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23 愛は永遠に

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病気がきっかけとなり、どちらともなく寝所へ通うようになった王子殿下夫妻の姿があった。
遅咲き過ぎた恋を実らせた王子は浮かれまくった、そして床を共にしていれば男女の仲は深まるのが当然であった。
愛することを許された晩は「こんな幸福があって良いのか」とサムハルドは感涙したのである。
漸く結ばれた二人は以前にまして睦まじくなり、どこへ行くにも愛しい妻を伴うようになった。
分けられていた居室は一つに統一されたのは言うまでもない。

とある夜会では妃殿下と踊りたいと申し出る隣国の王子を射殺さんばかりに睨みつけてしまい、女王に雷を落とされた。
「夜会は親睦を深めるために行うのです!国交を潤滑にさせる為の親交の場を凍り付かせてどうしますか!」
「い、痛い!痛いです母上、角はやめてください」
「おだま!」
纏めた扇で頭をバシバシどつかれるのはいつぶりだろうとサムハルドは思い返す。
「聞いているのですか!このハムサンドがっ!」
「はい、申し訳ありません!」

異性を必要以上に牽制しまくる愚息に女王は頭を抱える、それは妻シャロンとて同じであった。
執務の際に訪れる文官が年若い男だったりすると「妻から5mは離れて会話しろ!」と怒るのが茶飯事になっているのだ。
「……サミィ、このままでは仕事に支障がでます。執務室を分断しますわ!」
「それだけは勘弁して!姿が見えないと私は心配で仕事が手に付かなってしまうよ!」
執務室を分ける方が仕事が滞ると踏んだ側近たちは「どうかご容赦を」と頭を下げたのである。

***

そんな可笑しくも平和な日々は続き、シャロンが嫁いで2年目の春。
ふたりの間に元気な男児が誕生した、その容姿はいいとこどりをした美しいものだった。
「まぁまぁ!なんて愛らしいのかしら、バーバですよぉ早く目を開けてどんな瞳か見せてね」
初孫を前にメロメロな女王は片時も離れようとしない、臣下に呼ばれる度に渋々と離れていく姿は笑いを誘った。

「私達のベビーは愛されすぎて大変ね」
「当然さ、だって私達の子供だからな!世界中が言祝ぎを届けてきてるぞ」
夫と同じ青銀の髪をした我が子を撫でてシャロンは幸せの絶頂にいた、なにもかもが自分たちのためにあるようだと錯覚するほどに。

「愛しているよシャロン、早く二人目が欲しいなぁ。次は女の子がいい」
「あらまぁ、きっと溺愛し過ぎて嫁きおくれにならないか心配よ」
「いいよ、嫁にいかなくてもずーと愛でるから!」

今度は子に与える愛情が拗れて、困った父親にならないかと今からハラハラする妻シャロンなのであった。





本編完結

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