頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。

音爽(ネソウ)

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少女と少年1

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ハウラナ2歳のある日のこと。


ゼベール城内で迷子騒動が起きた、侍女が目を離した僅か1分の間にハウラナ王女が忽然と行方をくらました。
居室には侍女とベッドメイクをしていたメイドが一人、ドアの外には護衛が二人いた。


まるで神隠しだと大騒ぎになった。
どこを探しても発見に至らず、数日が過ぎた頃だった。


茶の準備をしていた王妃付の侍女が、小さな手がニュッと出てきてクッキーを盗んでいくのを目撃して悲鳴をあげた。


それから数時間後、王女は亜空間続きの花畑で発見された。
同じ能力を持っていた兄王子カインがいなければ、生涯発見されなかったかもしれない。


衣服は少し汚れていたが、彼女は元気に花畑でお茶とクッキーを食べていた。

王女の安否を気遣い過ごしていた王達は痩せ細ったというのに、王女は丸々とした顔でキャッキャと笑っていた。
「あぁ私のハウラナ……よくぞ無事で」

ハウラナが行方不明の間は、茶しか飲めなくなっていた王妃。窶れた頬に影を落とし泣いて過ごした。
親の心子知らずである。


「この子の能力は空間魔法なのね、早速教師をつけて理解させなくては危ないわ」
わずか2歳で開花した能力、早すぎる力の目覚めによって起きた神隠し事件だった。


***

「良いですか王女様、魔術は便利ですが使い方を誤ればとても危険です」
「きけん?」
「そうです、面白半分で亜空間へ遊びに行っては行けません。帰ってこられないこともあるのですよ!恐ろしいでしょう?」

帰えれないということは、母達に会えなくなるという事に気が付いた王女は火が付いたように泣いて教師を困らせた。


2歳半から本格的な魔法の訓練を受けたハウラナは、同時に暗器使いの特訓も始めていた。
早すぎると反対意見もあったが、特殊能力を持つ彼女の自衛力はすぐに身に着けるべきと王が決定した。

「能力に目を付けられたら誘拐も有り得るからな、ここは心を鬼にして耐えよう」
「ええ、そうですわね。すべてはあの子の為ですから」

優しく、厳しい両親のもとでハウラナはメキメキと力を付け、外見は可愛く成長していった。
見た目はユルフワ、中身は豪胆な獅子のようになったハウラナは色々な誤解を生んでいく。





ハウラナが8歳の時、公爵家の嫡男と顔合わせと称した見合いの場が設けられた。
儚げな美少女のハウラナに2歳上の嫡男は一目惚れをした。

だが、中身が獅子の王女はヒョロガリの男子に興味が持てなかった。
高位故に贅沢に育ち甘やかされた男児はワガママに振る舞う、一見か弱そうなハウラナにも横暴な態度だった。


「おい、お前!将来は俺の妻になるんだ、もう少し慎ましくできないのか!」
「はぁ?勘違いするな下郎!いま時点で私が身分上よ!弁えなさい!お前などと婚約するものか!」


激高したハウラナは、少年を魔の森に連れて行きこう言った。

「ここで一か月、生き抜けたら考えてやろう」
「えぇえ!?無理だよ巫山戯るな!」

「あら、女々しい。私は5歳でこの特訓をこなしたわ!お前は幼児以下ということね!失格!軟弱者はしばらく修行しなさい!じゃーね!」

「そ、そんなぁ!置いてくなんてヒドイぞ!お父様お母様!こんな猛獣女なんていやですぅ!ダズゲデェ死んじゃうよぉ!」


穴と言う穴から色んな汁を垂れ流した少年は、屈辱を受けた腹いせにハウラナの醜聞を流した。

『見目だけの性悪』『猛獣女』『頭が花畑のバカ王女』などあることない事を吹聴したのだ。
貴族派の筆頭でもある公爵家だった故にあっという間に噂は広まった。


公爵家の嫡男を魔の森に置き去りにした事は真実だったため、反論もあまりできない。
王から緘口令が敷かれたが時すでに遅しだった。


その珍事は帝国ダネスゲートにも届いていた。

「面白い姫がいるそうだ、会ってみたい!猛獣のような姫とはどんな娘だろう!」
当時はまだ皇太子だったクレイブ13歳、やんちゃ盛りの彼は直ぐに魔法国ゼベールに一人で向かった。
彼はすでに”精神干渉”を自在にできるようになっていた為、怖いもの無しだった。


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