公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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戦火の先に(覚醒)篇

救難要請

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珍しい帝国の特産物の加工品と乾燥させた山菜類を買いこみレオニードはホクホク顔で店を出た。魔法バック容量ギリギリまで買い物をして仲間を呆れさせる。

「お前……長持ちするからって買いすぎだぞ?他にも店はあんのに」
「そういうなよ、滅多に来られないんだからさ。美味しい干し肉も手に入れたんだぞ」
「ふん、美味しいご飯をたらふく食えるなら仕方ねぇな」

レオニードとバリラがゴチャゴチャ言い合っているとフラウットが慌てて乾物屋から出てきて「ティルとジェイラがいない!」と叫んだ。トイレじゃないかとレオニードは言ったが店員は貸していないと証言した。

あれほど注意したのにと彼は立腹して店先で待つことにした。だが、待てども戻ってくる気配はしない。
彼らは護衛の姿もないことから、共に行動しているのならばと少々油断をしていた。

20分ほど待ってみたが、いくらなんでもおかしいとバリラが顔色を悪くして店の周辺を警邏しはじめた。
「ど、どうしようレオ!どこにもいないよ!護衛騎士の姿も見当たらないんだ!」
「あぁ、俺も近所を見て周ったが3人の姿は確認できない。見かけた者すらいない、通りの屋台の人もだ。割と目立つと思うんだが……」

侍女姿のティルではあったが顔立ちが恐ろしく美しい、ジェイラだって見事なプロポーションをしていて往来の男の視線を釘付けるタイプだ。そもそも護衛はなにをしているんだと彼らは憤慨した。

「護衛か……そうだ!ずっと引っ掛かっていたことがわかったぞ!」
バリラが閃いたと大声で言いだした、レオニードは驚いてなにか手がかりかと問いただす。

「出発の時に車内でティルが正体をばらしただろ?なのに護衛が顔色ひとつ変えなかった、諌言の一言も発してない。帝国騎士としておかしいだろ?真っ先に城へ戻れと騒いだはずだ!」
バリラが一気に捲し立て言い終わると咳き込んでへたり込む、フラウットが落ち着いてと水を飲ませた。

「そうか、うっかりしていた。俺も旅先で浮かれてたようだ……なんて失態だ!俺達の首を並べても詫びにならない」
帝国の女皇帝を連れ出し、行方不明にさせてしまった大失態に侯爵の顔に戻ったレオニードはガクリと膝を着いた。
長年のこと冷戦状態だった両国が平和協定を結ぶまでに歩み寄ったところである。
いま正に城にて帝国側とガルディ王が協定について会談しており、腹の探り合いの最中なのだ。

「会わせる顔がねぇ……早く身柄を確保しないと大変なことになる」
彼は折れそうな心を叱咤して「ティル達を早急に連れ戻そう」と立ち上がる、彼女らも厳しい顔をして頷く。

「外交とかわかんないけど緊急事態だもん!なりふり構ってられない、獣王セレータ様もまだ滞在しているはずだよ応援要請をするよ、いいね?」
フラウットの提案に賛同する以外はないと二人は了承する。
「あぁ、もちろんだ。面目とかがなんて言ってられない協力を頼む!」

彼女は強く頷くと腕に嵌めていたリングに魔力を流しだした。
すると填めこまれていた魔石が淡く輝いてキィンと鳴りだす、救難信号のようなものだとフラウットは説明する。
さすが、魔道具開発に長けている獣王国らしいとレオニードとバリラは感心し腕輪に釘付けになった。

半時もしないうちに獣王国の屈強な騎士たちがレオニード達の元へ馳せ参じた。なんと彼らを率いていたのはギルドマスターのインドラであった。彼は獣王の護衛として滞在していたようだ。

「ようレオ、俺達を頼るなんざ余程のことと見たぜ。獣王セレータの命で馳せ参じた!なんでも言いな、なんたって大恩あるレオの為だからなガハハハハッ!」
なんとも頼りがいのある助っ人だろうとレオニードは感涙した、そして合流そうそうに裏路地に引っ込み事態を説明するのだった。

***

「なるほどな……思った以上の危機じゃないか、終戦したばかりだというのに再戦になっちまうぜ。そうさな女帝を攫うってことはそれなりに大物が手綱を引いてやがると思われるぜ」
油断ならないと、インドラは大柄な体を更に膨れさせて興奮気味に言った、そのせいで裏路の壁がミシリと言ってヒビが広がる。

「インドラ様!どうかティルを救い護ってください!狐族の娘フラウット・エルンヘル共に戦います!」
「おう、族長の嬢ちゃんが腕輪を共鳴させた同胞だな。よく知らせてくれた恩を返す機会を有難く思うぞ」
インドラはわしわしと彼女の小さな頭を撫でつけてニカッと笑った。もうなにも心配ないと伝えるように。

祖父ちゃん獣王の威光をぞんぶんに使わせて貰うぜ。我らの草を帝都中に放て!女帝ティリルの足取りを1時間以内に探すんだ、吉報を一番に持って来た野郎には褒章大金貨10枚だすぜ!」
「「「「応ッ!」」」」

なんとも太っ腹かつ豪快な指揮だとレオニード達は驚いた。
「ところで草って……隠密部隊を指したりするよな。そんな大勢を他国に連れて来れるものなの?」
至極もっともな疑問をインドラに投げたが、彼は不敵な笑みを見せるだけで手の内は晒す気がなさそうだ。

「ん?隠密行動といえば……蝙蝠男モルティガはなにをしてんだ?」
彼のことをすっかり失念していたレオニードだが、使いたい時に現れないヤツめと不満げに言うのだった。


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