転生したら、HEROになれるはず

緋咲 ツバメ

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これから

試運転

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飯にする前に街を出て、少し身体を動かす事にした。
軽く連携についても確認しておきたかったので…………。

結論から言おう。
この辺りでは連携など必要ない。
これは一度、本格的な依頼を受けてみないとなって思ってはいるが、直ぐに行動出来ない理由があった。
一つはダートのグランの件があり、結論を聞く前に流石に離れる訳にもいかない。
そして、もう一つは王位継承の戴冠に関する式典が近々行われるらしく、次期イグランド候として出席が義務付けられていた。
ギルドから出た瞬間、息を乱した数人が近付いてきた時は……刺客かと身構えそうになった。
まぁ、あんなにお腹がでっぷりした刺客は居ないか。
涙目になりながら、怯えた表情を浮かべていたな。
そんなこんなでしばらくはトラントに居る事にしたが。
夕食を取りながら、話し合ったが、特に4人でやる事もないので……しばらくは個々の自由行動にする事にした。
むしろクルルはギルドの業務で忙しいようで、そちらに専念してもらった方が良さそうだ。
ルドラは以前とのズレがあるらしく、それを調整したいらしい。
虎丸は獣人化して、色々な事を学びたいから、別行動したいらしい。
これが親離れなのかと寂しい気持ちになりながら、無駄遣いしない様に釘を刺して、少しのお小遣いを渡した。

翌朝、宿で目が覚めると、既に虎丸の姿はなかった。
宿の朝食を取りながら、何をしようかなってぼんやりと考えていた。
朝食を終え、街をぶらつく事にした。
立ち並ぶ店を見ながら、特に中に入る訳でもなく、ぶらついた。
だが、ある店の前で立ち止まった。
あっ、式典用の衣装、買わないとダメだろうなって。
あまり前世からこういう店に縁遠かったが、ちゃんとした格好でないと、フランの顔を潰すよなって思い、思い切って店の中へ。
いかにもそれらしい店員が現れ、こちらの値踏みをするかのように靴から全身を見た後。
「本日はどのような物をお探しですか?」
店員に式典に参加するのに恥ずかしくないような服装と言うと、店員は明らかに趣味のわるい値の張る物を薦めてきた。
それをやんわりと断るが、また趣味の悪い服を薦めてくる。
別のを手を伸ばして、見ようとすると、それを制すかの様に阻まれた。
どうやら歓迎されぬ客だと思われたのだろう。
仕方なしに店を出ようとした時、ちょうど客が入ってきた。
それを見るなり、先ほどまで対応してた店員はペコペコしながら、走ってきた。
「これはモーガン様。わざわざお越しいただきありがとうございます。」
その客の顔に見覚えがあったが、関わりたくなくて、店を出ようとしたが、相手も気付いたらしい。
モーガンはこちらに近付き。
「この店にキミが買う様な服あった?」
それに追随するかのように店員も。
「全くです。当店の品位が下がりますよね。当店に相応しいのはモーガン様みたいな方ですよね。」
立ち去ろうとするが、モーガンの従者がそれを阻んでいた。
押し退ける事は容易であったが、事を荒立てるのも面倒なので、やんわりと通してもらう様にお願いしたが。
「モーガン様が話されてるだろ。ちゃんと聞いておけ。」
そろそろやばいと思いかけた時、店の奥からある一行が出てきた。
「それでは今後とも宜しくお願い致します。………何かあったのか?あぁ、これはモーガン様、いらっしゃいませ。」
店員はその男性に簡単に説明をすると、その男性はこちらに近づいて来た。
「うちの店員が失礼な事を……申し訳ございません。ただお客様にはもう少し身の丈にあった店があるのでは?」
あぁ、この店はこういう店なのか。
「そうだよ、もっといい店紹介してあげるよ。」
その男性の後ろから聞こえた声は聞き覚えのある声であった。
「ベイル様、お知り合いなのですか?」
その男性は驚いた表情で振り向いた。
ベイルは無視して、リョーの腕を掴み。
「退け、邪魔だ。それとも一緒にモーガン殿の話を聞いた方が良いか?」
ベイルはモーガンの方を見ながら。
モーガンは目を逸らして、従者に道を開けるように指示した。
「あっ、近々……この前の一件について、呼び出しがあるらしいから、覚悟しておくんだな。」
その一言に驚き、ベイルを見たが。
「この件についてはキミが何を言っても減罪はない。ベンテの耳に入った以上、国としての判断が下る。」
モーガンが顔を青くしながら。
「そいつが何者だと言うのですか?」
ベイルは吐き捨てる様に。
「そいつ?彼はイグランド候だよ。」
話の感じからすると、イグランド候って偉いんだな。
そんな事を考えていたら、ベイルに腕を引っ張られて、店の外へ。
そこでベイルはこちらを向き。
「本当にさ……自分の立場とか分かろうよ。そんな恰好で店来たら、あんな対応されるよ。」
珍しく真面目に説教してくるベイルに。
「イグランド候って、なかなか偉いの?」
その一言でベイルは頭を抱えてしまった。
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