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本編
第二十六話 エレナ侯爵夫人
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「これなのだけれど、どうかしら。私の祖母から受け継いだウェディングドレスなの。母も着たのよ。私の婚姻式に使って欲しいと言われたのだけど、身長が違い過ぎてしまって。胸元に使っていたレースを一部だけ貰って私の式で着た衣装に使ってしまったのだけれど丁寧に解いて始末をし直してあるし、それ以外はまだまだ十分綺麗でしょ。お手入れも侯爵家の使用人たちが心を込めてしてくれているわ。年代物ではあるのだけれどまだ着れると思うのだけど、どうかしら」
サリの目の前にあるのは、これまでサリが見た中でも別格に美しく緻密な刺繍が全面に施された美しいドレスだった。
但しデコルテを縁取るように縫い付けれているレースが一部外されて代わりに絹で縫い目が解けないように処理がされている。
ぱたぱたと胸元から袖へと手を通して振ってみせてくれるのだが、その頓着のない動きにサリの心臓が厭な軋みを立てる。
(これって、もしかして国宝級のドレスなのではないかしら)
サリの記憶が確かならば、アーベル侯爵家夫人の生家はペール伯爵家だ。そして先々代の伯爵夫人は、この国の王女殿下であった筈だ。大恋愛の末に伯爵家へ降嫁されたというのは有名な話だ。
つまり、今、サリに貸し出されようとしているのは、王女殿下が降嫁された時に着用していたウェディングドレスのお下がりのお下がり。
どっしりと厚い絹に施された、どこに針目があるのかも分からない複雑な刺繍はよく見れば王家の紋章がそれとはわかりにくいように簡略意匠化されたものがそこかしこに目立たぬように縫い取られていた。
多分これは王女殿下個人の紋だったのだろう。
その刺繍に散りばめられた小さなビジューはホワイトサファイアだ。水晶や硝子のそれとは別格の光の屈折率に目が眩みそうだった。
そこにふんわりと重ねられている繊細なアンティークのレースは、デコルテの辺りのものが一部剥ぎ取られているが、代わりに絹で丁寧にかがられていた。
その場凌ぎの補修をするよりも、実際に使う時に最もふさわしいものをあしらう為の処置だろう。
レースの保管は難しい。ドレスの形になっていれば余計に難しくなる。
敢えての継ぎ当てだ。
「でね、この開いちゃって間抜けな場所には、このレースとこの宝石をあしらうのはどうかしら。あぁ、でもここにシーラン伯爵家の家紋を刺繍で入れて貰うのもいいわね。ウチの子に任せて貰っても3カ月あれば縫い取れると思うわ。勿論私もひと針くらいは刺させて貰えると思うの。その、許しが出ればだけれど」
恥ずかしそうに「実は私、刺繍が壊滅的に下手なのよ。内緒ね?」と告白された。
母より年上の筈なのに、なんならクラスメイト達より段違いで可愛かった。
「あの、このドレスを、私が着ても、宜しいのでしょうか」
不安と疑心で訊ねる声がちいさくなる。
「えぇ、勿論よ。フリッツから話を貰えて、とても嬉しかったわ。私はちゃんと着れなかったし娘に恵まれなかったから『あぁ、このまま持っているだけになるのかしら』って思っていたの。だから貴女に着て貰えるのが本当に嬉しいの。ありがとう、サリさん」
その言葉に嘘は感じられなかった。
サリを見つめる目は優しい。そしてこの場にドレスを運んできた侍女を含めて皆浮かれているようにも感じられた。空気が温かいのだ。
生粋の貴族は腹芸というものに長けていて感情を偽る事など造作もないという。けれど、今サリの前に広げられたドレスは刺繍ひとつとっても素晴らしいのひと言である。このレベルでの仕事ができる職人はほんの一握りしかいない。それほど見事なものだった。当然生地も仕立ても最高級である。織物に対する人の皮脂によるダメージを考えれば、こんなに素晴らしいヴィンテージドレスをサリの前に広げて見せてくれるだけでもよほど好意がなければ無理だろう。
「それと婚姻式に身に着けるパリュールなのだけれど、シーラン家はフリッツが初代だからまだ全く何もないでしょう? よかったらアーベル家のモノを使ってはどうかしらと思って。それともお家の方で用意しているかしら。ヴォーン商会の宝飾品部門はとても素晴らしい職人が集まっているから、余り口出ししない方がいいかしらとは思うのだけれど、このドレスにピッタリだと思うの」
パカリと開かれた天鵞絨張りの宝石箱に収められていたネックレスやイヤリングに使っている宝石の石の大きさとそのクラリティに、サリは眩暈がした。
金細工の繊細さは勿論、そこに嵌められた宝石の見事さに目が釘付けになる。
矢車草の鮮やかな藍の色そのもののブルーサファイア。ドレスの裾に散りばめられているホワイトサファイアとの相性もよい。
更に純潔と貞節を示すサムシングブルーやサムシングオールドとサムシングボローも兼ねるのだろう。
「指輪だけは、これに合わせた新しい物を揃えるのがアーベル侯爵家の習わしなの」
つまりシーラン伯爵家へ嫁入りするサリではあるが、きちんとアーベル侯爵家の一員としても認める、と言葉にせずとも夫人は伝えてくれているのだとサリは瞬時に理解した。
「ぱっと見でサイズに問題はなさそうだけれど、一度全部合わせて試着しましょうよ。ついでに採寸をしてしまったら良いと思うの」
さきほどの会話で滲ませたものなど微塵も感じさせない明るさで夫人はそう宣言すると、部屋の隅で会話を聞くともなしに腕を組んで目を閉じていたフリッツをあっさりとミモザの間から追い出した。
そうしておいて、夫人は表情を引き締めるとサリに向かって頭を下げた。
「お、奥様! お顔をお上げください」
慌てたサリに、夫人は少し困ったような笑顔を向けた。
「今だけは、実家ペール伯爵家の人間として、ヴォーン商会のサリ・ヴォーン嬢へ頭を下げさせて欲しいの」
夫人が切なる様子でサリに縋る。
「ペール領が今でも豊かでいられるのは、ヴォーン商会の先代会長が、我が領の金が採れなくなった鉱山から代わりに出てくるようになった厄介モノでしかなかった粘土状の鉱物、絹雲母の使い方を一緒に考えて下さったからです」
絹雲母はまるで金のような煌きを持つ鉱石である。だが金とは違い細粒であり簡単に粉々になる。それもどこまでも小さく細やかな粒になる。
粉になった絹雲母を水で練るとそれはあまりに滑らかで、つい手の指でその感触を確かめたところ、その指先の色が美しい透明感のある白い肌となったことから、今では貴婦人の肌を美しく魅せる為には欠かせないファンデーションの原材料として金にも劣らない価格で取引されるようになった。
「そして、このアーベル領にある小さな村に特産品を作り出して下さったことも感謝を。まさか畑から幾らでも出てくる臭い石が実は茸で、そこから香水が作れるなどとは思いもしなかったわ」
どんな肥料をやっても作付けに対して収穫量が上がらない地区があった。
耕しても耕しても何故か石コロが出てくるその土地に疑問を持ったエレナ夫人は実家のペール伯爵家で相談に乗ってくれた実績のあるヴォーン商会を頼った。
そうして実は石コロだと思ったそれはこの地方特有の茸の一種で、独特の香りを持つそれをほんの少量足すことで、どんな花の香りもより蠱惑的な不思議と人を惹きつける香りにできることを発見したのだ。
以来、その村では畑でその茸を生産・出荷するようになった。
「普通に作物作るとできるだけだがよぅ」と村人は笑っている。
ふんわりと、年齢を感じさせない柔らかな笑みを浮かべて、エレナ夫人がサリの手を取った。
「別の家の当主となってしまったあの子に教える事は契約違反になってしまうとはいえ……ヴォーン家との繋がりを教えることができていれば、こんなことにはならなかったのに。ごめんなさいね。でも、あの子は融通は利かないし頑固で扱いにくい子だけれど、真面目よ。真面目すぎて一度『こうだ』と思い込むとなかなか情報が書き換えられないけれど、だからこそ二心があるなどと考えなくてもいいから上手に手の平の上で転がせる夫になると思うの。サリさんなら、フリッツの欠点を美点とすることが可能だと思うわ」
思わずサリの口がぽかんと開く。
ゆるゆると、エレナ夫人の言葉の意味がサリの頭の中に染みていくと、ゆっくりサリの頬が赤く染まっていく。
「ふふふ。人の縁って不思議ね。私、あなたがフリッツのお嫁さんで良かったわ」
エレナ夫人は、ぽんぽんとサリの手を愛情を籠めてたたいてから手を離すと、少し大げさに声を張った。
「これなのだけれど、どうかしら。私の祖母から受け継いだウェディングドレスなの。母も着たのよ。私の婚姻式に使って欲しいと言われたのだけど、身長が違い過ぎてしまって。胸元に使っていたレースを一部だけ貰って私の式で着た衣装に使ってしまったのだけれど丁寧に解いて始末をし直してあるし、それ以外はまだまだ十分綺麗でしょ。お手入れも侯爵家の使用人たちが心を込めてしてくれているわ。年代物ではあるのだけれどまだ着れると思うのだけど、どうかしら」
サリの目の前にあるのは、これまでサリが見た中でも別格に美しく緻密な刺繍が全面に施された美しいドレスだった。
但しデコルテを縁取るように縫い付けれているレースが一部外されて代わりに絹で縫い目が解けないように処理がされている。
ぱたぱたと胸元から袖へと手を通して振ってみせてくれるのだが、その頓着のない動きにサリの心臓が厭な軋みを立てる。
(これって、もしかして国宝級のドレスなのではないかしら)
サリの記憶が確かならば、アーベル侯爵家夫人の生家はペール伯爵家だ。そして先々代の伯爵夫人は、この国の王女殿下であった筈だ。大恋愛の末に伯爵家へ降嫁されたというのは有名な話だ。
つまり、今、サリに貸し出されようとしているのは、王女殿下が降嫁された時に着用していたウェディングドレスのお下がりのお下がり。
どっしりと厚い絹に施された、どこに針目があるのかも分からない複雑な刺繍はよく見れば王家の紋章がそれとはわかりにくいように簡略意匠化されたものがそこかしこに目立たぬように縫い取られていた。
多分これは王女殿下個人の紋だったのだろう。
その刺繍に散りばめられた小さなビジューはホワイトサファイアだ。水晶や硝子のそれとは別格の光の屈折率に目が眩みそうだった。
そこにふんわりと重ねられている繊細なアンティークのレースは、デコルテの辺りのものが一部剥ぎ取られているが、代わりに絹で丁寧にかがられていた。
その場凌ぎの補修をするよりも、実際に使う時に最もふさわしいものをあしらう為の処置だろう。
レースの保管は難しい。ドレスの形になっていれば余計に難しくなる。
敢えての継ぎ当てだ。
「でね、この開いちゃって間抜けな場所には、このレースとこの宝石をあしらうのはどうかしら。あぁ、でもここにシーラン伯爵家の家紋を刺繍で入れて貰うのもいいわね。ウチの子に任せて貰っても3カ月あれば縫い取れると思うわ。勿論私もひと針くらいは刺させて貰えると思うの。その、許しが出ればだけれど」
恥ずかしそうに「実は私、刺繍が壊滅的に下手なのよ。内緒ね?」と告白された。
母より年上の筈なのに、なんならクラスメイト達より段違いで可愛かった。
「あの、このドレスを、私が着ても、宜しいのでしょうか」
不安と疑心で訊ねる声がちいさくなる。
「えぇ、勿論よ。フリッツから話を貰えて、とても嬉しかったわ。私はちゃんと着れなかったし娘に恵まれなかったから『あぁ、このまま持っているだけになるのかしら』って思っていたの。だから貴女に着て貰えるのが本当に嬉しいの。ありがとう、サリさん」
その言葉に嘘は感じられなかった。
サリを見つめる目は優しい。そしてこの場にドレスを運んできた侍女を含めて皆浮かれているようにも感じられた。空気が温かいのだ。
生粋の貴族は腹芸というものに長けていて感情を偽る事など造作もないという。けれど、今サリの前に広げられたドレスは刺繍ひとつとっても素晴らしいのひと言である。このレベルでの仕事ができる職人はほんの一握りしかいない。それほど見事なものだった。当然生地も仕立ても最高級である。織物に対する人の皮脂によるダメージを考えれば、こんなに素晴らしいヴィンテージドレスをサリの前に広げて見せてくれるだけでもよほど好意がなければ無理だろう。
「それと婚姻式に身に着けるパリュールなのだけれど、シーラン家はフリッツが初代だからまだ全く何もないでしょう? よかったらアーベル家のモノを使ってはどうかしらと思って。それともお家の方で用意しているかしら。ヴォーン商会の宝飾品部門はとても素晴らしい職人が集まっているから、余り口出ししない方がいいかしらとは思うのだけれど、このドレスにピッタリだと思うの」
パカリと開かれた天鵞絨張りの宝石箱に収められていたネックレスやイヤリングに使っている宝石の石の大きさとそのクラリティに、サリは眩暈がした。
金細工の繊細さは勿論、そこに嵌められた宝石の見事さに目が釘付けになる。
矢車草の鮮やかな藍の色そのもののブルーサファイア。ドレスの裾に散りばめられているホワイトサファイアとの相性もよい。
更に純潔と貞節を示すサムシングブルーやサムシングオールドとサムシングボローも兼ねるのだろう。
「指輪だけは、これに合わせた新しい物を揃えるのがアーベル侯爵家の習わしなの」
つまりシーラン伯爵家へ嫁入りするサリではあるが、きちんとアーベル侯爵家の一員としても認める、と言葉にせずとも夫人は伝えてくれているのだとサリは瞬時に理解した。
「ぱっと見でサイズに問題はなさそうだけれど、一度全部合わせて試着しましょうよ。ついでに採寸をしてしまったら良いと思うの」
さきほどの会話で滲ませたものなど微塵も感じさせない明るさで夫人はそう宣言すると、部屋の隅で会話を聞くともなしに腕を組んで目を閉じていたフリッツをあっさりとミモザの間から追い出した。
そうしておいて、夫人は表情を引き締めるとサリに向かって頭を下げた。
「お、奥様! お顔をお上げください」
慌てたサリに、夫人は少し困ったような笑顔を向けた。
「今だけは、実家ペール伯爵家の人間として、ヴォーン商会のサリ・ヴォーン嬢へ頭を下げさせて欲しいの」
夫人が切なる様子でサリに縋る。
「ペール領が今でも豊かでいられるのは、ヴォーン商会の先代会長が、我が領の金が採れなくなった鉱山から代わりに出てくるようになった厄介モノでしかなかった粘土状の鉱物、絹雲母の使い方を一緒に考えて下さったからです」
絹雲母はまるで金のような煌きを持つ鉱石である。だが金とは違い細粒であり簡単に粉々になる。それもどこまでも小さく細やかな粒になる。
粉になった絹雲母を水で練るとそれはあまりに滑らかで、つい手の指でその感触を確かめたところ、その指先の色が美しい透明感のある白い肌となったことから、今では貴婦人の肌を美しく魅せる為には欠かせないファンデーションの原材料として金にも劣らない価格で取引されるようになった。
「そして、このアーベル領にある小さな村に特産品を作り出して下さったことも感謝を。まさか畑から幾らでも出てくる臭い石が実は茸で、そこから香水が作れるなどとは思いもしなかったわ」
どんな肥料をやっても作付けに対して収穫量が上がらない地区があった。
耕しても耕しても何故か石コロが出てくるその土地に疑問を持ったエレナ夫人は実家のペール伯爵家で相談に乗ってくれた実績のあるヴォーン商会を頼った。
そうして実は石コロだと思ったそれはこの地方特有の茸の一種で、独特の香りを持つそれをほんの少量足すことで、どんな花の香りもより蠱惑的な不思議と人を惹きつける香りにできることを発見したのだ。
以来、その村では畑でその茸を生産・出荷するようになった。
「普通に作物作るとできるだけだがよぅ」と村人は笑っている。
ふんわりと、年齢を感じさせない柔らかな笑みを浮かべて、エレナ夫人がサリの手を取った。
「別の家の当主となってしまったあの子に教える事は契約違反になってしまうとはいえ……ヴォーン家との繋がりを教えることができていれば、こんなことにはならなかったのに。ごめんなさいね。でも、あの子は融通は利かないし頑固で扱いにくい子だけれど、真面目よ。真面目すぎて一度『こうだ』と思い込むとなかなか情報が書き換えられないけれど、だからこそ二心があるなどと考えなくてもいいから上手に手の平の上で転がせる夫になると思うの。サリさんなら、フリッツの欠点を美点とすることが可能だと思うわ」
思わずサリの口がぽかんと開く。
ゆるゆると、エレナ夫人の言葉の意味がサリの頭の中に染みていくと、ゆっくりサリの頬が赤く染まっていく。
「ふふふ。人の縁って不思議ね。私、あなたがフリッツのお嫁さんで良かったわ」
エレナ夫人は、ぽんぽんとサリの手を愛情を籠めてたたいてから手を離すと、少し大げさに声を張った。
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