってる?
ニムルスを、ぎろっと睨んでやった。
ふっ、と、ニムルスは笑った。
くっ、ちっともこたえてない。
ぐぐっとぐるぐるしたものがこみ上げてきた。
今度は、何か真っ黒だけじゃない。
なんだろう、違うものが混ざっている。なに?よくわからない。
「お前だって、ロザリーが、親に言われて口先だけ謝ったからって満足すんのか?納得できんのか?
俺だったら嫌だな。女としては最低の噂だったんだぜ?上っ面だけで簡単に許したくはねえ。
そうだろ?」
すとん。
こころに、言葉が落ちてくる。
やっぱりこいつは胡散臭い。
その通りだ。私の心でも読んでるのか。
なんか、テーブルの下で私の手を掴んできた。
なんでか、振りほどけなかった。
こくん。頷く。
ニムルスは、ただでさえタレ目がちの目を更に垂れさせ、微笑んで私の手を離す。
ぐるぐるした黒い気持ちは、蓋がされたみたいにどこかに消えていた。
やっぱり胡散臭い。魔法でも使ってるのか。
ロザリーは、ぎゅっと口を引き絞った。
ねえ、あごにうめぼしできてるよ。
しわしわだよ。
ちょっとぶさいくだ。黒くない何かが少しひっこんだ。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった
木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。
今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。
せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。
床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。
その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。
他サイトでもアップしています。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。
しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。
断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる