頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。

音爽(ネソウ)

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魔法国ゼベール

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勅命から僅か1週間で、旅商団を装ったイースレッドの密偵たちがゼベールへ入国した。


「加工品がほとんどだな、瓶詰の野菜に塩漬けの肉か……これはどうやって食べるんだ?」
「へい、こっちのは味付きオイル漬けでして野菜を解してパンにつけて食べると美味いんです。良かったら一つどうぞ」

「ほぉ!いいのか?悪いな、うん不審なところはない通っていいぞ」
積荷を見分した門兵たちは、特に変わった点はないと判断する。
実際、加工品の箱と少しの着替えくらいしか乗せていないのだ。


商団はガラガラと呑気に馬車を走らせ、商店街へと消えて行った。
「緊張感もなんもねぇな」
「そうだな、全体が平和ボケしているようだ」


揺れる馭者台で護衛役の男が入国時の印象などをメモしていた。

「それにしても見慣れないもんが多いな、空に浮かんでるのはランタンか?どういう仕組みだよ」
「魔道具だろ、夜になったら外灯の代わりになるんだろうよ」

得体の知れない魔道具があちこちに設置されていた、これらの技術が全てイースレッドのものになれば益々国は大きくなるだろうと密偵の一人は呟く。


「国王がここを欲しがるわけだな。見ろよアレ、馬なしの車が走ってるぞ!」
「あぁ、やけに街道が綺麗だと思ったが……そういうことか」

馬車は糞尿を垂れ流して闊歩する、それが諸外国では当然のことだ。
嫌な悪臭もなく、整頓された街並みは治安も良くなるのだろう。破落戸らしい者も見当たらない。



商売にきた体を装って、とある商店へ情報集めに立ち寄った。

「いーねぇ羨ましい、こんな綺麗な街は他で見ないよ」
「ええそうでしょうとも、ゼベールは優れた魔道具と浄化魔法を使う魔導士がいますからな」

店主は街を褒められて気を良くしたのか饒舌だった。
「この国には貧民街もありません、そのおかげか治安も良く、すべては国王様の統治力のお陰です」
「そうかい、俺も住みたくなるよ借家でも探そうかなハハハハッ」

商人がそういうと、店主は少し笑顔が強張った。
「どうかしたかね?」
「いや、……移民はあまり歓迎されませんのでね。出国もよほどの理由がないと許可がでないのですよ」

永住権を得るには相当の信頼を勝ち取らねばならないと店主が言った。
「買い付けや観光ならば歓迎されますが、ここの衛兵は厳しいので言動には気を付けなさいよ」
「そ、そうか肝に銘じておこう」


いくつかの商品をお試し交換をして、その場を辞する密偵たちだった。

「思いのほか余所者には風当りが強いようだ、ところで妙な球体が不自然な動きで浮いてるのがわかるか?」
「ああ、なんだろうな……俺達を追ってる気がする警戒しとけ」


その球体こと”映像記録魔道具”によって、密偵たちが追いつめられるのは数時間後の話。

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