本編開始前に悪役令嬢を断罪したらうちでバイト始めた

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第五章 婚約志望者の秘密

7.保護者達の暗躍

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エリサさんは、次の日から教会に通うようになった。ディアスさんも時々ついていく。

俺たちの授業は、大人の信者へのミサが終わってから行われている。つまり、朝の時間のそのミサに、エリサさんは紛れているわけだ。

俺もこっそりエリサさんの様子を見てみた。
結論から言うと、ものすごく慎重だ。


アリスの母親は、他の人とは挨拶する時すら目を合わせていない。そして激やせしてきている。
変装に意味がなかったからだろう。なりふり構わずやったことが無駄だったんだ、きついだろうな。

そのアリスの母親が、エリサさんには挨拶を返す。一体どうやってるんだ。
まず顔見知りになる作戦なんだろう。エリサさん、手慣れている。ちょっと微笑み合ってすらいる。


親父は、エリサさんについては監視もサポートも必要ないと断言していたけど、本当みたいだ。
一体過去にどんな冒険を。スパイだったのか。そうなのか。何してんだ親父。


ディアスさんはなぜか、教会の壁とか窓とか部屋の位置なんかをさりげなく確認している。教会にいる人間の数、入り口の数、出入りする人間をチェックしているみたいだ。
はた目には、エリサさんにくっついて来たものの、慣れない場所で右往左往しているおじさんにしか見えない。

で、司祭様に接触して、案内してもらって、顔見知りになってる。あえてリーナのことは言わない。

うわ、お茶に誘われたぞ?あれ、断った?なんで?

司祭様は、ほっと息をついた。あ、警戒してたのか。
ディアスさん、司祭様の警戒を、かわしたんだ。
そのあと道端で、なんか庭の植物の話とかしてる。あ、手入れ方法から教会の人員の話になった。
全然警戒されてねぇ。司祭様は庭を誉められて上機嫌だ。

すげえ。勉強になる。


そうだよな、司祭に直球で話しかけて、答えてくれるわけないもんな。エリサさんが聞きだすのを待ってるのか。


親父は……俺の保護者として何回か司祭とお茶を飲んでいる。見た目には、俺の進路相談だ。
たぶん平民枠で、貴族魔法学院に放り込めないか、動き始めてる。親父、本気なのか?

そして司祭が席を外した瞬間に、部屋中をごそごそ何か探している。それを何日か繰りかえして、捜索は終了したようだ。


進路相談は終わりを告げた、その日。


つかつかと、親父が俺の隠れてる茂みに近づいてくる。
庭の木を見るふりをしながら、独り言のように呟いた。

「明日の夜、会議だ。連絡しとけ」


俺は、がさ、と、了承の意味で茂みを揺らした。

親父は、何事もなかったかのように去っていった。

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