頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。

音爽(ネソウ)

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黑い側室たち

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「これはどういう事?」

居室を出て階下へ向かおうとしたハウラナとミーニャの前には壊れて崩れた階段があった。
側室達の嫌がらせだ。


「こういう無駄なことをするから皇帝に嫌われるのに、学習しないのね。空間を操る私には通じないし」
崩れた階段の先に、ゲスい顔で嗤う女達がいた。


だが、ハウラナは余裕の笑顔で手を振ると空間魔法を披露してその場から消えた。
見たことも無い魔法を目の当たりにして、茫然とした後に彼女らは悔しい悲鳴をあげるのだった。


「なによアレ!?壁の中に消えたわよ化物じゃない!」
「ほんとよ!この事実を皇帝が知ったら驚かれるわよ」
「待って、近頃高価な魔道具が王宮に出まわっていると聞くわ」
「んまぁ!?それを文官あたりに横流しでもさせたのね!」
「きっとそうだわ!あの猫かぶりの顔で誑かしたのよ!」


ギャイギャイと見当違いのことを憶測して騒ぎたてる側室達は、挙って宰相の執務室へ押しかけた。
当然、けんもほろろという態度のケンフラーだ。


「ハウラナ姫が魔道具を不当に搾取した?ほうほう……」
呑気そうな宰相の様子に苛立ちながら、彼女らの中心である第三側室レーネが吠える。


「そうですわ!卑しいあの女の事です、色目を使って高価な魔道具を文官達に強請ったのです!あの女が魔法を使う所を私達は見ましたわ!」

そうだと言わんばかりに、一斉に頭を上下させる側室たち。
こんな時ばかり結託するとは、女は怖いとケンフラーは思った。


「その高価な魔道具ってのはねぇ、お姫さん方。ハウラナ姫の母国ゼベールからの贈答品なんだよねぇ……。どういうことかわかるかなぁ?その悪い頭で?」

「「「「んな!?」」」」

想定していなかった宰相の言葉に側室達は言葉を失う。


「恩恵を受けたのは帝国側なんだよね~……ハウラナ姫のお陰で王宮の仕事が一新されて文官たちは大喜びしているよ?なのに色仕掛けで搾取した?自国から持ってきたものをワザワザ欲しがる意味がね……ないね。それにね彼女は魔法が使えるんだ道具など要らない」


「なんでよ!たかが田舎の小国にどうして魔道具が提供できるの!見た目だけのバカ女が魔法が使える?有り得ない嘘を言わないで!」
レーネが口惜しそうに反論する。


「レーネ姫、小国ゼベールが数百年変わらず在れた理由を知らないのかね?その空っぽの頭で正妃を立候補したのかい、なんて太い神経を持っているんだろう、感心するよ。それと陛下の寵愛を受けているハウラナ姫を侮辱したことは報告しておくね」


散々な言われようにレーネは蒼白になって震えた。
怒りと羞恥で混乱したのか、意味不明な言葉を叫ぶと執務室から飛び出して行った。
その後を顔色を悪くした側室たちが追うようにでて行く。


「あ、壊した階段のこと追及すんの忘れた……」


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