Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第二章 回復系魔法使い クラリス

第25話 主よ、私をお迎えに来て下さったのですね...。

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 「うわ!」俺は驚いて声を出してしまった。

 クラリスは何も身につけていない。すっぽんぽんだ。す、すごい...。本当にメルが言ったとおりの、メリハリのある体をしている。

 もう視線をそらせることが出来ない。ガン見してしまう。隣にメルがいるのに。分かってはいるのにクラリスの見事すぎる裸体を見入ってしまう。

 プロポーションはメルに劣らない。身長も同じくらい。お胸はメルよりも豊かかもしれない。そして見事なくびれと、長い脚を持っている。

  俺が叫び声をあげてから、クラリスは震えている。怒られると思っているのだろう。メルと同じだ。

 しかし、クラリスは激しく体を震わせながら俺を見つめている。クラリスが非常に怯えているのは明らかだ。おそらく、俺が突然「うわ!」と声を上げたからだろう。

 「ご、ごめんよ、クラリスさん。そんなに怯えないで。大丈夫だから。まさかフードの下に何にも身に着けていないとは思っていなかったから。本当に、ごめんね」

 そう俺が言うとクラリスは、「えっ」と言い、視線をあげた。

 お互いの視線が交わった瞬間、俺はクラリスの予想外の美しさに息を呑んだ。

 それは二人だけの深い共感を生む瞬間だった。

 やばい、メルの言ったとおりだ。すごく綺麗で清楚な印象を与える。まるで聖母様のような慈愛に満ちた顔立ちだ。

 こんな美人がこんな場所で迫害を受けているなんて信じられない。でも、これが現実だ。

 「すごく綺麗だ...」と俺は、自然と声が漏れてしまった。それと同時にクラリスからも「素敵なお方。外見もそうですけど、内面からにじみ出てくるオーラも...。ま、まさか、主が地上におりて来て下さったのですか?」と呟き俺を見つめた。

その驚きが、まるで時間が止まったかのような特別な瞬間を二人の間にもたらした。二人は言葉を交わさず、しばしの間、ただ見つめ合ったのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「ご、ご主人様。わ、私を忘れないで下さい!私もご主人様を愛しております。傍におります!」

 震える手で、不安げな表情をしたメルが、ぎゅっと俺の手を握りしめてきた。しまった。あまりのクラリスの美しさに、メルの存在をナイガシろにしてしまった。ただ、クラリスの美しさはそれほど衝撃的だった。

 「ご、ごめんよメル。び、びっくりして、メ、メルが言ったとおりだ。もちろん、メルと俺は...ずっと一緒だよ」

 そうメルに伝えると、メルは怯えていた表情が和らぎ、ほっとした表情をみせた。

 その後メルは、クラリスに対し「お姉さま!メルです!お姉さま!」と大きな声で呼びかけた。

 「メ、メル⁉まさかメルなの⁉し、心配したのよ!よかった...メル、生きていたのね!本当に良かった...。馬車が壊れた後、メルが帰って来なくて心配したのよ。てっきりもう会えないかと思っていたわ...」

 寂しげな表情をメルに見せた後、はっとした表情に変わった。

 「な、何で、メルがそこにいるの...。何で主様の様なお方の傍に、あなたが座っているの...?分からない事ばかり。メル、どういうことなの?」

 クラリスは自分が裸という事すら忘れ、メルと俺をじっと見つめている。

 俺はクラリスの裸が丸見えの状態。おっきな2つのお胸が、クラリスが発する一言一言に反応し、ブルンブルンと揺れる。

 こんな緊張感漂う場所で不謹慎かもしれないが、俺の息子も少し元気になりつつある。メルにばれたら嫉妬されそうだ。平常心であり続けないと...。

 そんな俺の心配をよそにメルは「お姉さまには、いつも救って頂きました。今度はメルが助ける番です!私のご主人様を連れてきました!ご主人様はメルを受け入れてくれました!お姉さまの事もご主人様は、必ず受け入れてくれます!一緒に幸せになりましょう!」

 メルは自分の思いを、クラリスに向けて力いっぱい伝えた。

 「メ、メルを受け入れた...?私を受け入れる?意味が分かりません。そんな絶世の美男子様で、主様のようなお方が...メル、嘘をついてはいけません!嘘は心を汚くしますよ!メル!」そう、クラリスはメルを諭した。

 「こらクラリス!智也様の奴隷、メル様に向かってなんて口の利き方をするんだい!メルと呼び捨てにするんじゃない!メル様とお言い!」

 そう、ビッグハムはクラリスに向かって大声で叱りつけた。

 その後、ビッグハムはメルに向かって「ほ、本当にすみません。メル様。教育がなっていないばかりに、不快な思いをさせてしまいまして。私が代りに謝ります」とビッグハムは、ビッグハム流の深々と土下座をしてメルに謝った。

 「そ、そんな、ライメイ様がメルに対して土下座何て...?じゃ、じゃあ本当にあなたはメ、メル、いやメル様のご主人様なのですか?」

 そう、疑い、怯える様な瞳で、俺を見つめてきた。何が何だか分からないなりに、俺がメルを受け入れたことを認めた様だ。ここではっきりと俺の意志を伝えて、俺達のもとに来てもらおう。

 「そ、そうです。クラリス...さん。メルを引き取りました。そしてメルを愛しております。奴隷としてではなく人として。俺は外見で人の価値を決めるこの国で、蔑《サゲズ》まれている者を救いたい。メルに相談をしたら、真っ先にあなたのことを心配しました。俺と、おれたちと一緒に生きてくれませんか?」

 メルも、俺とクラリスとのやり取りを見守っている。

 「私が、あなた様のような高貴なお方と一緒にですか...?私が傍に居てもあなたは気分を害さないのですか?そんな、そんなお方がこの世に現れるなんて、まだ信じられません。ですが...主様が私をお救いに来て下さったとしたら...」

 クラリスは自分自身の中で、決意を決めたかの様にしっかりと俺と向き合い、床に両膝をつき、手を組んで俺を見上げた。

 「ありがとうございます。私のような身なりでも、慈愛に満ちた心で受け入れてくださるのであれば、私のこれからの人生を全てあなたに捧げます。これは神の導きに違いありません...。どうぞよろしくお願いします」

 そう言った後、クラリスは、冷たい床に深々と頭を下げた。

 「クラリスさん、頭を上げて下さい。俺がお願いしている立場ですから。それで、一緒に来て頂けますか?」と俺は、クラリスの意思を最終的に確認した。

 クラリスは上半身を起こし、両手を組んだまま、「はい、主の導きに従い、あなた様にこの身を捧げます。クラリスとお呼びください、主様」と、はっきりと自分の意志を示した。

 「お姉さま!」メルが満面の笑みで叫び、喜びを爆発させるかのようにクラリスに飛びついた。

 さあ一緒に帰ろう。でも...3人も俺の部屋で暮らしたら狭いかな...。

 一気に現実に戻ってしまった智也であった。
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