Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第四章 「マリナ」のお店

第67話 草原での戦い

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 ここは何処?辺りを見回すと銀座の高層ビルから飛び降りたはずなのに、周囲にビルが一つもない。辺りは心地の良い風の吹く草原であった。

 うつぶせの状態から上半身を起こし、辺りを見回した。何もない...。一面の草原だ。しかし、どこか懐かしい。「清い水」近くのお気に入りの場所を思い出す。

 よく美佳と遊びに行ったな...。って、思い出にふけっている場合じゃない。ここは何処なの?

 まさか、故郷に戻ってきたの?確か、銀座のど真ん中で宙を浮かぶお地蔵様たちから、ナイメール星から事故で地球に飛ばされたと聞かされた。

 そして私は、ナイメール星に戻りたいと彼らに告げた...。ナイメール星に戻るために、黒い溝に飛び込んだ...はず。

 という事は、ここはナイメール星なの?生まれ故郷に戻ってきたの?パパやママは何処にいるの?

 会いたい。パパやママに...。でも、どこにいるのか分からない。私は5歳から地球で暮らしている。今はもう20歳だ。私だと分かってもらえるだろうか?それに、美的感覚が地球と反対らしい。私はだろう。パパとママは会ってくれるだろうか?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 一人草原で物思いにふけっていると、おそろいの黒装束を着こみ、ファントムマスクの様な仮面をかぶった者たちが、いつの間にか私を囲んでいた。い、いったいいつの間に...⁉

 な、何なのこの集団は、体型がバラバラだ。お笑い軍団なの?それとも、ユーチューバー⁉それも何で全員女性なの?

 身長が2m近い者もいれば、私とほぼ同等の者もいる。それに、ドラム缶の様なを持つ者から、ひょろっとした枯れ木の様な者。そして私と同じくくびれのある、な者など、様々だ。

 な、何が目的なの?何で訳も分からない場所に来て早々、こんなへんてこな集団に囲まれなければないの??

 どうするべきか分からずまごまごしている私に対して、すごくプロポーションのいい女性が、「何だい、あのブサイクは!情報と違うじゃないかい!まれにみるブサイクな顔をしているし、それにだよ。二束三文にもならないよ!」と言い放った。

 わ、私をブサイクって言い放った!それに、とも!わ、私と同じ感覚を持っている!

 や、やっぱり、私はブサイクだし、目の前の女性が言うようにプロポーションも悪い。

 異世界に、故郷に帰って来たんだ!って、喜んでいる場合じゃない。どう見ても私は...ピンチの様だ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

  「す、すみません、ミルミル様!情報じゃ珍しい洋服を着ている女が倒れていると聞いたので...。まさかこんなブサイクだとは思わなかったので...」と言いながら、枯れ木の様な女性が大きなミルミルという者に対して頭を下げている。

 ミルミルって...。いいなぁー。名前と体型がすごく合っている。いいプロポーションをしているもんね...。でも、顔を隠していると言う事は...。私と同類ってことよね。

 「あんなブサイクなんかどうせ売れないから、洋服だけひん剥いて、ゴブリンにでも犯させて、酒のつまみにでもするかい?それともオークのぶっといモノでも経験させて、昇天させてやるかい?グワッハハハ!」

 そう言って大笑いした。ミルミルの周りを取り囲む者たちも「そいつは面白そうだ!」と私を見てニヤニヤ笑っている。

 汚らしいオーラをまとった者達だ。身も心も汚らしく落ちぶれた者たち...可哀そうに。

 私をサゲスむような目つきで見ていた集団の一人が、「ミルミル様!あの女はスキル持ちの様です!”鑑定”と”料理”、”言語能力”スキルまで持ち合わせています!」と言った。

 「な、何だって!大当たりじゃないかい!どんなにブサイクでもスキルが3つあれば高く売れるよ!イケメン獣人を大量に購入できるよ!」と、私を見る目が変わった。

 「フードでも被せて、さっさと売っちまい!ちゃんとスキルが3つあることを奴隷商人に言って、高く売るんだよ!ブサイクだからって買いたたかれるんじゃないよ!ラン!」

ランと呼ばれる女性に、全身を覆うフードを被るように言われた後、さらに首に鉄製の首輪をつけるように命じられた。

 「な、何で私が、こ、こんな物をつけなきゃ⁉」と拒むと、「早くつけるんだよ!このブサイクが!」と言って、ランが私の左頬めがけて殴りかかってきた。

 その瞬間、「待つんだ!」と言いながら、私たちの間に割り込んできた人物が、ランの腕を掴んだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 私たちのすぐ後ろに、1人の大柄で鉄球の様な美ボディーを持つ女性と、全身にフードをカブった2人、合計3人がどこからともなく現れた。

 「な、何だいあんたたちは!この女は私たちの得物だよ!横取りするつもりかい!」と、ミルミルは、大きな声をあげて、突然現れた美ボディーの女に対して威嚇した。

 さらにミルミルが「私たちは20人はいるよ!たった3人で何ができる...」と言った瞬間、3人のうちの鉄球のような豊満な肉体をもった1人が、自身の身体を滑らせるような動きで、ミルミルの背後に回った。

 あまりにも滑らかで素早い動きだった。なぜあんな鉄球のような体型で素早く動けるの...?あまりの素早さに私は呆然と彼女を見つめていたが、背後に回られたミルミルは真っ青な顔をして、全身を震わせた。

 「ひぃ!私がいとも簡単に後ろを取られるなんて...。わ、分かったよ。そ、そんな女、く、くれてやるよ。でも、少しぐらい分け前を...。よ、洋服ぐらいあたしたちにくれてもいいんじゃないかい?」

 そうミルミルが言った瞬間、ミルミルの首筋から、数滴の赤いものが地面に滴り落ちた。

 見えなかった。いつの間にか右手に持ったナイフで、ミルミルの首筋に傷を負わせたようだ。「ひ、ひい。う、うそだよ。冗談だよ!すぐに私たちは引き上げるよ!」

 ミルミルたちが、立ち去ろうとしたその時、フードを被った者の一人が「お嬢様を怖がらせたんだ。誠意ある態度を示せ!」と、ミルミルたちに向かって言い放った。

 じゃ、弱肉強食の世界なのね...。わ、私が生まれた場所って...。

 「す、すまなかったよ。こ、これは、私が今持ち合わせている中で一番のお宝だよ。ほ、本当にすまなかったよ」

 マジックポーチを3人のうちの一人に渡し、20人ほどの黒装束のお笑い芸人風の者達は、雲の子を散らすように消えさった。
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