公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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トラブルプランツ スタンピード篇

流刑と蝙蝠男

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その後、反旗を翻した猿族は残らず一網打尽にされて、無人島へ流刑となった。
港町へ運ばれる馬車の中で、ジャルバは同胞へ頭を下げていた。


「愚かな先導者で申し訳なかった、我らは世界を知らな過ぎたのだ」
だが、ジャルバを責める者はいなかった。


「我が主よ、辺境の地に住まう我らの街は貴方の功績で豊かになった。だれが責められようか」
最後まで抵抗に参加していた側近が声高に言った。


「しかし……内乱でたくさんの同胞を失った。家族を持つものもいただろう。俺の罪は重い」
「戦とはそういうもの、謀反を起こすことに反対しなかった我らに責める権利はありません」


「一蓮托生か、これでは死ぬに死ねぬではないか……」
「ジャルバ様!」

誰かが彼の名を叫ぶ、すると次々とジャルバの名を呼ぶ声が合唱のように馬車に轟いた。
ジャルバは感涙にむせび泣いた。



そこへ緊張感ゼロの声が水を注す。

「はいは~い、湿っぽい空気はやめましょう。どーもー、君らの仲間を屠ったモルティガです。報復なら甘んじて受けますよォ?命の保証はできませんがァ」

「……はっ、今さら牙を剥く気力などない」
「あらあら、ツマラナイ。まぁ、良いでしょう。老人と女子供がほとんどですからァ、手応えないでしょう」


黒尽くめの蝙蝠男を見た子猿たちが悲鳴をあげて、大人達に縋る。
「あれー、そんなに怖いですか?強面ではないですけど」


「はぁ、それでなんのようだ?監視なら勝手にやれ」
「はいはい、道すがら契約していただこうかと思いましてェ」


モルティガは丸めた羊皮紙をベロンと広げて説明に入った。

「契約とはなんだ?俺達はもう魔道具作りはしないぞ」
「いえいえ、作って貰うのはコレです」


彼は衣嚢から小さな包みを摘まんで、ジャルバへ渡した。

「これは?黒い粒のようだが……農作物か」
「さすが察しが早くて助かりますねェ、獅子王はそれを客人の為に大量に欲しいと申してます。美味しく育つにはいろいろ条件が御座いましてね!研究好きのあなたに是非とのこと」


そう言われたジャルバは羊皮紙に再度目通して目を見開いた。
「こんな……獅子王よ、あなたという人は……やっぱり阿呆だな。どうしようもない慈悲深い王だ」

ジャルバは男泣きして、契約書にサインをした。


「はい、どーも。これで成立しましたーァ!収穫が見込めるようになりましたらご連絡を、通信魔道具程度ならちゃちゃっと作れるでしょう?」

「あぁ……なるべく早めに収穫できるよう尽力しよう」

モルティガは契約書を確認して満足そうに笑うと、馬車から姿を消した。


「待ってますよ~甘い香りのアナナスをね!」






港町へ到着して、馬車から船へ乗り換えた猿一行は初めて海を見た者が多くその光景に感嘆する。
酔うものが多いが時折飛び跳ねるイルカに驚き、潮吹くクジラに慄きつつも船旅を楽しんだ。


青く光る海原に揺られること半日、流刑の地である無人島に到着する。
南の島はとても陽光が眩しくて暑い。

天気が良くて幸運だったと大熊の船乗りたちが豪快に笑い合った。


錨が下ろされると次々荷が下ろされる、積荷のほとんどが当面の食糧と生活雑貨だった。

「向こう半年分の食糧だ、計画的に食う事だ」
「あぁ、世話になった、ありがとう」


元大臣ジャルバが素直に礼を言ったことに驚愕する船乗りたち。
「あれはほんとうにジャルバか?」
帰りの船の中で船乗りたちが噂した。



「ジャルバ様ー!小屋があります!その周地に集落をつくりましょう!」
嬉々として報告に来た側近たちがジャルバを早く早くと背を押し、手を引いた。

小屋から少し離れた場所には畝が何本も盛られており、芽を出した野菜が点々と見える。
そして青々したキビ畑のその横を水路が流れているのを見てジャルバは苦笑いをする。


「無人島のはずじゃなかったか?獅子王め……ハハハッ」

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