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新しい四月
10話 サンヘッド
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4月は終了を告げ、五月はフライングした。
僕は、12月のいざこざを大体解決し、新一年生と仲良くなった。
ブラウンは学校中の女性にモテるらしい。
何故だ?あの頭で?
神田は状態が落ち着き、僕が頭を打たなくてもいいくらいに回復した。
しかし、もしものことがあってはならない、と葛城は言うので、今後は葛城がお世話役を引き受けることになった(いつまで持つかな)。
一方僕とハルの二人は、ブラウン君の頭をどうにかしようと日々奮闘……と言いたいが、なにせ手掛かりが無い。
今日も放課後、ブラウンとハル、僕の三人で情報収集とフィールドワークである。
「ブラウン、入学前の記憶ってほとんどないんだよな?」
「はい、ないです」
「……」
「へぇ……一応訊くけど、お前、ブラウンはさ、産まれたときはどんなだったんだ?もし、その頭のままだとすると、僕としても驚きを隠せないんだが」
「それは、私も気になりますね」
するとブラウンは樹脂製の頭をカリカリとかきながら「さぁ、わからないです」と答えた。
こいつは新種の幽霊か何かなのではないか、そう思う。
無理もないだろ?
「で、どうして職員室前なんです?フィールドワークは?」
「アホか、僕がこうも真面目にやっていたのがバカだった、お前を先生に見せつければ全てがハッキリする」
僕は信じていた、コイツは何かの間違いだ。
有り得ない、こんなの生き物ではない。
そもそも人間でもなければ、生徒でもない。
僕が職員室のドアを開けようと手をかけると、後ろから声がした。
聞いた事がない声。
「お前が音希田廻か、表へ出ろ」
「は?……誰あんた」
僕がこうも堂々としているのは、三年と同学年(二年生)に見たことがない顔だったからだ。
約170cm、金髪ロング、肌ツヤがよくて健康に見える、今では絶滅危惧種だろうなこういうの。
身体も運動部だろうか、程よく肉があり蹴りが強そう。
僕何言ってる?
「ハル知ってる?」
「いいえ……私、人間関係疎いので」
「僕も知らないなー、入学したばかりだからなー」
「はぁ!?あんた同じクラスでしょ!いつも櫻と一緒じゃない!」
「あら」
「あれまぁ!」
金髪は足で床を踏んだと思うとそこから高い音を立てて竹刀が現れた。
どうやらしたに武器が仕込まれていたようだ。
準備がいいことだ。
で、何で?
「いいから表へ出ろ!」
「へいへい、こっちも暇じゃないんでな……だが……お前はこの男のこと少し知ってそうだな」
職員室と下駄箱は近い。
一年生と二年生の下駄箱は隣なので、同じ昇降口から外に出た。
ちなみに三年の下駄箱は別の昇降口にある。
とりあえずサッカーとか、部活に勤しんでいる人間の目を入らないように校庭の端にやってきた。
「表に出たぞ」
「そうだな、私のやりたいことは一つ……神田を殴ったお前への復讐だ!」
「……あ?ぁあ……何だって?」
「どぼけるな、学校に来た櫻が頭包帯だらけだったんだ。話を聞くには音希田廻という二年生の仕業だと聞いた」
「まぁ間違ってはいないけど」
「じゃあ問答無用!」
「待て」
「なんだ」
僕は確かに神田櫻を殴った、だが、それは仕方ない事だった。
それを理解してもらえればいいのだが、多分そう簡単にいかないだろう。
だから僕は少し口を噛ませてみた。
「見るからにそれで僕をボコボコにするつもりだろ?僕が負けたらもう二度と神田を殴らないし、関わりを持たないし全力で謝罪しよう……だが……お前が負けたらそこの男の情報とお前の名前を訊こう」
「……いいけど、私強いからね?」
金髪が言い残すと目の前から消えた。
残像を追うと既に僕の背中に回っていた。
まずい、本当に強いかもしれない。
第一撃を回避できた後、ポケットからアタックαを装備。
空気を切る音、一撃で脳震盪クラスか?
「……どうして当たらなかった」
「(あぶねぇ)まぁ格の違いだ、まだやるか?」
「……」
やるつもりですね。
女性を殴るのはあのような特例以外は嫌だ、だから。
「(きた)」
僕は竹刀を手の甲で防ぐ、そのあとに金髪の顔スレスレに拳を放ち、反射で目を閉じたスキに竹刀を弾き落とした。
「……嘘」
「ばーか」
「うん、39点ですね、音希田先輩」
「赤点かよ!」
「うん、礼儀が無いですよ廻君」
「ハルまで……まぁいい、勘弁したか?」
「降参、でも、最後に訊かせて。どうして櫻を殴ったの?」
少し涙ぐんで金髪は言った。
そりゃ意気込んで戦ったはいいが、怖い先輩にボコされれば傷心するか。
正直本当のことが言いづらい。
上手く話を誤魔化したい。
「……なぁお前って部活は?」
「えっと、間麻緋 、一応名前。それと部活は別に……」
「何組?」
「C」
「そうか、テレビ頭と同じだな、でー麻緋さんは神田の何か?」
「友達よ」
「へぃへぃ、先輩にろくな敬語使えませんか、ということで負けた罰として新聞部へ入ってください」
唐突な決断で後ろの二人は僕の肩を叩いた。
「廻君!?」
「音希田先輩!?」
「いいだろ別に、神田のこと部外者にベラベラ喋るより、いっそこちら側に来てもらったほうが」
「それも……そうですかね?」
ハルは理解がいい、ブラウン君は?
明後日の方向を眺めながら「まぁ先輩の言うことなら」と少し不満そうだった。
「な、何で、じゃなくて……何でですか?」
「知りたいんだろ?僕が神田を殴らないといけない理由。こっちに来れば教えてやらないこともない」
この行動には少し意味があった。
顧問の内藤先生に新入部員を三人程集めろと言われた。
それと仕事を押し付けれると思ったから。
嘘です。
「……ッ!」
「あ、ちょっと」
「行っちゃいましたね」
「だな」
間麻緋という金髪は、唐突に現れ、僕に勝負を挑み敗北した。
展開としてはかなり早かったが、僕は上手くやった気がする。
まぁね、僕だって人を殴るのに罪悪感がないことなんて無いんだよ。
結果的に麻緋を誘ったのはいい選択だった、そう思える日が来ることを信じている。
でも、僕も変わったな。
先輩になるってこういうことなのかな?いやきっと間違っている。
後日、間麻緋が入部届けを提出、部員は六名になった。
さて、彼女は一体何者なのか、神田櫻の何者なのか、見極めて行こうか、楽しみだ。
僕は、12月のいざこざを大体解決し、新一年生と仲良くなった。
ブラウンは学校中の女性にモテるらしい。
何故だ?あの頭で?
神田は状態が落ち着き、僕が頭を打たなくてもいいくらいに回復した。
しかし、もしものことがあってはならない、と葛城は言うので、今後は葛城がお世話役を引き受けることになった(いつまで持つかな)。
一方僕とハルの二人は、ブラウン君の頭をどうにかしようと日々奮闘……と言いたいが、なにせ手掛かりが無い。
今日も放課後、ブラウンとハル、僕の三人で情報収集とフィールドワークである。
「ブラウン、入学前の記憶ってほとんどないんだよな?」
「はい、ないです」
「……」
「へぇ……一応訊くけど、お前、ブラウンはさ、産まれたときはどんなだったんだ?もし、その頭のままだとすると、僕としても驚きを隠せないんだが」
「それは、私も気になりますね」
するとブラウンは樹脂製の頭をカリカリとかきながら「さぁ、わからないです」と答えた。
こいつは新種の幽霊か何かなのではないか、そう思う。
無理もないだろ?
「で、どうして職員室前なんです?フィールドワークは?」
「アホか、僕がこうも真面目にやっていたのがバカだった、お前を先生に見せつければ全てがハッキリする」
僕は信じていた、コイツは何かの間違いだ。
有り得ない、こんなの生き物ではない。
そもそも人間でもなければ、生徒でもない。
僕が職員室のドアを開けようと手をかけると、後ろから声がした。
聞いた事がない声。
「お前が音希田廻か、表へ出ろ」
「は?……誰あんた」
僕がこうも堂々としているのは、三年と同学年(二年生)に見たことがない顔だったからだ。
約170cm、金髪ロング、肌ツヤがよくて健康に見える、今では絶滅危惧種だろうなこういうの。
身体も運動部だろうか、程よく肉があり蹴りが強そう。
僕何言ってる?
「ハル知ってる?」
「いいえ……私、人間関係疎いので」
「僕も知らないなー、入学したばかりだからなー」
「はぁ!?あんた同じクラスでしょ!いつも櫻と一緒じゃない!」
「あら」
「あれまぁ!」
金髪は足で床を踏んだと思うとそこから高い音を立てて竹刀が現れた。
どうやらしたに武器が仕込まれていたようだ。
準備がいいことだ。
で、何で?
「いいから表へ出ろ!」
「へいへい、こっちも暇じゃないんでな……だが……お前はこの男のこと少し知ってそうだな」
職員室と下駄箱は近い。
一年生と二年生の下駄箱は隣なので、同じ昇降口から外に出た。
ちなみに三年の下駄箱は別の昇降口にある。
とりあえずサッカーとか、部活に勤しんでいる人間の目を入らないように校庭の端にやってきた。
「表に出たぞ」
「そうだな、私のやりたいことは一つ……神田を殴ったお前への復讐だ!」
「……あ?ぁあ……何だって?」
「どぼけるな、学校に来た櫻が頭包帯だらけだったんだ。話を聞くには音希田廻という二年生の仕業だと聞いた」
「まぁ間違ってはいないけど」
「じゃあ問答無用!」
「待て」
「なんだ」
僕は確かに神田櫻を殴った、だが、それは仕方ない事だった。
それを理解してもらえればいいのだが、多分そう簡単にいかないだろう。
だから僕は少し口を噛ませてみた。
「見るからにそれで僕をボコボコにするつもりだろ?僕が負けたらもう二度と神田を殴らないし、関わりを持たないし全力で謝罪しよう……だが……お前が負けたらそこの男の情報とお前の名前を訊こう」
「……いいけど、私強いからね?」
金髪が言い残すと目の前から消えた。
残像を追うと既に僕の背中に回っていた。
まずい、本当に強いかもしれない。
第一撃を回避できた後、ポケットからアタックαを装備。
空気を切る音、一撃で脳震盪クラスか?
「……どうして当たらなかった」
「(あぶねぇ)まぁ格の違いだ、まだやるか?」
「……」
やるつもりですね。
女性を殴るのはあのような特例以外は嫌だ、だから。
「(きた)」
僕は竹刀を手の甲で防ぐ、そのあとに金髪の顔スレスレに拳を放ち、反射で目を閉じたスキに竹刀を弾き落とした。
「……嘘」
「ばーか」
「うん、39点ですね、音希田先輩」
「赤点かよ!」
「うん、礼儀が無いですよ廻君」
「ハルまで……まぁいい、勘弁したか?」
「降参、でも、最後に訊かせて。どうして櫻を殴ったの?」
少し涙ぐんで金髪は言った。
そりゃ意気込んで戦ったはいいが、怖い先輩にボコされれば傷心するか。
正直本当のことが言いづらい。
上手く話を誤魔化したい。
「……なぁお前って部活は?」
「えっと、間麻緋 、一応名前。それと部活は別に……」
「何組?」
「C」
「そうか、テレビ頭と同じだな、でー麻緋さんは神田の何か?」
「友達よ」
「へぃへぃ、先輩にろくな敬語使えませんか、ということで負けた罰として新聞部へ入ってください」
唐突な決断で後ろの二人は僕の肩を叩いた。
「廻君!?」
「音希田先輩!?」
「いいだろ別に、神田のこと部外者にベラベラ喋るより、いっそこちら側に来てもらったほうが」
「それも……そうですかね?」
ハルは理解がいい、ブラウン君は?
明後日の方向を眺めながら「まぁ先輩の言うことなら」と少し不満そうだった。
「な、何で、じゃなくて……何でですか?」
「知りたいんだろ?僕が神田を殴らないといけない理由。こっちに来れば教えてやらないこともない」
この行動には少し意味があった。
顧問の内藤先生に新入部員を三人程集めろと言われた。
それと仕事を押し付けれると思ったから。
嘘です。
「……ッ!」
「あ、ちょっと」
「行っちゃいましたね」
「だな」
間麻緋という金髪は、唐突に現れ、僕に勝負を挑み敗北した。
展開としてはかなり早かったが、僕は上手くやった気がする。
まぁね、僕だって人を殴るのに罪悪感がないことなんて無いんだよ。
結果的に麻緋を誘ったのはいい選択だった、そう思える日が来ることを信じている。
でも、僕も変わったな。
先輩になるってこういうことなのかな?いやきっと間違っている。
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