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その後
王子とアリス2
しおりを挟むあれから一年後、私は王子妃となりディミアン殿下の隣で幸せな日々を送っているわ。
互いに尊重し合う夫婦になれた、仕事も継続して充実した日々を送っている。
でも流石に独身の頃のように両立は困難と判断した私は、伯爵位を買い取った家令に領地を譲ることにしたの。もちろん一括とはいかないので家令は月々返済に追われることに。
真面目な彼のことだ、順調に返済できるだろうと信じているわ。
結婚後、久しぶりに訪れた領地は、その年も黄色の絨毯に覆われ土地の豊かさを知らしめる。
「今年も暑くなりそうね、荒れ地の開拓もだいぶ進んだじゃない」
「はい、遣り甲斐がありますよ。お陰様で黒字が続いております。国一活気がある領土にしてみせます」
元家令改め伯爵は些かふっくらして、知り合った頃の老獪さはすっかり消えいる。
思えば苦労人だったが故に性根が曲がってしまったのかもしれないわ。
いくつか商談を交わすと伯爵は加工場へ視察に行くと言って私とわかれた。
自分は束の間の春景色を惜しむように、遠目に流れる春の雲を目で追った。すると愛しい声が私を呼ぶ。
「アリス!農夫から間引いた菜の花を分けて貰ったよ!でも大分短く刈るんだね?」
柔らかな先の部分を集めた束をしげしげ見つめる夫は不思議そうだ。
「まぁ、素敵。この開いてない花蕾は食べられるのよ」
「え!?これを食べるの?」
「ふふ、春先だけの御馳走なのよ。ちょっと苦みがあって乙なものなのよ」
なるほどと夫は感心しきりで食卓に上るのを楽しみだと笑う。
それから、少し膨らんだ私の下腹部を優しく撫でて目を細めた。
「この子にはいつ食べて貰えるかな?」
「あら、私が食べたものは、この子のものになるのよ?」
そうか、そうだね。と彼が母体を労わるように優しく抱きしめてきた。
なんと幸せな世界だろう。
神様なんて信じていないけれど、今世に生まれてこれて嬉しいです。
もしもどこかにいるのなら、たくさんの感謝をアナタに贈ります。
その後、季節は秋に変わり一人増えた私達家族は怖いくらい平穏で多幸な日々を過ごした。
王太子夫妻に続き、二人目の孫を授かった両陛下は小さな王子にメロメロになった。
「キャッキャッ」
「おお!初めて声をだして笑ったぞ、なぁ見たかアリス!」
「はいはい、見てますよ~」
小さな王子は毎日違う表情を見せて周囲を翻弄し幸福を振り撒いた。
「あらあら、この子ったらディミーにどんどん似てきて、美形になって世の女性を惑わすかしら?」
「母上!それでは私が女癖が悪いみたいでしょう!」
その会話を聞き、笑い転げるのは好々爺な国王陛下。
「生まれたばかりで失礼なヤツらだなぁ?なー王子!どれジイジとお昼寝するか?」
「んまっずるいわ貴方!今日は私の番でしょう!」
皆に愛される私のベビーは世界一幸せね。
「生まれてきてくれて、ありがとう」
ふっくらスベスベの柔肌に頬擦りすると、とても優しい匂いがした。
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