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秘密のこと
しおりを挟む「あぁ、旦那様……会いたかったです」
「気分はどうだいアンドレ、今日は陽が強く射したから気が気ではなかったよ」
「ありがとう、でも平気。旦那様が分厚いカーテンを誂えてくれたから」
色白の美少年がそこにいた、少女と見紛うほど華奢で美しい顔をしていた。彼は魔族との混血で陽を嫌う。
「さあ、いつものように私の血を飲んで」
「ふふ、ありがとう」
彼の赤い唇がジョルジュに吸い付く、ガブリと噛めば言いようのない甘い快感がジョルジュを襲う。痛みよりも噛まれた快感の方が上を行くらしい。
「ごめんよ、キミのことをすっかり忘れて旅にでようだなんて」
「いいえ、こうして留まってくれたじゃないですか」
彼は唇を離してニコリと微笑む、血が滴った顎が妙に色っぽい。そして、再びジョルジュの腕を噛みつくのだ。
「あぁ、なんという快楽だろう……私はキミ無では生きられそうもないよ」
「嬉しいです、旦那様。あの女よりもですか?」
「あの女?……あぁクリステルの事か、済まないが彼女もまた必要な存在なんだよ。許しておくれ」
「そう……わかりました」
血を限界まで吸い上げれられ、淫楽に耽るジョルジュは精も出していないのにビクビクと震えた。まるで一晩中女を抱きしめていたような嬉しい気怠さだ。
「あぁ、旦那様……貴方を独り占めしたいよ」
赤い舌をペロリと出して眠りこけるジョルジュの唇を吸い上げた。
***
翌日、痺れるような気怠さを抱いて彼が離れから出て来た。
顔は恍惚としていたあまりにだらしない、そこにクリステルが現れた。彼はギョッとして、目を泳がせる。こんな早い時間に彼女がいたことに動揺を隠せない。
「や、やあ、眠れなかったのかい?籠城は御終いかな」
「ジョル……」
彼女は眠れない一夜を過ごして少しばかり気が立っていた。昨夜のことが脳裏に蘇ってきて苛立つ。あの美少年との関係を知りたいと切に願った。
「離れに何がありますの?いったい何を飼っていらっしゃるのかしら」
「飼っているだと!?失礼な!彼は素晴らしい子なんだ!」
「素晴らしい子ですって?」
言ってしまってから「しまった」と口を閉ざしたが後の祭りである。とうとう彼は降参して、隠していた事を吐露し始めた。
「彼はアンドレは……」
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