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しおりを挟む「ふぅぅぅぅ」
息をゆっくりと吐き、気持ちを落ち着ける。
落ち着くんだ、富山晴翔。今回こそは必ず!
......このセリフも毎回言ってる気がするな。
早速憂鬱な気分になりながら、電車に揺られる。
今、俺は記念すべき50回目の面接会場に向かっている。...俺も努力はしたさ。既に合格した友達や、既に働いている先輩たちから助言を聞いて、相手の会社のことも沢山調べて行ったし、決して高望みはしなかった。
それなのに、49回も落ちるとか......。俺、もうダメなのかな。
手すりを強く握りしめため息を吐くと、突然体が強く揺さぶられるような感覚が俺を襲う。
な、何だ!?!?地震か!?!?
衝撃に耐えきれず座り込むと、目の前の景色が電車内から、煌びやかなホールに変わる。
「此処は......」
周りを見ると、此処がお城の中のような装飾が施された謁見場の様なところであり、周りには同じように電車内にいた人たちが70人ほど、そして壁際に立つ多くの兵士たち。そして、
「一体この人数は...」
驚いたような表情をして王座に座る王様のような男。
「何だ、此処は!?」
「さっきまで私たち電車にいたよね!?」
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏____」
次第に放心状態から戻ったのか不安の声が次々に上がる。
これってもしかして謂わゆる異世界転移ってやつか?
「落ち着きたまえ、勇者達!」
王様が思い出したかのように声を上げる。
その声は謁見場に響き渡り、皆一様に黙り込んだ。
物凄い威厳を感じるな...。
「我はクラハート王国現国王、ジャヌル=クラハートだ。貴殿達にはこの世界を救ってもらいたい」
「......はぁ!?」
誰かが驚愕の声を上げる。
世界を救うって言ったって、此処には老人に、妊婦。小学生ぐらいの子供に赤ん坊までいるんだぞ?
「どういう事ですか!?元の場所に返してください!!」
女性が抗議の声を上げる。
そうだそうだ!今日は面接なんだぞ!!
「元の世界に戻るには、魔王を倒し。創生の女神フィフェアニシア様に祈らなければいけない」
「そんな...」
女性が崩れ落ちると、隣にいた高校生の少年が皆の前へ出る。
「魔王を倒せと言われても、俺たちはただの一般人です!そんな力はありません!」
「いいや、貴殿達にはこの世界へ来るときに創生の女神からスキルが与えられているはずだ」
スキル?ますますrpgっぽいな。
「試しにステータスと唱えてみるといい」
唱える?
「ス、ステータス」
#####
名前 富山晴翔
年齢 21
種族 人間
職業
種族lv 1
HP 100
MP 50
筋力 12
知力 10
物防 11
魔防 13
俊敏 10
幸運 3
スキル 【売買 lv1】
称号 【勇者】 【異世界人】
#####
おぉ、凄いな!!
俺のスキルは...【売買 lv1】?どういう物なんだ?
試しにタップしてみると、さらに画面が浮かび上がる。
#####
【売買 lv1】
物の売買ができる。lvが上がると買える品が増える。
#####
う~ん、微妙なスキルだな。
「確認はできたか。...残念な事だが、スキルが強力である者以外の勇者達はこの城を出ていってもらう」
............は!?!?
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