Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第四章 「マリナ」のお店

第50話 インリン姐さん

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 俺に素顔をさらしてしまったサラは、極度に怯え...震えている。

 そんな怯えるサラを「落ち着け!安心しなよサラ。私たち二人を突然切りつけたりはしない良心的な殿方の様だ!大丈夫だから...あんたはあたいの家族だ。あたいが必ず守ってやるから!安心しなって!」と必死に励ますインリン。

 な、なんだか...とてつもなく大ごとになってしまった。切りつけるって...何?サラ以上に俺も、内心わけが分からず混乱している。

 そんな、俺の心の動揺を感じ取ったクラリスが、「多くの人族の男性は、私達のようなブサイクを毛嫌いします。まあ...女性もですが。そんな中、貴族のような権力を持つ者たちは、いきなり私たちを切りつけて来る場合もあります。しかし、私たちは主様のお側にいるので、他の者たちがどんなに嫌悪感を抱いても、私たちに手出しはできないのです」と、耳元で囁いた。

 そういや、初めてメルに会った時、メルは人だかりの中でフードがめくれ、石を投げつけられていたな。

 ただ、俺がブサイクだからといって、無闇に切りつけるような人に見えたのかな。なんだかショック...。

 元聖女で清楚系エロ美少女のクラリスは、俺のさらなる落胆を察して、「主様が放つオーラは貴族をも凌駕しておられます。あの者たちは素顔を見られたことで恐怖を感じ、パニックに陥ってしまい、あのような発言をしたのでしょう」と慰めてくれた。

 なるほどなあ。ナイメール星って難しい土地だ...。

 ただ...クラリス。どさくさに紛れて「ご心配なく主様♡クラリスは常に、どんな時も主様の傍にいますから♡」と耳元で息を吹きかけるのは止めてくれ。俺たち以外はピリピリとした状況なのだから...。

 さあ、急いでサラのマスクを拾って彼女に渡して、ここから立ち去ろう。ここにいると、更なる厄介ごとにまきこまれそうだからな...。

 そんなことを思いながら、サラのマスクを拾おうとした瞬間、今まで動かなかった俺が突然動き出したのを見て、インリンは俺の前に飛び出してきた。

 非常にイヤな予感がする...。

 「イ、インリン、お、落ちついて...」

 俺が優しく言う言葉も耳に入っていないらしく、「旦那!サラを切るのなら、あたいを切り捨てておくれよ!サラにちょっかいをかけた、あたいが悪いんだからさ!」と啖呵タンカを切りながら、自分を覆っていたマントとファントムマスクを脱ぎ捨てた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「ね、姐さん!」

 場がさらに騒がしくなる中、インリンは仲間たちに向かって、「黙ってろって言ってるだよ!あんた達の主人はあたいだよ!あたいが罪を償うのが、筋ってもんさ!」と言い放った。

 「ね、姐さん!でも!!」

 「そ、そんな、姐さん!!姐さんが犠牲になる必要など!!そんなら、あっしが!!」

 おいおい、インリン!余計なことをするな!

 誰がサラを切ろうとしたんだよ!そんな仕草一つもしなかっただろう!面倒なことにするなよ...。サラのマスクを拾って、終わりにできない展開じゃないか...。

 他の連中までヒートアップしちまったじゃねえか...どうするんだよ...。

 
◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ただ、フードとファントムマスクを取ったインリンは、俺の想像を超えた美しさを誇っていた。

 金髪で、ウェーブがかかった長い髪。鮮やかな青色の瞳は大きく、長いまつげに覆われていた。さらに、ぷりっと膨らんだ桜色の唇。

 フードの下は、白のタンクトップと黒のパンツだけだったが、胸は大きいのに、お腹は出ていない、見事なプロポーションをしていた。

 そして、インリンの肌は驚くほど白い。それは一年中の採掘作業によるものかもしれない。彼女は驚くほどにきめ細やかで美しい肌を持っている。

 そんなインリンが、「さあ。あたいを切り捨ておくんな!サラよりもっと、旦那に失礼なことをしちまっただろう!」と俺を挑発してきた。

 威勢はいいが、身体は小刻みに震えている。サラを助けるために虚勢を張っているのだろう。

 まずは誤解を解かないと...。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「心配しないで、インリン。そんな物騒なことはしないから。サラさんも安心して、顔を見たぐらいで無理やり切りつけたりなんかしないよ。それと、はい。これがサラさんのマスクで、こっちが君のマスクとマントだよ」

 インリンと目が合った。すごく綺麗だ。鋭くワイルドな容姿をしている。ただ、自分の奴隷を大切にするし、見た目だけでなく、心も格好いい女性だな。

 「あ、ありがとう...。で、でも、旦那、あたいの顔や姿を見て、何も感じないのですかい?罵倒したり、唾を吐きかけたり...」

 インリンは、少し怯えながらも、しっかりと俺の目を見つめて聞いてきた。

 「何も思わないし、何もしないよ。それじゃ気を付けてね。ああ...それと、部下の娘を守るために取った行動、恰好よかったよ」

 「か、恰好よかった...あたいがですかい?」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 あの旦那は、一体何者なんだい⁉私と同じレベルのブサイクを引き連れて、しかも、あたいを格好いいと評す変人は⁉

 インリンは、もう智也から目を離せなくなり、しばらくの間、智也の背中を追いかけ続けていた。
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