Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第四章 「マリナ」のお店

第70話 ”どピンク”と”青く暖かな”オーラ

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 私達の元に戻って来たマリナだったが、数日間ゆっくりと暮らした後、「自分のお店を持って、色々な事に挑戦したい」と言ってきた。

 何でも地球で培った知識と技術で、食堂を開きたいと言い出した。向こうの世界では、ずーと働き詰めの日々を過ごしていたから、ぼ~とするのが苦手だと言った。

 そんなマリナに向かって、ローラが「もしかしてマリナ、醤油や味噌も作れるの?」と尋ねた。

 マリナは笑顔で、「うん。大豆さえあれば、醤油も味噌も作れるよ。お地蔵様から料理スキルを頂いたから、種麹が手に入るし」と、少し得意気にローラに話した。

「わー、いいなー。私は貰えなかったわ!」

 そう、親子で楽しそうに話している。

 マリナは「私、色々挑戦したいの!色々な人と会ってみたいし。それに、私のような外見で困っている人たちが沢山いると思うの。そんな人たちに安心して食べられる場を提供したいの!」と私たちの目を見つめ、真剣な表情で私とローラに伝えてきた。

 「ジャパニーズ、大衆食堂ね!すごくいいんじゃない⁉」と、ローラもマリナを応援した。

 ”ジャパニーズ大衆食堂”?何のことだかさっぱり分からない...。

 な、何となく私だけが蚊帳の外にいるような話が続いている。しかし、私にそっくりな外見をした娘が笑顔で色々なことを話してくれるのがたまらなく嬉しい。

 私も娘を全力で応援することに決めた。

「分かったよ、マリナ。やってみなさい。その代わりに、ザイフとローファンをマリナの店の従業員として加えるからね。あと数名も。彼らなら護衛も務まるはずだからな。それが条件だ」とマリナに真剣な表情で伝えた。

 「ありがとう!パパ、ママ!私やってみる。地球では外見で注目されて苦しかった。でもこっちならマントと、仮面をかけていれば目立たないし。ザイフやローファンたちと頑張ってみるわ。応援してね。パパ、ママ!」

 「もちろんだよ、マリナ。なあ、ローラ?」

 「ええ。定期的に帰ってくるんですよ」そうして親子3人、幸せに笑い合った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 マリナの店の厨房

 はー、今日も忙しいわ。そろそれインリンたちも、うちにやって来る頃だ。仕事が終わったら、インリンたちとお酒でも飲もうかしら?

 それにしても...今日はなんとなく、店内がざわついている感じがするわね。

 「ローファン、何かあったの?」

 「もう、マリナ聞いて!ものすごくカッコいい男性が来ているの!それも、インリンが連れてきたのよ!」

 「はぁ⁉インリンが?ついに男性奴隷に手を出したの?そうじゃなきゃありえないでしょ?」

 私は次々に舞い込んでくる注文に四苦八苦しながら、ローファンに尋ねた。

 もう何なのよ、この大量な注文は!唐揚げとおにぎり100人前ずつって!!コカトリスを一匹しめないといけなくなっちゃったじゃない!!

 っていうか、注文をOKする?普通?

 「ううん、違うの!奴隷じゃないの。一般人よ!私も握手してもらっちゃった!嫌がらないし。逆に私を見て照れていたわ!それに、その人が連れている奴隷も私たちクラスのブサイクだったけど。本当に大切にしていたわ!」

 なによそれ⁉

 「それよりもローファン!この唐揚げとおにぎりの数は何なの?本当なの⁉用意していたコカトリスだけじゃ全然足りないじゃない!」

 本当に何なのよ、唐揚げ100人前って。私たちコックに死ねって言っているの?おにぎり100人前って、みんなで仲良く腱鞘炎になるレベルじゃない!

 「本当よ。前金で金貨貰っているもん♪すごく気前いいし。『100人前も作らせてすみません...』て、謝られちゃた。カッコいいし可愛いいし、凄く礼儀正しいの!」

 こらこら、ローファン、包丁を持ったままデレデレしないの、危ないから。

 「あなた...そんな男前に頼まれたから断れなかったんじゃないの?」と少しきつめに睨むと、「えへへへへ」と笑って客席の方に逃げた。

 まったくあの子は。そんな中、恐る恐るザイフが私の方に向かって来た。

 「あ、あ、あの店長。注文でですね...」とザイフが私に伺うように尋ねて来た。「を欲しいと言われたんです...。お品書きには無いと言ったのですが、マリナさんに言えばわか...ひい!」

 「ど、どんな人が言ったの!」

 無意識のうちに、ザイフに包丁を向けていた。

 「ほ、包丁を向けないで下さいよ~。私を食べても美味しくないですから~」と言い、「を注文した人は、もの凄くカッコいい男性でしたよ。あと性格も良さそうでしたよ。ローファンが手を握っても、怒りもしませんでしたし」と続けた。

 そして、「って、て、店長!そんな血だらけの恰好でいったら!それに包丁も!」と、大きな声をあげた。

 ザイフが何かを言っているようだが、その声は私の耳には届かなかった。そう言えば、上の階から暖かなオーラを感じる!青く暖かなオーラが!

 それと何⁉この青いオーラの両隣にある、のオーラは?性欲ダダ洩れじゃない⁉椅子とか汚していないでしょうね?

 そんなことを思いながら、地球から来た人との初めての出会いに胸を膨らませ、階段を駆け上がる麻璃奈であった。




 第四章はここまでとさせていただきます。引き続きご愛読いただけますと幸いです。皆様のご支援に心から感謝申し上げます。
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