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新しい四月
9話 ニューヘッド
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「なんで、二年生がいなくて、君がいるの?」
「何故でしょうか、わっかんないですねー!」
二人が入部して一週間、とりあえずパソコンで書いて、ハルのストレージにアップロードすることだけを覚えさせた。
四月号は葛城が全力で仕上げて、今月は特に活動はない。
そもそも学校で存在感の薄い新聞部はそもそも活動が少ない。
新聞だって、掲示板に掲載しても誰が見る?
今、部室にいるのは、シャドーマスクと包帯神田だけだった。
「とりあえず、私ここに座るね?」
神田は『おときた!』と油性ペンで書かれた椅子に座った。
「じゃあ僕は立ってます」
シャドーマスクは部室の隅で立派に起立している。
「座ればいいじゃん……というか、名前シャドーマスクでいいの?」
すると、シャドーマスクは身振り手振りし始めた。
「私の名前はシャドーマスク・フェルデナント!ステレオ……」
「ハイハイ前にも聞きました!」
神田はシャドーマスクの自己紹介を流した。
「正直、長いよ?」
「何がです?」
神田は頬杖をつきながら言った。
「名前」
シャドーマスクは「そうですかね?」と右手で後頭部をかいた。
「……葛城さんはシャドー君って呼んでるけど、人間味出ないよなぁ」
「何か、あだ名的なものは……」
神田は軟廻廊の書を取り出して数枚ずつめくり始める。
「んんーヒントはないかなぁ……」
そう言って本を閉じた。
その後、神田はじっとシャドーマスクを見つめていた。
「ブラウン」
「え?」
「やっぱりブラウン管テレビじゃん君」
「そうですかねぇ、反応速度とかはやいんですけど……」
神田は少し悪かわいい表情で言った。
「今日からブラウンって呼ぶね。いいよね?」
「ええ、別に構わないですよ。でも、あだ名なんて初めてで……嬉しいものですね!」
「ブラウン君も何かで私を呼んでよ」
再び頬杖をつく。
「じゃあ櫻さんで」
「名前まんまじゃん!」
「そうですか?素敵な名前だとおもいますよ」
「ブラウン君、馬鹿っぽい」
神田は微笑んで、過去のことを思い出していた。
「託世もこんなだったかな……いや、違うな……」
「?」
「なんでもないよ!さぁ記事でも書こうかブラウン君!」
「今月の分は終わったって聞きましたよ」
「じゃあアウトドアで行こう、なんたってウチは新聞部なんだから!もしかしたらブラウン君の頭のことわかるかもしれないよ?」
傷は完全に塞がっていて、包帯は既に外していい頃だった。
それでも外さないのは、「ブラウン君とできるだけ近い頭でいたいから」だと、あともう一週間ほど先に葛城に話すのであった。
「何故でしょうか、わっかんないですねー!」
二人が入部して一週間、とりあえずパソコンで書いて、ハルのストレージにアップロードすることだけを覚えさせた。
四月号は葛城が全力で仕上げて、今月は特に活動はない。
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新聞だって、掲示板に掲載しても誰が見る?
今、部室にいるのは、シャドーマスクと包帯神田だけだった。
「とりあえず、私ここに座るね?」
神田は『おときた!』と油性ペンで書かれた椅子に座った。
「じゃあ僕は立ってます」
シャドーマスクは部室の隅で立派に起立している。
「座ればいいじゃん……というか、名前シャドーマスクでいいの?」
すると、シャドーマスクは身振り手振りし始めた。
「私の名前はシャドーマスク・フェルデナント!ステレオ……」
「ハイハイ前にも聞きました!」
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「正直、長いよ?」
「何がです?」
神田は頬杖をつきながら言った。
「名前」
シャドーマスクは「そうですかね?」と右手で後頭部をかいた。
「……葛城さんはシャドー君って呼んでるけど、人間味出ないよなぁ」
「何か、あだ名的なものは……」
神田は軟廻廊の書を取り出して数枚ずつめくり始める。
「んんーヒントはないかなぁ……」
そう言って本を閉じた。
その後、神田はじっとシャドーマスクを見つめていた。
「ブラウン」
「え?」
「やっぱりブラウン管テレビじゃん君」
「そうですかねぇ、反応速度とかはやいんですけど……」
神田は少し悪かわいい表情で言った。
「今日からブラウンって呼ぶね。いいよね?」
「ええ、別に構わないですよ。でも、あだ名なんて初めてで……嬉しいものですね!」
「ブラウン君も何かで私を呼んでよ」
再び頬杖をつく。
「じゃあ櫻さんで」
「名前まんまじゃん!」
「そうですか?素敵な名前だとおもいますよ」
「ブラウン君、馬鹿っぽい」
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「?」
「なんでもないよ!さぁ記事でも書こうかブラウン君!」
「今月の分は終わったって聞きましたよ」
「じゃあアウトドアで行こう、なんたってウチは新聞部なんだから!もしかしたらブラウン君の頭のことわかるかもしれないよ?」
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