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出奔篇
都合の良い話
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冷や汗モノの晩餐から一夜明けて早々にアキフミは魔王に呼び出された。
茶の時間でもないのに、どうした事だろうと疑問を浮かべてサロンへ着いた。
「アキフミ・サトー参りました!」
騎士らしくピシッと敬礼してサロンへ入ると魔王が満面の笑みで出迎えた。
ギョッとして警戒するアキフミに魔王は早く来いと手招きした。
「えーと……なにかありましたか?」
「うむ、単刀直入に聞く、アキフミよ地球とやらに帰りたいか?」
「!?」
信じられない問いにアキフミは固まった、かつて無理矢理にこの異世界へ召喚された彼は「一方通行の道」だと知らされ絶望したのだから。
「な、なんと……!?まさか帰れるのですか!?」
「うむ、余の使う転移術や召喚魔法は脆弱な人間のソレではないからな。不安定なのは違いないが往復することは容易いぞ」
自信満々に答える魔王レイジャーフリードはドヤ顔だ。
彼は冗談が通じない性格をしている、その当人が戯言を吐くはずもない。アキフミは歓喜の声を上げた。
「か、帰りたいです!そりゃ社畜として生涯を終えるのは嫌ですけど、少なからず友人もいたし残してきた親も心配です」
「そうか、ならば腹を括れ。ただし召喚された時間軸に戻れる保証はない、それは承服するか?」
「え……」
大喜びした彼だったが「全く同じ時代」に戻れる保証がないと聞いて怖くなった。
リアル浦島太郎になるかもしれないのだ、どの時代に戻るか不明となれば尻込みするのは当たり前だ。
「あ、あの、ひとつ確認を……往復できるということですが。こちらへ帰還する時間差はどれほどでしょう?」
「ああ、そんなことか?未踏である異界の地球はともかく、掌握したこの地に戻る誤差は数分だぞ。それに一度地球とやらに余の転移術を施せば自由に行き来が可能だ!膨大な魔力は消費するがな」
「おおお!?ほんとですかそれは凄いです!流石は魔王様!素晴らしい!尊敬します!」
「……お前調子いいな、まぁ良い。地球で不都合が生じたならすぐ戻れば良かろう。なに、貴様のことは余が護ってやる安心しろ。同行を求めるのは地球を案内してもらう為なのだからな!」
なんて都合の良い話だろうかとアキフミは絶句する。
間違って氷河期とか、滅亡後の地球という危険を孕むものの、こちらの世界に無事戻れるという保証付きだ。アキフミは快諾する以外の選択はなかった。
「よろしくお願いします!では支度を致しますね!ところで異世界転移はいつなされますか?」
「うむ、今すぐだ」
「へげ?」
茶の時間でもないのに、どうした事だろうと疑問を浮かべてサロンへ着いた。
「アキフミ・サトー参りました!」
騎士らしくピシッと敬礼してサロンへ入ると魔王が満面の笑みで出迎えた。
ギョッとして警戒するアキフミに魔王は早く来いと手招きした。
「えーと……なにかありましたか?」
「うむ、単刀直入に聞く、アキフミよ地球とやらに帰りたいか?」
「!?」
信じられない問いにアキフミは固まった、かつて無理矢理にこの異世界へ召喚された彼は「一方通行の道」だと知らされ絶望したのだから。
「な、なんと……!?まさか帰れるのですか!?」
「うむ、余の使う転移術や召喚魔法は脆弱な人間のソレではないからな。不安定なのは違いないが往復することは容易いぞ」
自信満々に答える魔王レイジャーフリードはドヤ顔だ。
彼は冗談が通じない性格をしている、その当人が戯言を吐くはずもない。アキフミは歓喜の声を上げた。
「か、帰りたいです!そりゃ社畜として生涯を終えるのは嫌ですけど、少なからず友人もいたし残してきた親も心配です」
「そうか、ならば腹を括れ。ただし召喚された時間軸に戻れる保証はない、それは承服するか?」
「え……」
大喜びした彼だったが「全く同じ時代」に戻れる保証がないと聞いて怖くなった。
リアル浦島太郎になるかもしれないのだ、どの時代に戻るか不明となれば尻込みするのは当たり前だ。
「あ、あの、ひとつ確認を……往復できるということですが。こちらへ帰還する時間差はどれほどでしょう?」
「ああ、そんなことか?未踏である異界の地球はともかく、掌握したこの地に戻る誤差は数分だぞ。それに一度地球とやらに余の転移術を施せば自由に行き来が可能だ!膨大な魔力は消費するがな」
「おおお!?ほんとですかそれは凄いです!流石は魔王様!素晴らしい!尊敬します!」
「……お前調子いいな、まぁ良い。地球で不都合が生じたならすぐ戻れば良かろう。なに、貴様のことは余が護ってやる安心しろ。同行を求めるのは地球を案内してもらう為なのだからな!」
なんて都合の良い話だろうかとアキフミは絶句する。
間違って氷河期とか、滅亡後の地球という危険を孕むものの、こちらの世界に無事戻れるという保証付きだ。アキフミは快諾する以外の選択はなかった。
「よろしくお願いします!では支度を致しますね!ところで異世界転移はいつなされますか?」
「うむ、今すぐだ」
「へげ?」
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