11 / 32
アリルの暴走
しおりを挟む
朝食後、善は急げとばかりにアリルは行動に出た、出過ぎた事だと諌言する者はいなかった。
次期正妃はアリルであると彼女の侍従たちは信じて疑わなかった。
「陛下にお目通りを!そこを退きなさい!」
侍女と護衛を侍らせたアリルは、皇帝の居室がある黒曜宮を護る衛兵に命令した、だが返って来た言葉は素っ気ない。
「陛下は留守にございます、それから先触れなき者は何人も通せません」
「正妃に対してなんと無礼な!覚えてらっしゃい!」
可憐な容姿とは裏腹に、アリルもやはり傲慢な態度を振る舞う人間だった。
まだ決定してもいない正妃を名乗り、咎めを受けるのはアリルなのだが気が付いていない。
万が一、別の側室が選ばれたらとんだ赤っ恥なのだが……。
「ちょっと、まだ田舎ネズミは捕まらないの?」
回廊の途中ですれ違った武官に向かって食って掛かるアリル。
「は?はぁ……ネズミとは、不審者でもいましたか?」
「そうよ!田舎からやってきたハウラナとかいう小娘のことよ!アレのせいで寝不足なのよ!肌が荒れたわ」
「はぁ……そうでしたか」
仮にも嫁いできた姫君を、ネズミ呼ばわりする不遜なアリルに呆れた顔を見せる武官だった。
消えたハウラナを、一睡もせず探し回る陛下の姿を知っている家臣たちは、第八側室こそが寵愛を受けたただ一人の妃だと確信している。
陛下側近たちはハウラナ妃こそが次期正妃だと準備に勤しんでいた。
なのに……
現状で次期正妃は未定の状態にあるのに、図々しく名乗って歩く側室アリルは白い目で見られはじめていた。
城の各部署へいきなり顔をだしては「正妃の調度品の入れ替え予算を寄越せ」「正妃に挨拶にこい」などありえない言動をしている。
「だ、だいじょうぶでしょうか?正式に指名就任されたわけでもなく」
さすがに侍女も不安そうに顔色を悪くした。
「なにを気の小さいことを!帝国の正妃が舐められたらダメでしょう、あなたはわたくし正妃の侍女になり侍女長に就任するのよ!胸を張りなさい!」
「は、はい!さすがアリル様!」
「当たり前よ!」
空気を一切読もうとしないアリルは意気揚々と城内を歩いた。
威張り腐って歩いたアリルだったが、いまひとつ正妃としての実感がわかないと不満を漏らす。
「やはり陛下と対話できてないのがいけないんだわ、なんとかしなければ!そうだわ!正妃の部屋が空いたのならばやることがあるじゃない!うっかりしてたわ」
名案を思いついたと豪語したアリルは、後宮へ急ぎ戻って行った。
次期正妃はアリルであると彼女の侍従たちは信じて疑わなかった。
「陛下にお目通りを!そこを退きなさい!」
侍女と護衛を侍らせたアリルは、皇帝の居室がある黒曜宮を護る衛兵に命令した、だが返って来た言葉は素っ気ない。
「陛下は留守にございます、それから先触れなき者は何人も通せません」
「正妃に対してなんと無礼な!覚えてらっしゃい!」
可憐な容姿とは裏腹に、アリルもやはり傲慢な態度を振る舞う人間だった。
まだ決定してもいない正妃を名乗り、咎めを受けるのはアリルなのだが気が付いていない。
万が一、別の側室が選ばれたらとんだ赤っ恥なのだが……。
「ちょっと、まだ田舎ネズミは捕まらないの?」
回廊の途中ですれ違った武官に向かって食って掛かるアリル。
「は?はぁ……ネズミとは、不審者でもいましたか?」
「そうよ!田舎からやってきたハウラナとかいう小娘のことよ!アレのせいで寝不足なのよ!肌が荒れたわ」
「はぁ……そうでしたか」
仮にも嫁いできた姫君を、ネズミ呼ばわりする不遜なアリルに呆れた顔を見せる武官だった。
消えたハウラナを、一睡もせず探し回る陛下の姿を知っている家臣たちは、第八側室こそが寵愛を受けたただ一人の妃だと確信している。
陛下側近たちはハウラナ妃こそが次期正妃だと準備に勤しんでいた。
なのに……
現状で次期正妃は未定の状態にあるのに、図々しく名乗って歩く側室アリルは白い目で見られはじめていた。
城の各部署へいきなり顔をだしては「正妃の調度品の入れ替え予算を寄越せ」「正妃に挨拶にこい」などありえない言動をしている。
「だ、だいじょうぶでしょうか?正式に指名就任されたわけでもなく」
さすがに侍女も不安そうに顔色を悪くした。
「なにを気の小さいことを!帝国の正妃が舐められたらダメでしょう、あなたはわたくし正妃の侍女になり侍女長に就任するのよ!胸を張りなさい!」
「は、はい!さすがアリル様!」
「当たり前よ!」
空気を一切読もうとしないアリルは意気揚々と城内を歩いた。
威張り腐って歩いたアリルだったが、いまひとつ正妃としての実感がわかないと不満を漏らす。
「やはり陛下と対話できてないのがいけないんだわ、なんとかしなければ!そうだわ!正妃の部屋が空いたのならばやることがあるじゃない!うっかりしてたわ」
名案を思いついたと豪語したアリルは、後宮へ急ぎ戻って行った。
40
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。
父親は怒り、修道院に入れようとする。
そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。
学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。
ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
姑に嫁いびりされている姿を見た夫に、離縁を突きつけられました
碧井 汐桜香
ファンタジー
姑に嫁いびりされている姿を見た夫が、嬉しそうに便乗してきます。
学園進学と同時に婚約を公表し、卒業と同時に結婚したわたくしたち。
昔から憧れていた姑を「お義母様」と呼べる新生活に胸躍らせていると、いろいろと想定外ですわ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる