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2年飛び入学ってなんですか?
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クッキーを作れと命令した口も乾かないその日の夕刻。
夕餉の席で我が姉デボラはとんでもない事を言い出した。
「……ですから、妹は2年飛ばして入学すべきですわ!」
なにを言ってるのかしら?
両親を見れば姉を親の仇のように睨んでいます。
「何を企んでいるのか知らぬが、2年飛びなど誰が許すと思っている?」
「そ、それは……学園長とか?」
その場にいた姉以外の全員が溜息を吐きます。無計画なんですね、まったく笑えない冗談だわ。
食べかけの肉を皿に落としちゃった、食欲が失せたわ。
私はメイドに下げるよう言うと早めのデザートを強請ります。
レモンソルベが爽やかに溶けて幸せが戻ったわ。
「ミラベルはとても賢いでしょう?だから早めに入学しても問題ないわ!」
「ほう、散々に邪魔をしておいて、どの口が言うのだ?教材を取り上げて破るそうじゃないか」
父の冷たい声に姉が口ごもります。
「そ、それは」
反論材料を失って姉は青い顔を項垂れて黙ったわ。
わけわからない申し出はこれで終わり!そう思ったのだけど。
「良いじゃないアナタ!ミラベルは可愛く賢いのは事実よ。これほどの逸材を2年も燻ぶらせておくなど宝の持ち腐れだわ!」
なんと母が姉の妄言に乗ってしまいましたよ。
「言い出したからには責任を取りなさい、フロラン殿下に口添えして貰えば可能かもしれないわ」
ええ、あの殿下とは関わりたくないのに!
母の助け舟に姉デボラは顔を輝かせた。そもそも、なぜ2年飛び入学など姉が望むのか理由がわからない。
勝手に盛り上がる二人に父までも賛同しだしたわ。
「うむ、そういうことならば仕方ない!ミラベルの明るい未来を摘むわけにいかぬからな」
なんで普段は険悪な仲なのに手を取り合うんですか?
「姉の奇病が感染したのかしら……」
溶けてしまったソルベを恨めしく見て溜息を吐いた。
***
1週間ほどして馬鹿と書いてフロラン殿下が屋敷へ来た。塩を撒きましょう。
「特別に入学テストを受けて満点だったらと厳しい条件付きで許可が下りたよ」
なんと!馬鹿王子が陛下と学園長に根回ししたようです。
王子は続けます。
「私としてもね優秀なミラベル嬢は王家に必要と考えていた所なんだ。うん。」
なにが「うん」ですか……。
王家に必要ってどういう意味?嫌な予感がする。
はっきりとは明言しない馬鹿王子だけど、ものすごく気持ち悪い笑顔を私に向けた。
吐き気が止まらない。
金髪をファッサーと手で掃ったり掻きあげてるけど、それカッコイイと思ってるの?
私が苦虫を噛んだような顔をしていたら、
「どうしたんだい?マイスイート、疲れたのなら部屋までエスコートしよう!」
腰に手を回そうと寄ってきたので元気いっぱい正拳突きの真似をして威嚇したわ。
慌てて避けた馬鹿王子。
チッ腹に一発ぶち込みたかったわ。
「この通り元気ですの、お気遣いなく~♪」
「そ、そのようだね。失礼した……コワイ」
母が可愛く甘えなさいと耳打ちしたが冗談じゃないわ!
夕餉の席で我が姉デボラはとんでもない事を言い出した。
「……ですから、妹は2年飛ばして入学すべきですわ!」
なにを言ってるのかしら?
両親を見れば姉を親の仇のように睨んでいます。
「何を企んでいるのか知らぬが、2年飛びなど誰が許すと思っている?」
「そ、それは……学園長とか?」
その場にいた姉以外の全員が溜息を吐きます。無計画なんですね、まったく笑えない冗談だわ。
食べかけの肉を皿に落としちゃった、食欲が失せたわ。
私はメイドに下げるよう言うと早めのデザートを強請ります。
レモンソルベが爽やかに溶けて幸せが戻ったわ。
「ミラベルはとても賢いでしょう?だから早めに入学しても問題ないわ!」
「ほう、散々に邪魔をしておいて、どの口が言うのだ?教材を取り上げて破るそうじゃないか」
父の冷たい声に姉が口ごもります。
「そ、それは」
反論材料を失って姉は青い顔を項垂れて黙ったわ。
わけわからない申し出はこれで終わり!そう思ったのだけど。
「良いじゃないアナタ!ミラベルは可愛く賢いのは事実よ。これほどの逸材を2年も燻ぶらせておくなど宝の持ち腐れだわ!」
なんと母が姉の妄言に乗ってしまいましたよ。
「言い出したからには責任を取りなさい、フロラン殿下に口添えして貰えば可能かもしれないわ」
ええ、あの殿下とは関わりたくないのに!
母の助け舟に姉デボラは顔を輝かせた。そもそも、なぜ2年飛び入学など姉が望むのか理由がわからない。
勝手に盛り上がる二人に父までも賛同しだしたわ。
「うむ、そういうことならば仕方ない!ミラベルの明るい未来を摘むわけにいかぬからな」
なんで普段は険悪な仲なのに手を取り合うんですか?
「姉の奇病が感染したのかしら……」
溶けてしまったソルベを恨めしく見て溜息を吐いた。
***
1週間ほどして馬鹿と書いてフロラン殿下が屋敷へ来た。塩を撒きましょう。
「特別に入学テストを受けて満点だったらと厳しい条件付きで許可が下りたよ」
なんと!馬鹿王子が陛下と学園長に根回ししたようです。
王子は続けます。
「私としてもね優秀なミラベル嬢は王家に必要と考えていた所なんだ。うん。」
なにが「うん」ですか……。
王家に必要ってどういう意味?嫌な予感がする。
はっきりとは明言しない馬鹿王子だけど、ものすごく気持ち悪い笑顔を私に向けた。
吐き気が止まらない。
金髪をファッサーと手で掃ったり掻きあげてるけど、それカッコイイと思ってるの?
私が苦虫を噛んだような顔をしていたら、
「どうしたんだい?マイスイート、疲れたのなら部屋までエスコートしよう!」
腰に手を回そうと寄ってきたので元気いっぱい正拳突きの真似をして威嚇したわ。
慌てて避けた馬鹿王子。
チッ腹に一発ぶち込みたかったわ。
「この通り元気ですの、お気遣いなく~♪」
「そ、そのようだね。失礼した……コワイ」
母が可愛く甘えなさいと耳打ちしたが冗談じゃないわ!
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