Exスキル『能力100万倍』で、あべこべ世界で苦しむ奴隷達の『低価値スキル』を超優秀に!ただし、『性欲100万倍』の副作用付きですが...。

たけ

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第五章 ランバート採掘場

第71話 帰省

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 驚くべきことに、麻璃奈は全ての仕事をたった1時間で終えた。麻璃奈たちの作り直した料理が、色とりどりの皿に盛られ、テーブル上に溢れかえっている。香ばしい匂いが部屋中に漂い、食欲をそそる。

 さらに、麻璃奈は持ち帰り用のから揚げ100人前と、おにぎりも100個も用意してくれた。から揚げの黄金色の衣がカリッと揚がり、おにぎりはふっくらと握られている。

 どんなマジックを使ったんだよ...。

 唐揚げとおにぎりを昨日、猪族の3人に渡したマジックポーチの中に、追加で詰めるように言った。ポーチの中に次々と詰め込まれていく料理は、香ばしい匂いを放ちながら、まるで魔法のように収まっていく。

 「こ、こんなにもよろしいのでしょうか?」と、ヤーロンが、困惑した表情で俺に尋ねてきた。彼の目は驚きと感謝の色に満ちている。

 唐揚げやおにぎりをあんなに美味しそうに食べている姿を見ると、自然と持たせてあげたくなるものだ。彼らの笑顔と満足そうな表情が、俺の心を温かくする。

 メルもクラリスも、本当に美味しそうに唐揚げをたくさん食べていた。メルは、目を輝かせながら一口一口を楽しんでいた。「ご主人様、本当に美味しいです!こんなに美味しいものばかり頂いて、メルは本当に、本当に幸せです!」と言いながら、彼女は何度も俺に抱き付いてきた。

 メルの笑顔は、まるで太陽のように輝いていて、その喜びが伝わってくる。

 クラリスは、俺の食べかけの唐揚げを見つめながら、にっこりと微笑んで「ご主人様のいただきます♡」と言って、まるで宝物を手に入れたかのように奪い取った。そして、自分の食べかけの唐揚げを手に取り、「あ~ん♡」と言いながら、優しく俺の口元に運んでくれた。

 すごく恥ずかしかったけど、美人からの「あ~ん♡」の破壊力はすさまじい。口を空けない男性なんていないだろう...。

 ただ、2人の行動に、いや、俺たちの行動に周りは呆気にとらわれていた。インリンやサラは目の前の光景を見て、何度も「わ、割りい、旦那!ちょっとあたい、トイレにいってくる!」、「わ、私もです!」と言ってやたらと席を立っていたな。

 まあ、深く考えないでおこう...。

 今度、俺の行きつけの八尾さんの特製唐揚げを大量に買って、みんなで唐揚げパーティーをしようかな。八尾さんの唐揚げは、外はカリッと黄金色に揚がり、中はジューシーで肉汁が溢れ出す。一度食べたら、その絶妙な食感と風味が忘れられない。

 その時が楽しみだな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 モリジン達、俺の忠実な奴隷たちに、今から3日間の休暇を与えることにした。本来ならば、1週間や2週間、思う存分故郷で過ごさせてあげたいところだ。

 しかし、主人である俺から3日以上離れると、奴隷の首輪から死の呪いが発動するという恐ろしい運命が待っているらしい。だから、何があっても3日で戻ってくるようにと、彼らにはしっかりと伝えておいた。

 「夜道での移動は、危険じゃないのかい?」と、モリジンに尋ねた。

 モリジン達の村までは、険しい山道を越え、深い森を抜け、片道24時間ほどかかる。道中には、暗い森の中で目を光らせる魔物や、獲物を狙う盗賊が潜んでいるかもしれない。

 だが、淡い光が照らす室内で、モリジンは静かに首を横に振った。その表情には、決意と覚悟が宿っていた。そして...。

 「メル様ほどでは無いものの、私たちも一応戦闘は可能です」とモリジンは静かに答えた。その声には自信がニジんでいた。「それに...奴隷の身分では考えられない、ものすごいをご主人様から頂いております」

 モリジンはにやりと笑い、彼の腰の付近で存在感を放つシャムシールの鞘を俺に見せた。

 これは、ドラリル一味の宝物庫にあった刀の一つだ。俺たちが宝物庫を物色している最中、モリジンはずっと、壁にかかったこの刀を見続けていた。彼の目は、まるで宝石を見つけたかのように輝いていた。モリジンの視線は、刀の美しさに引き寄せられ、まるで時間が止まったかのように、その場に立ち尽くしていた。

 もう...ガン見。

 「モリジン、欲しい?」と、俺は優しく問いかけた。モリジンは驚きの表情を浮かべ、目を大きく見開いた。「い、いいえ、め、めっそうもない!!」と、声が震え、動揺を隠せない様子で遠慮しようとした。

 しかし、俺は微笑みながら、「俺の護衛役ならば、武器の一つぐらい無いと俺を守れないだろう?」と、優しく説得し、強引にその武器を彼の手に持たせた。

 「で、ですが、こんな高級な物、奴隷の私には...」と躊躇タメラったが、俺には剣の価値など分からない。欲しい者が持っていればいいと思う。

 モリジンは、俺からシャムシールを受け取ると、そのまま一歩後退してヒザマズき、「一生の家宝にします!」と、頭を下げた。彼の目には感謝と決意の光が宿り、その姿はまるで忠誠を誓う騎士のようだった。

 カクとヤーロンにも、武器を選ぶように促した。一人だけに武器を授けるとか、関係がぎすぎすするといけないからね。

 カクは接近戦が得意の様で、コピシュを。ヤーロンはオーソドックスなロングソードを選んだ。彼らもまた、俺に深く頭を下げ、感謝の意を示した。その瞬間、彼らの表情には新たな希望と誇りが満ち溢れていた。

 それぞれが宝物を扱うように、大事にしている。ロジンが「3人は暇があると、それぞれの武器の手入れをしていますよ。よほど気に入られたのでしょうね」と、教えてくれた。彼らの手元で輝く武器は、まるで新たな運命を切り開く鍵のようであった。

 「ロジンたちも武器を選ぶ?」と猪族たちに問いかけたが、「完全に俺の従者となった時でいいです」と返事をされた。

 猪族たちは一瞬、目を見合わせてから、静かに首を振った。その時は、そう遠くない未来のような気が何となくした。

 あと、モリジンたち豚族達は、メルやクラリスのことを「メル様、クラリス様」と呼ぶ。

 「呼び捨てまでとは言わないが、”さん”付けでいいんじゃないの?」と提案しても、彼らは首を横に振り、「奴隷の先輩でもあり、ご主人様の奥方のような存在ですから」と答えた。

 その言葉に、メルは非常に照れながらも喜んだ。「わ、私がご主人様の奥方様なんて、恐れ多いです!」と真っ赤な顔をして否定するが、その瞳には喜びの光が宿っていた。そして、「そういう事情ならば、『様』も仕方ないですね。ほ、本当は『さん』や呼び捨てでもいいのですが...」と、照れながらも嬉しそうに納得した。
 
  可愛いなメルは...。

 そのメルの隣ではクラリスが妖艶な表情を浮かべて「ふふふふふ」と笑っている。ちょ、ちょっとこの後の夜の営みの事を考えると、少し怖くなってしまうのは俺だけだろうか?

 寝かしてくれるのだろうか...。

 メルよりもクラリスの方が、性欲がものすご~く強い。元は聖職者だったのに...。いや、だからかな...?禁欲生活の反動ってやつかもしれないな。

 くれぐれもお手柔らかに頼むよ、2人とも...。心の中でそうお願いをしながら、大好物となった麻璃奈の作った唐揚げを再び口に運んだ。
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