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6.せーのでレッツ・ウソ泣きよ★
しおりを挟む「わ、わかったならいい。では、いますぐ修道院へ」
「お待ちください! いま少しだけお時間を戴きたいのです。元婚約者であり、グラン王国の忠臣として、殿下に奏上したき言がございます。どうか、どうか哀れな女の、最後の言葉としてお聞き届けいただけないでしょうか」
ツーっと、涙を流してみた。
うん、噓泣きは上手なんだ。
簡単よ? 取り落としたスチルをもう二度と手に入れることは出来ないと知った、これの前の前に嵌ってたソシャゲの、推しの期間限定イベントスチル(要課金)について思い出せばいいんだもの。
あの時は若くてお金なかったわね。新卒なんてほんと金ない。学生時代の方がずっと課金できてたわ。ふう。
推しがチョコまみれになって微笑んでるだけの絵だって知ってたけど。
はぁ。今でも欲しいわ。あぁ、切ない。
さめざめと泣きながら訴える私に、王太子殿下は少し怯みながら許可をくれた。
ヨッシャ!
この時、ようやく傍まできたヒロインが王太子殿下の腕に巻き付いたけど、もう遅いんだぜ?
「確かに、ひろい……こほん、下町の聖女と名高いだけあって、アンジュ様の性なる思いは崇高ですらあります。その性なる御業で皆様を幸せにしていらっしゃることは、わたくしにはできませんが、素晴らしいことなのだろうと思っておりました」
ふふん。音だけなら一緒だもんね?
「ただ……やはりいくら崇高なる思いから生まれたものであったとしても、性的な行為は、不特定多数にばら撒くように、堂々と、アッチコッチで不特定多数の男性陣に無差別……いえ、顔面偏差値の高い方だけでしたわね。えぇっとそれでも多数の方へ行使されるのは、風紀を乱す行為ではないかと愚考いたしました。つい口うるさく、いえ、愚行ともいえる行為を冒してまで阻止を企てました。大変申し訳ございません」
私のいう”セイなる”とか”崇高なる”行為が、自分以外にも気軽に施されていたと気が付いた男性陣がソワソワしだした。
ソワソワしてる奴等は全員、身に覚えあるんだねぇ?(ゲス顔)
浮足立つよね。病気とか、気になるよねぇ。
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