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第四章 ハンカチ屋の様子見
6.様子見ながらの、決意
しおりを挟む次の歴史の授業の時間になっても、三人は帰って来なかった。
カイルが、あいつら何やったんだろうな、って、叱られてる前提の話をしていて、みんなほっこりしていた。
わんわん君とは呼ばれなくなったけど、やっぱりカイルの単純な言動は、みんなをなぜか安心させる。
おれも、もっと強くなりてぇな。城壁の外に出たら、弟や妹のために、うさぎを狩るんだ。
そんな発言から、一気に話題は城壁の外の話へと移って行った。
そろそろ、みんなも城壁の西門の森に出て、採取ができる年だ。学校が始まるまでの午前中、兵士の監督つきで子供も外に出られる。
お兄ちゃんがいる家庭の子の話が始まる。みんなが聞き耳を立てる。おうちの食糧事情につながる、大切なお話だから。
魔法のお話はどこかに飛んで行った。
みんな、気づいてる。
魔法についての、何か大事な、大人の事情があること。
ロザリーがそれに触れてしまったから、呼び出されて、魔法を使える三人が、こんなに長く帰って来ないって。
そして、それに触れたら、きっといけないんだって。
子供は、けっこう敏感なんだ。きっとロザリーに魔法のことを聞く子は、もう出ないだろう。
でも私は、諦めていなかった。
私の将来に関わる、とても大切なことだ。
いや、将来とも言ってられない。すぐにでも覚えたい。
家で一人でいるのって、怖い。更に、最近はダルクさんがうちで過ごす時間が、長くなってきた。
昨日は、今度酒持ってきていい?と、言われた。
うちで飲む気か。
酒場でもないのに。
お母さんはまだ帰って来ない。
本当はすぐにでも相談したい。けど、そうしてダルクさんにお仕事を辞めてもらったところで、あの人はうちの場所を知ってる。
私がほぼ、一人暮らしだということも、知ってる。
力があるひとだから、扉を蹴破ることくらい、わけもないはずだ。
あの年で王都で雑用をしているということは、よっぽど割のいい仕事を取るコネがあるのか、悪いことをしている人かのどちらかだ。
あの人は後者だ。私は、様子見は、得意だ。
がちゃ。教室の扉が開かれて、司祭様と三人が入ってきた。
「お待たせしました。歴史の授業を始めます」
司祭様は、何事もなかったかのように授業を始めた。
流れるように話される王国の遍歴は、私の頭の上を素通りしていった。
司祭様を見ているロザリーの横顔から、表情は読み取れなかった。
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