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新婚旅行
しおりを挟む「あぁライモンド様、夢のようです」
「美しいよベルナティ!私は果報者だよ」
彼等は身内だけの細やかな結婚式を行っていた、とはいえガルボリーノ伯爵家は顔が広い。縁戚だけでとんでもない客が押し寄せた。
祝福を受けた彼らは笑みを零し「ありがとう」と何度も礼を述べた。
「とても良い御式でした、ブーケトスは従妹の方が取られたようですね」
「ふふ、そうね。ありがとう」
今彼女は披露宴に出るために衣装を変えている所だ、やや崩れた御髪を侍女が丁寧に結い上げている。そこへ乱入するライモンドがやってきた。
「ベルナティ、まだかい?」
「あら、気が早いですわね、たった5分しか経っていませんわ」
「だって片時も離れたくないんだ!」
侵入者は早速と花嫁に口づける、「化粧が落ちてしまいます」と侍女に叱られるライモンドだ。
「まったくもう!お気持ちはわかりますが、いい加減に落ち着いてくださいませ」
「いや、済まない!ついな」
口紅がついてしまったライモンドは赤い唇でニカッと笑う。それを見たベルナティはツボにはまったのか大笑いした。
「ふふふ……嫌だわ、ライモンド様ったらフフフフフッ」
「そんなに笑わないでくれよぉ」
***
「新婚旅行は南の海の街でどうだろうか?」
「ええ、とても素敵ですね!楽しみです」
偶然にもブリジッタたちが向かう旅行先と被った、いったいどのようなトラブルが待ち構えているのか。そんな事になっているとは知らない彼らは旅支度に余念がない。とはいえ、落ちぶれた子爵家とは違って従者らがほとんど整えてくれた。
「では行って参ります、父上、母上!」
満面の笑みでベルナティを伴うライモンドは大きな声で宣う。
「ああ、行ってこい!ハネムーンベビーを期待しているぞ!」
「まあ、貴方!恥ずかしい事を……ごめんなさいねベルナティ」
「い、いいえ、大丈夫です、お義母様。行って参ります」
二頭立ての立派な馬車がガルボリーノ伯爵邸から出て行く、手を振るベルナティは微笑んで何度もお辞儀をした。
「ベル、早くこっちへ来ておくれ」
「まぁ、そう急かさないで…キャア!?」
ガシリと捕まえられたベルナティは熱い抱擁に混乱する、顔を真っ赤にする彼女にキスの雨が降る。
「もう!何をするのですか…あっ」
深いキスをされた彼女は何も考えられなくなった、至福の中に落ちて目を閉じた。遠くのほうで彼女の事を呼ぶ声がしたがそれはライモンドのものだ。
「ああ、ベル、愛しい人。やっと二人きりになれたね」
「ライ、ライモンド、愛しているわ」
痺れるような甘い口付けは永遠と続く、それは二つの街を超えても続いた。馬車が停止して馭者が戸を開けると唇を真っ赤にしたベルナティを見てギョッとした。
「あ、あの奥様、何か良くないもの召し上がりましたか?」
「い、いいえ別に……」
「なんでもないぞ!ちょっとばかりくっ付き虫が現れただけだ!」
「は、はあ?」
同じく唇が腫れあがっていたライモンドは「いやあ、困ったものだ!」と豪快に笑った。
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