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独立篇
焼き栗とキノコ汁
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レオに下賜された領地は山だらけ、その分人も寄らないので豊だと思われた。
入山してすぐに山栗を拾う、バケツに水を張りポイポイ投げ入れる。
「なんで水に入れるの?」
「虫食いの選別だよ、虫に食われた栗は軽くなって浮かぶんだ」
「なるほど、それにしても小さいな」
山栗は実は小さいが香りが濃く甘くて美味いと言えば、みんな必死に集める。
「芋栗南京蛸小豆だっけ?女子が好きな食べ物」
「え?なに?」
「いや、なんでもない」
前世家族は全員甘い物が好きだったなとレオは懐かしみ実を拾う。
最初は恐々とブーツで踏んでトングの扱いに四苦八苦してた女子達だが慣れたら凄い。
なんと一番拾ったのはティリル。
平地まで一旦下りて焚火の準備をする。
予め用意した一斗缶に切れ目を入れた栗10粒ほど詰め、集めた落ち葉に中央に置いた。
「フラ、火を着けてくれる?」
「うん?わかったぁ」
焚火まわりでしばし休憩をとった。
しばらくするとバンバンバチバチと跳ねる音がして香ばしい香りがのぼる。
「うん、うまくいったな。栗は跳ねるから厄介」
蓋を開けると焼けた栗が転がっている、ぱっくり開いた箇所が笑っているように見えた。
レオは冷めるまで待てと言ったが彼女らは軍手を駆使して食べてしまう。
「ちょっとの間に逞しくなったね・・・」
美味しい美味しいとペロリ平らげ初めての栗拾いに満足のようだ。
フラは慣れてそうなのに、やはり箱入りのお嬢。
焚火はすぐに砂をかけて消火した、念のため水もかける周辺も満遍なく水をかけて歩く。
山火事は悲惨だから丁寧に。
面倒だとフラが大雨の如く水を撒いたのでティリルに怒られた。
「まあまあ、これで火事の危険はないから」
「限度というものがありますわ!」
ティルは時々怖いとバリラが肩を竦める。
フラは半泣きで全員に風魔法をかけて謝った。
下山したらグラッセとケーキを作るからとレオは宥める。
***
「どの辺りまで登るの?」
「そりゃ猪豚に会うまでかな」
猪豚と言ってもブラックホグという魔物だ、ヤツラらのテリトリーに侵入すれば現れるとレオは踏んでいた。
道中は目についたキノコや自然薯、サルナシを収穫した。
「なかなかでないねぇ?」
「そりゃ夜行性だからな、夜が勝負だよ」
「一晩泊まりなんですの!?」
言ってなかった?と嘯くレオは女子から猛抗議を受ける。
ダンジョンに比べれば天国だろうにとレオは言うのだが「そういうことじゃない!」とバリラが小突く。
「わかった悪かった、美味しい夕飯作るから勘弁して!」
簡単にできて美味い物を作るとレオは宣言した。
「まぁスープ作ってこれをぶっこむだけなんだが」
作り置きのガラスープに火を入れる、とりたてキノコからは旨味が良くでて出汁が要らないほど。
沸騰したそこへ白い塊を千切っていれた。
「白くてモチモチ、これなーに?」
「すいとんって言うんだ。温まるだろ?」
「うんまーい!くぅ・・・あったまるーおかわり!」
「素朴な味わいが良いですわね、優しい味です」
その晩、山中腹で美味しいキノコ汁の香が漂った。
入山してすぐに山栗を拾う、バケツに水を張りポイポイ投げ入れる。
「なんで水に入れるの?」
「虫食いの選別だよ、虫に食われた栗は軽くなって浮かぶんだ」
「なるほど、それにしても小さいな」
山栗は実は小さいが香りが濃く甘くて美味いと言えば、みんな必死に集める。
「芋栗南京蛸小豆だっけ?女子が好きな食べ物」
「え?なに?」
「いや、なんでもない」
前世家族は全員甘い物が好きだったなとレオは懐かしみ実を拾う。
最初は恐々とブーツで踏んでトングの扱いに四苦八苦してた女子達だが慣れたら凄い。
なんと一番拾ったのはティリル。
平地まで一旦下りて焚火の準備をする。
予め用意した一斗缶に切れ目を入れた栗10粒ほど詰め、集めた落ち葉に中央に置いた。
「フラ、火を着けてくれる?」
「うん?わかったぁ」
焚火まわりでしばし休憩をとった。
しばらくするとバンバンバチバチと跳ねる音がして香ばしい香りがのぼる。
「うん、うまくいったな。栗は跳ねるから厄介」
蓋を開けると焼けた栗が転がっている、ぱっくり開いた箇所が笑っているように見えた。
レオは冷めるまで待てと言ったが彼女らは軍手を駆使して食べてしまう。
「ちょっとの間に逞しくなったね・・・」
美味しい美味しいとペロリ平らげ初めての栗拾いに満足のようだ。
フラは慣れてそうなのに、やはり箱入りのお嬢。
焚火はすぐに砂をかけて消火した、念のため水もかける周辺も満遍なく水をかけて歩く。
山火事は悲惨だから丁寧に。
面倒だとフラが大雨の如く水を撒いたのでティリルに怒られた。
「まあまあ、これで火事の危険はないから」
「限度というものがありますわ!」
ティルは時々怖いとバリラが肩を竦める。
フラは半泣きで全員に風魔法をかけて謝った。
下山したらグラッセとケーキを作るからとレオは宥める。
***
「どの辺りまで登るの?」
「そりゃ猪豚に会うまでかな」
猪豚と言ってもブラックホグという魔物だ、ヤツラらのテリトリーに侵入すれば現れるとレオは踏んでいた。
道中は目についたキノコや自然薯、サルナシを収穫した。
「なかなかでないねぇ?」
「そりゃ夜行性だからな、夜が勝負だよ」
「一晩泊まりなんですの!?」
言ってなかった?と嘯くレオは女子から猛抗議を受ける。
ダンジョンに比べれば天国だろうにとレオは言うのだが「そういうことじゃない!」とバリラが小突く。
「わかった悪かった、美味しい夕飯作るから勘弁して!」
簡単にできて美味い物を作るとレオは宣言した。
「まぁスープ作ってこれをぶっこむだけなんだが」
作り置きのガラスープに火を入れる、とりたてキノコからは旨味が良くでて出汁が要らないほど。
沸騰したそこへ白い塊を千切っていれた。
「白くてモチモチ、これなーに?」
「すいとんって言うんだ。温まるだろ?」
「うんまーい!くぅ・・・あったまるーおかわり!」
「素朴な味わいが良いですわね、優しい味です」
その晩、山中腹で美味しいキノコ汁の香が漂った。
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