頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。

音爽(ネソウ)

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第八側室ハウラナの初日

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ハウラナが案内された第八側室の居室は最上階だった、眺めは良いが移動に苦労する。それ故に身分の高い者ほど階下に住む。
申し訳程度に整えられた部屋は少し埃っぽいので、ハウラナは窓を全開にする。


眼下は美しい庭園が広がり、薔薇園から香しい風が入って来た。
「へぇ、いーじゃない?見晴らし最高!見張りも侍女もいないから解放感がありがたいわ!」


居室を一通り見て周ると、調度品はほとんどない。

「……まーね、歓迎されてないのは知ってた!だからこそ遣り甲斐があるわ」

ハウラナは本領発揮とばかりに秘めていた術を使った。
「再構築!」


彼女は目を瞑り望む通りの部屋を思い描く。
僅か数秒でかつて生活していたゼベール城の自分の部屋を再現してみせた。

「うん、やっぱりこれよ。私は枕と環境が変わると眠れないのよ!意外に神経質なのよね……めんどうだわ。ストレスを感じるとすぐ下痢になるし……」


気を付けなければと腹を摩り、空の水差しを手に持った。
「清らかな水よ、ここに満ちれ」


コポコポと冷たく透き通った水が底から湧き出て満たされた、ハウラナは満足そうに微笑みコップ一杯飲み干した。

「ふー!美味しい上出来ね!生活魔法って繊細なのよねぇ、勢いよく出すと食器を壊してしまうし、火加減を誤れば火事になっちゃう」


それから、亜空間ボックスから取り出したケーキスタンドと紅茶をテーブルに並べてひとりぼっちの茶会を楽しんだ。


マナーを気にせずバリボリむしゃむしゃと食べ尽くした。
「うふ、側室生活最高になりそうよねぇ。他の側室と遭遇しないように気をつければだけど」


ハウラナは歓迎会と称して茶会や食事に招待されても無視しようと心に決めていた。
正妃シアーネは毒使いだ、油断できない。


「陛下が脅しても効果は数日でしょうね。嫉妬深くてしつこそうだったもの喉元すぎれば……ってね」
ケーキスタンドからサンドウィッチをつまみモグモグと咀嚼して飲み込んだ。


「うん、再現率100%ね!侍女長のハムサラダサンドは最高だもの」
パクパクと平らげて温めのミルクティーを一気飲みしてケプッと小さく息をはいた。

彼女はさすがにゲップを盛大にはけなかった。
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