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最期
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「一体何回目の脱走ですか、いい加減にして頂戴な」
「ふん!私の勝手だわ」
太々しい態度を崩さず反省室へ入る女はブリタニー・ロベルである。彼女はあの後、教会に入信させられつまらない人生を強いられていた。シスターにいくら怒られても反省の色を見せやしない。
「どうして私が出家させられなければいけないのよ!面白いことなんて何もないじゃない!」
今日も不満を漏らすブリタニーは如何にしてここから出ることを画策していた。だが、すぐに見つかってしまい、こうして反省室にぶち込まれていた。
「シスター連中もよほど暇と見えるわ、ものの5分で私を見つけるのだもの。他にやることが無いんだわ」
プリプリと怒るブリタニーは緩みそうもない監視の目に苛立ちを募らせる。
どうにかして出し抜けないかと試行錯誤する毎日だ。
「アンタも懲りないわね、ブリタニー、どうしてそんなに脱走したいの?ここにいれば喰うには困らないのに」
同僚のミリーが反省室の掃除に訪れた、ちょっと不自由だがここに居れば安泰だと思っている。
「食うには困らないね、それは確かにでも娯楽が全くないし、どうやって暇を潰せと?せめて見目の良い男がいればなぁ」
「男ぉ!?とんでない事を言うのね、ここは隔絶された世界よ。しかも異性と交わうなんて」
「良いじゃない、想像しただけだわ」
ハァと溜息を漏らすブリタニーは肩を竦めて「つまらないわ」と言う。
ところがミリーはこそこそと耳打ちする、異性と会いたいなら週に一度来る雑貨の運び人はどうかと言うではないか。
「見た目は普通だけど上背があってそこそこよ、どう?」
「え、良いじゃないの!」
早速食いついたブリタニーは大喜びした、見目はともかく男に飢えていた彼女はいつ来るんだと大騒ぎした。
「しっ!雑貨屋が来るのは土曜日の夕方よ。ほんの僅かしか滞在しないから慎重にね」
「わ、解ったわ、それまでは大人しくしなくちゃ!」
品行方正とはいわないがそれなりに大人しく務めて、シスターの目を欺きようやく土曜の夜を迎えた。
一台の馬車が教会の裏手に着いた、一人の男がそそくさと荷を運び出す。物置小屋は小さく窓もない、隠し事をするには持って来いだ。
「こんばんは、精がでますこと」
「え!?……ええと」
突然の訪問者に吃驚する青年だ、年頃は19と言う頃だろう。引き締まった体躯はバランスが良く逞しい。ブリタニーは舌なめずりをして彼の太い腕を撫でた。
「うふ、秘め事をこっそりしましょう?良いでしょ」
「え、ああそう言う事か」
潤んだ瞳で見つめる彼女は落とす自信満々だ、閨の誘いをいままで断られた事が無い。ただし、ブラッド以外はである。
「なら、こんな時化た所じゃなくもっと上等な所でしようぜ?」
「あら、連れ出してくれるの!」
思わぬ誘いに彼女は有頂天である、教会から抜け出すチャンスが来たのだから当たり前だ。
言われるまま馬車に乗ってしまった彼女は「清々するわ」と笑う。戒律が厳しいそこは彼女には耐えられなかった。
その後、ブリタニーがどうなったか。
まんまと人買いの青年に騙され娼館に売られてしまった。同僚のミリーもグルで嵌められたのだ。
「うふ、シスター。厄介者が消えて良かったですね」
「まぁ、そうね。彼女には申し訳ないけれど、うちも好き好んで修道女を迎え入れているわけではないもの。食糧調達も楽ではないわ、役に立ってくれて良かった。アーメン……」
「ふん!私の勝手だわ」
太々しい態度を崩さず反省室へ入る女はブリタニー・ロベルである。彼女はあの後、教会に入信させられつまらない人生を強いられていた。シスターにいくら怒られても反省の色を見せやしない。
「どうして私が出家させられなければいけないのよ!面白いことなんて何もないじゃない!」
今日も不満を漏らすブリタニーは如何にしてここから出ることを画策していた。だが、すぐに見つかってしまい、こうして反省室にぶち込まれていた。
「シスター連中もよほど暇と見えるわ、ものの5分で私を見つけるのだもの。他にやることが無いんだわ」
プリプリと怒るブリタニーは緩みそうもない監視の目に苛立ちを募らせる。
どうにかして出し抜けないかと試行錯誤する毎日だ。
「アンタも懲りないわね、ブリタニー、どうしてそんなに脱走したいの?ここにいれば喰うには困らないのに」
同僚のミリーが反省室の掃除に訪れた、ちょっと不自由だがここに居れば安泰だと思っている。
「食うには困らないね、それは確かにでも娯楽が全くないし、どうやって暇を潰せと?せめて見目の良い男がいればなぁ」
「男ぉ!?とんでない事を言うのね、ここは隔絶された世界よ。しかも異性と交わうなんて」
「良いじゃない、想像しただけだわ」
ハァと溜息を漏らすブリタニーは肩を竦めて「つまらないわ」と言う。
ところがミリーはこそこそと耳打ちする、異性と会いたいなら週に一度来る雑貨の運び人はどうかと言うではないか。
「見た目は普通だけど上背があってそこそこよ、どう?」
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早速食いついたブリタニーは大喜びした、見目はともかく男に飢えていた彼女はいつ来るんだと大騒ぎした。
「しっ!雑貨屋が来るのは土曜日の夕方よ。ほんの僅かしか滞在しないから慎重にね」
「わ、解ったわ、それまでは大人しくしなくちゃ!」
品行方正とはいわないがそれなりに大人しく務めて、シスターの目を欺きようやく土曜の夜を迎えた。
一台の馬車が教会の裏手に着いた、一人の男がそそくさと荷を運び出す。物置小屋は小さく窓もない、隠し事をするには持って来いだ。
「こんばんは、精がでますこと」
「え!?……ええと」
突然の訪問者に吃驚する青年だ、年頃は19と言う頃だろう。引き締まった体躯はバランスが良く逞しい。ブリタニーは舌なめずりをして彼の太い腕を撫でた。
「うふ、秘め事をこっそりしましょう?良いでしょ」
「え、ああそう言う事か」
潤んだ瞳で見つめる彼女は落とす自信満々だ、閨の誘いをいままで断られた事が無い。ただし、ブラッド以外はである。
「なら、こんな時化た所じゃなくもっと上等な所でしようぜ?」
「あら、連れ出してくれるの!」
思わぬ誘いに彼女は有頂天である、教会から抜け出すチャンスが来たのだから当たり前だ。
言われるまま馬車に乗ってしまった彼女は「清々するわ」と笑う。戒律が厳しいそこは彼女には耐えられなかった。
その後、ブリタニーがどうなったか。
まんまと人買いの青年に騙され娼館に売られてしまった。同僚のミリーもグルで嵌められたのだ。
「うふ、シスター。厄介者が消えて良かったですね」
「まぁ、そうね。彼女には申し訳ないけれど、うちも好き好んで修道女を迎え入れているわけではないもの。食糧調達も楽ではないわ、役に立ってくれて良かった。アーメン……」
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