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8.これが『ざまぁ』って奴なのね♡やだ快感
しおりを挟む「アンジュはすばらしい女性。聖女だ。変な言いがかりをつけるなら、修道院などといわずに、即刻首を刎ねてもいいんだぞ?」
王太子殿下のただならぬ言葉に、周囲が騒めいた。
そりゃそうだ。こんな場所で、婚約者のいる自分が、婚約者以外とあんなことやそんなことをしておきながら、その婚約者を断罪して婚約破棄を突きつけ、修道院送りにすることを宣言したなんて、素直に認められる訳がない。
王太子殿下に不都合な事実だらけで、お腹いっぱいだ。テンプレ罪状多すぎんだろ、おい。
「いいえ。王太子殿下に対して思うことなど何もありません。ただ、アンジュ様の着けている髪飾りは魔術師団長子息イース・コット様の瞳の御色で、イヤリングは騎士団長ご嫡男バルト・ブミン様の瞳の御色、バングルは、フラン・ブロール養護教諭からの贈り物と同じものですわね。先日、ブロール養護教諭が、とても嬉しそうにお店で受け取られていく時に同じお店におりましたの。『愛しい方への結婚を申し入れるための贈り物なのです』と恥ずかしそうにされてましたわ。瞳の御色の石を入れられたそうですわ。あら、アンジュ様のものも、教諭の瞳の御色と同じ御色の石なのですね? そして……」
「もういい! そうだ、確かに首飾りは私がアンジュにプレゼントしたものだ。この卒業パーティに聖女として出席するに相応しい一品を、その著しい働きにより下賜した」
まるで商売女への付け届けのような言い草に、アンジュが瞬間的に反応した。
「そんな! 殿下が、私への愛の証だと仰って、これを贈ってくださったのではありませんか!!」
「おい、簡単に白状しすぎだろ」
思わず素になってツッコんでしまった。いけない。今の私は公爵令嬢、光の聖女ですのに。いや、すでに婚約破棄イベ終わってるし、元って事になるのかしら。わからん。まぁどっちでもいいけど。
誰からも指摘されないので不審に思って見回せば、誰もが私の言葉になど気に掛けていなかった。
それどころじゃなかったらしい。
後ろから刺された形になった王太子殿下の顔色は、真っ青だった。
婚約者持ちが、婚約者以外に愛を囁くのも、その愛の証といって自分の瞳の色の石が入った、豪華な首飾りを贈るのも、全部アウトすぎる。
だよねー。うんうん、よかったー。ちゃんとその辺の倫理観はふつーだった。
18禁のゲームがベースだけど、所詮は私の夢ってことね。
でも、ここで手を抜いたりしないんだぜ、私は。くっくっく。
やる時は完全に仕留める。それがゲーマーとしての、矜持だ。
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