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しおりを挟むこの城を出て行ってもらうって、無理矢理呼んだのにか!?
「なっ!?どうしてですか!!」
「過去の勇者召喚では、多くても30人程度だった。それが人数が多く、老人。妊婦、子供まで混じっている。悪いが我等は力のない無能を養うつもりはない」
無能って、言い過ぎだろ。
「だとしても、こんな未知の世界で追い出すなんて!!」
「城から出る者には3ヶ月は生きられるほどの金を渡そう。その間に城下で仕事を探せば良い」
こっちの世界でも就活するのか......。
3ヶ月あればなんとかなるか?だが、此処は異世界だぞ。常識も違うだろうってのに。
「貴殿達のスキルは既に【鑑定】で調べさせてもらった。城を出る者の名を今から呼ぶ」
そう言うと、王様は次々に名前を呼ぶ。
その数約40名ほど。そして最後に_____。
「ハルト=トヤマ。以上だ」
.........やっぱりか。
なんとなくわかってはいたが、追い出されるという事を改めて突きつけられ、目の前が真っ暗になった。
どうしよう、俺。
「皆さん、俺たちが何とかいち早く魔王を倒します!それまで何とか生きてください!」
女性を支えていた高校生がそう俺たちに声をかける。
生きろって言ったって、何十年もかかる可能性があるんだぞ?そうなったら一部の人は寿命で死んでいるかもしれないのに...。
「近衛兵、連れていけ」
そう言うと、壁際に立っていた兵士達が名前を呼ばれた者達を謁見場の外に連れて行く。
「着いてこい」
「っはい...」
前後を兵士に挟まれながら、城の中を歩く。窓の外には中世のような街並みが広がっていた。
「これが金だ。中には30万コル入っている」
そう言って皮袋を渡される。中を見ると小さな金色のコインが三枚入っていた。
これは、俗に言う金貨ってやつか?
「仕事を探すには時間がかかる。それまでは冒険者になっていればいいだろう。冒険者ギルドはこの大通りを真っ直ぐ行った大きい建物だ。見ればすぐにわかる」
「あ、ありがとうございます...」
「気にするな」
兵士達はそう言い残して城の中へ戻っていく。
冒険者ギルド。......行ってみるか。
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