転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

文字の大きさ
155 / 230
審査

リョーの審査【露払い】

しおりを挟む
リョーは使い慣れた片手剣を手にして、構えた。
少し苦戦はしたが、三人ともに無事に勝利した。
それにニッカに少し感嘆の表情を浮かべた。
「カシューの見立ては間違ってなかったようだね。」
先ほどまで言葉を失っていたゲイガは。
「お言葉ですが、我がギルドからの報告は届いておりませんか?」
ニッカは首を傾げながら、ゲイガを見た。
「この前の騒動、トリトル卿の刺客……C~Dランクで、それを倒したのがそこの2人です。」
ゲイガがもたらしたB級並というには程遠かったが、それでもそれなりの戦力であった。
ニッカは苦笑いを浮かべながら。
「まさかCランク以上の実力があるとはな。」
先ほどの護衛は。
「それは正しくないぞ。カシューが言ってた魔法を使ってないからな。」
ニッカは指摘されて、初めて気付いた。
「………あの申請も本気だったのか?」
護衛は頷いた。
「虎丸の審査も後日、お願い出来るかな?虎丸は人を殺める戦い方しか知らないから。大丈夫だよね、レイが相手なら。虎丸を殺さないで審査する事。」
「やはりバレてたのか……楽しみにしてるよ、どれ程強くなったか。」
レイに気付いた他の護衛は必死に言い訳を始めた。
「これは違うのです。相手がEランクだと聞いて、少し気を抜いていただけで、もう一度やれば、負けたりは……。」
レイは笑顔でその護衛に。
「じゃあ、もう一度やってみるか?そいつ、意外と性格悪いらしいけど…。」
レイはその笑顔をリョーに向けた。
「性格が悪いなんて……。」
否定しようとしたリョーにレイは。
「リザードマンの戦意を折ったのに?」
あぁ、確かにあれはやり過ぎたかもな。
レイは黙り込んだリョーから再び護衛に視線を戻し。
「で、どうするんだ?」
護衛は流石にここで撤回する潔さは持ち合わせていない様子で再び剣を手にして、前へ。
「次は手加減しないぞ、小僧。」
だが、リョーは落ち込む虎丸の背中を叩き。
「落ち込んでないで、いつもと同じ様にやってきな。」
虎丸は首を横に振りながら。
「弱い者いじめはしたくない。これは戦いじゃないんだよね?」
リョーは虎丸の頬を両手で挟み。
「これは主としての命令だよ。虎丸のチカラを見せておいで。」
虎丸は滅多に言わない命令と言われ、渋々前に出た。
だが、それに納得出来ないのは護衛の方であった。
「そんな弱いのは良いから、小僧が来い。」
「ほら、虎丸……ちゃんとしないから、相手に勘違いさせちゃったじゃないか。もし、殺してしまっても仕方ないよ。使役獣に手加減とか期待する方が無理なんだから。」
その言葉に顔を青ざめたのはゲイガであった。
「……おぃ、本気じゃないよな。そいつは……確か。」
「良いんだよね?事故が起こっても。」
その言葉に先ほどの戦いを見てたニッカはブラフだと思いながらも護衛に確認した。
「あぁ、瞬殺してみせますよ。逆にこちらが殺めても知らぬぞ。」
「……バカが。」
レイは吐き捨てる様に呟いた。
護衛と虎丸の再戦は数秒で方がついた。
虎丸に馬乗りになられ、その下で首から血を吹き出し、呻き声をあげていた。
虎丸は全身を真っ赤に染めながら、身を離した。
護衛の首に必死に回復魔法をかけるニッカはかなり焦っていた。
「力の差さえ分からないとは………。それにカシューの報告にあっただろ。あの使役獣の実力は下手すれば討伐指定されるかもしれぬと。」
レイは呆れていた。
だが、レイの呆れはリョーにも向けられていた。
「何が事故だよ、やはりいい性格してるよ……。」
ゲイガはその惨劇を目にしながら。
「やはりケルベロスの幼体なのか?」
リョーは流石にまずいと思い。
「それ、さっき……フラン自身、自信なさそうにしてたよ。それにケルベロスなんてモノが使役獣になる訳ないだろ。」
ニッカは何とか止血に成功し、疲れた表情をしながら。
「頼むよ。審査で死者なんて出したら、始末書で済まないんだからな。」
先ほど虎丸を審査した護衛は言葉を失っていた。
「じゃあ、審査の続きは後日でもいい?もう眠気と空腹で辛いから。」
そういうリョーを見ながら、レイは。
「あぁ、余計に楽しみになってきた。連絡を待ってる。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます

黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。 だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ! 捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……? 無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。  発端は彼女の父親が行方不明となり、叔父である父の弟が公爵邸に乗り込んで来たこと。  何故か叔父一家が公爵家の資産に手を付け散財するが、祖父に相談してもコロネに任せると言って、手を貸してくれないのだ。  そもそも父の行方不明の原因は、出奔中の母を探す為だった。その母には出奔の理由があって…………。  残された次期後継者のコロネは、借金返済の為に事業を始めるのだ。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

感情の贈与税 〜光の加護より、確かな契約。没落令嬢による国家再生録〜

しょくぱん
恋愛
「君のような地味な女、僕の隣にふさわしくない」 魔王軍を討伐し、凱旋した公爵令息カシアンが放ったのは、婚約者エレナへの冷酷な決別だった。 彼の傍らには、可憐な「救国の聖女」レティシア。 だがカシアンは忘れていた。彼の眩い金髪も、魔王を圧倒した剣技も、すべてはエレナが十年間「愛の贈与」として捧げ続けた魔力の賜物であることを。 「……承知いたしました。では、滞納分を含め、全魔力を今この場で『徴収』いたします」

冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件

水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」 結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。 出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。 愛を期待されないのなら、失望させることもない。 契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。 ただ「役に立ちたい」という一心だった。 ――その瞬間。 冷酷騎士の情緒が崩壊した。 「君は、自分の価値を分かっていない」 開始一分で愛さない宣言は撤回。 無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。 以後、 寝室は強制統合 常時抱っこ移動 一秒ごとに更新される溺愛 妻を傷つける者には容赦なし宣言 甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。 さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――? 自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。 溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ

処理中です...