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7.だってここは乙女ゲームの世界だもの(18禁の)
しおりを挟む「なっ、なにを。……し、しつれいですわっ!」
「何がどのように失礼でしたでしょうか? お教えいただけますか、性女さま」
この学園には、いろんな場所に死角がある。
たとえば、中庭の植え込みの中。なぜか葉の生い茂った背の高い木に囲まれた、ぽっかりとあいた空間が中庭の結構な真ん中にある。
ただし、一面だけ木の位置が少しだけズレていてそこから入れるのだ。
そして外からそのズレはわからなくて、中は見えないことになっている。
その中で昼寝をしていた王太子殿下は、転んで植木の中へ突っ込んできたヒロインといつしか懇ろになり、皆が昼食を食べている目の前で、直球でねんねんゴロゴロあんなことやこんなことをして貰うのだ。
下町の聖女様は、下町にいた時と同じ気安さで、王太子殿下の、優秀過ぎる婚約者(私)を持ったことでささくれたハートと身体を全力で癒してあげるのだ。即物的に。
たとえば、演武場の隅にある、シャワールームの一番奥。鍵が壊れて掛かったままになっている筈の個室で。
たとえば、魔法演習場に隣接している、魔道具置き場にある大型ロッカールームの中で。
たとえば、養護教室のカーテンで区切られたベッドの上や、養護教諭だけが使えるどっしりとした机の下で。
音楽室の隣の空き教室や、渡り廊下にある塀と植木の隙間、鍵が掛かっている筈の屋上。
ありとあらゆる場所でその秘密の性なる魔法(物理)は行われ、みんな(男子生徒のみ)がそれによって癒される。
時には暴力的に始まるそれも、ヒロインの優しさにより、いつしか幸せなそれに変わるのだ。
素晴らしき下町の聖女アンジュ。
その気安さで、すべての男性陣を癒す。
正しい18禁乙女ゲームのヒロインである。
でもね。「下町の聖女アンジュは自分だけのもの」だと思っている攻略対象者としては、どうなのかしらね?
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