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母の帰還
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ベネット嬢が門兵や屈強な護衛達をどう蹴散らしたのか?
彼女は傭兵を連れて突撃してきたんです。
まさか爆弾まで使うとは……。
お陰で我が家の玄関ホールは瓦礫と化しました。
デンゼル公爵は平謝りで、弁償と建築業者を手配されました。もちろん負傷者にも慰謝料と治療費も払っていただきましたよ。
「はぁ、このままではベネット様のせいで公爵は没落するんじゃないかしら?」
「……いい加減切るだろうね、温情だけで保護してたんだから」
兄様がベネット嬢を思い出したのか、遠い目をしてます。
またも話し合いは中途半端に終わりました。
ロードリック様の本音?らしいことは聞けましたが、信じたわけではないです。ここ重要です!
数年ものあいだ冷たい態度をとられて、心をズタズタにされてきたんです。
「はい、そうですか。なんていきませんわ。ないわーないない」
「そう単純にはいかんよな、俺だって嫌だ。女豹みたいだったヤツが猫撫で声で迫ってきたら逃げるね」
後日デンゼル様と御父様だけで協議した結果、婚約保留としたようです。
せめて白紙じゃないの?
外聞が悪いとかそういう理由なら面倒で仕方ありません。
「どうしてもロードリックくんが諦めないらいしくてな」
「私の気持ちはどうなるんですか?女は家を繋ぐ道具だから黙れと?」
私が黒い笑みで拳を作ったのを見たお父様は、逃げようとしましたが鳩尾にぶっこみました。
「おげぇえ!……容赦ない……ぐおぉお!ソルニエにそっくりだ!……この痛み悪くない!」
そういえばお母さまは訓練遠征から帰るころですね、お土産は熊かしら、大蛇かしら。
熊ならラグに、蛇なら鞣してベルトに。
「ふふ、楽しみ♪」
***
噂をしてから三日後のこと。
第2騎士団団長を務めてるお母様が帰宅しました。
「お疲れ様です!お母様!」ビシッ!
「うむ、良い挨拶です。鍛錬はしてましたか?」
「イエス!アイマムッ!」ビシッ!
厳しいですが挨拶の後はデレデレに甘やかしてくれます、抱きしめられて背骨がポキポキいうのが好きです。
「ソルニエ!おかえりー、私の女神!」
お父様がお母様にハグをしようと突進してきました。
しかしパーンという乾いた音が……。
「アンリオ!廊下を走るんじゃありません!」
「アイマム!」
抱きしめられなかったのにお父様は嬉しそうです、ビンタがたまらん?そうですか……。
ちなみにお兄様はどこかに避難していません。
「それにしてもなんですか、うちのホールはいつ戦場になったのです?瓦礫じゃねーか!滾るぞ!」
滾っちゃだめです、お母様。
ちなみに晩餐にならんだのは熊肉でした。
彼女は傭兵を連れて突撃してきたんです。
まさか爆弾まで使うとは……。
お陰で我が家の玄関ホールは瓦礫と化しました。
デンゼル公爵は平謝りで、弁償と建築業者を手配されました。もちろん負傷者にも慰謝料と治療費も払っていただきましたよ。
「はぁ、このままではベネット様のせいで公爵は没落するんじゃないかしら?」
「……いい加減切るだろうね、温情だけで保護してたんだから」
兄様がベネット嬢を思い出したのか、遠い目をしてます。
またも話し合いは中途半端に終わりました。
ロードリック様の本音?らしいことは聞けましたが、信じたわけではないです。ここ重要です!
数年ものあいだ冷たい態度をとられて、心をズタズタにされてきたんです。
「はい、そうですか。なんていきませんわ。ないわーないない」
「そう単純にはいかんよな、俺だって嫌だ。女豹みたいだったヤツが猫撫で声で迫ってきたら逃げるね」
後日デンゼル様と御父様だけで協議した結果、婚約保留としたようです。
せめて白紙じゃないの?
外聞が悪いとかそういう理由なら面倒で仕方ありません。
「どうしてもロードリックくんが諦めないらいしくてな」
「私の気持ちはどうなるんですか?女は家を繋ぐ道具だから黙れと?」
私が黒い笑みで拳を作ったのを見たお父様は、逃げようとしましたが鳩尾にぶっこみました。
「おげぇえ!……容赦ない……ぐおぉお!ソルニエにそっくりだ!……この痛み悪くない!」
そういえばお母さまは訓練遠征から帰るころですね、お土産は熊かしら、大蛇かしら。
熊ならラグに、蛇なら鞣してベルトに。
「ふふ、楽しみ♪」
***
噂をしてから三日後のこと。
第2騎士団団長を務めてるお母様が帰宅しました。
「お疲れ様です!お母様!」ビシッ!
「うむ、良い挨拶です。鍛錬はしてましたか?」
「イエス!アイマムッ!」ビシッ!
厳しいですが挨拶の後はデレデレに甘やかしてくれます、抱きしめられて背骨がポキポキいうのが好きです。
「ソルニエ!おかえりー、私の女神!」
お父様がお母様にハグをしようと突進してきました。
しかしパーンという乾いた音が……。
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「アイマム!」
抱きしめられなかったのにお父様は嬉しそうです、ビンタがたまらん?そうですか……。
ちなみにお兄様はどこかに避難していません。
「それにしてもなんですか、うちのホールはいつ戦場になったのです?瓦礫じゃねーか!滾るぞ!」
滾っちゃだめです、お母様。
ちなみに晩餐にならんだのは熊肉でした。
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