上 下
48 / 172
独立篇

お嬢様は猫の手を覚える2

しおりを挟む
翌日、バリラは早速料理特訓をはじめた。

他二人も参加したいと言うので、昼ご飯の材料と3人分の包丁を買いに出る。



「適当じゃダメなの?みんな同じ包丁に見えるよ」

「万能包丁を買うんだ、手に合うサイズを選ばないとダメだよ」



金物店で手に合う包丁探しに3人は真剣になる、じっくり店員の話を聞き選ぶ。



一方、銀の鱗紋が美しい切れ味よさそうな包丁がありレオは見惚れたが、値段を見て青くなる。

「プロ用は流石にお高い・・・」

「凄いでしょう?王都一の鍛冶屋が打ったんです。下手な剣より斬れますよ」

店員がニコニコ説明してくれる。



定食屋【木こりの家】のグーズリーも愛用者だと聞いた。

「あそこの店主は道具にこだわりそう」

近いうちに食事をしに行こうとレオは思う、本格カリーが気になるのだ。



あれからグーズリーと交流が続いている。

蕎麦屋風カレーを教えて以来、店主はルーの使い分けの研究に嵌っている。



***



3人は包丁の握り方を店員に習って早く料理したいと意気込む。

帰宅後はキッチンの棚から予備の俎板を探した、元貴族の家だけに道具はそれなり揃っている。



「うん、カビてるかと思ったけど熱湯殺菌すればイケる」

古びた戸棚は乾燥魔道具がついていた。





「包丁もたくさんありますわ、買わなくても良かったのでは?」

「だめ、プロ用はそれぞれ用途が違うんだ扱いが難しいから怪我するよ」

まぁ奥深いとティルが感心する、それほど小難しいことは言ってないのでレオはむず痒くなる。

元実家が散々だったので褒められる事が苦手なレオ。





「では昼ご飯の支度をする、先ずはこれを切って慣れてくれ」

サラダ用のキュウリとキャベツを並べ、ザクザクと4等分したキュウリとキャベツを少量わけた。

全員利き手は右なので「左手は猫の手」と教えた。





「きたぜ!必殺猫の手!」

「必殺!?奥義ですの?」

「ニャオー!」



「違う、食材を抑える指が怪我しない様に丸めるの!それが猫の手」

「そうか!防御技だったのか!」

「――」

レオはツッコミが追い付かないので放っておくことにした。





レオを手本だと言い、トントンとキュウリを薄く斜め切りした。

「なるべく薄めにね、いつも食べてるのを思い出して切ってみて」

「「「はーい」」」



ーーー



バリラのは一見綺麗だが繋がっている、フラは乱切り、ティルはブツ切り。

前途多難だとレオは遠い目をした。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

甘い婚約~王子様は婚約者を甘やかしたい~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:633pt お気に入り:387

鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,087pt お気に入り:160

異世界のんびり散歩旅

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,251pt お気に入り:745

甘い運命~極上パティシエの強引な誘惑~

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:7

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:689

処理中です...